テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

じんわり、鳥肌?

2018-06-10 22:16:26 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 つつつッ、つゆゥざむゥ??」
「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!上着がいるね!)

 こんにちは、ネーさです。
 半袖では心許ないこの梅雨寒は……
 もしや“怪談シーズン”到来を告げる身の震えなのでしょうか。
 両腕の鳥肌をさすりながらの本日の読書タイムは、
 さあ、こちらの怖~い御話を、どうぞ~♪

  



           ―― あやかし草紙 ――



 著者は宮部みゆきさん、2018年4月に発行されました。
 『三島屋変調百物語伍之続(みしまやへんちょうひゃくものがたりごのつづき)』
 と副題が付されているこの御本は、
 《三島屋変調百物語》シリーズの最新刊です。

「あううゥ! こわいィ~のにィ~!」
「ぐるがるるるるる!」(←訳:人気なんだよねえ!)

 お江戸の時代の、
 さて、いつの頃の出来事なのか……

 川崎宿の、宿屋さんのお嬢さん・おちかさんは
 或る不幸な事件にすっかり打ちのめされてしまい、
 江戸の叔父夫婦のもとで
 暮らすことになりました。

 17歳は、まだまだ若い。
 環境を変え、
 叔父さんが営む袋物屋《三島屋》で
 江戸の空気に触れてみれば、
 きっと立ち直れるだろうとの配慮でしたが。

「おちかさんッ、まじめェなんだからァ!」
「がるるるぐるぅ!」(←訳:働き過ぎだよぅ!)

 三島屋さんで、ちょっとはのんびりしてもいいのに、
 朝から晩まで黙々と、
 何もかも忘れようとするかのごとく
 立ち働くおちかさん。

 しかし、転機が訪れました。

「こわいィ~おはなしがッ?」
「ぐるるる?」(←訳:怖くない?)

 お客さまから聞かされた、怖いおはなし。
 怖ろしいはずのそのお話が、
 彼女の目を覚まさせます。

 広い世間には、
 思いもかけぬ出来事があり、
 その出来事の只中に身を置いた人も
 一人や二人ではない――

 以来、おちかさんは進んで
 怖いおはなしに耳を傾け、
 三島屋さんには百物語小町がいると話題になりました。

「かわらばんにもォ、なッちゃッたでス!」
「がるっるるぐるる!」(←訳:江戸っ子に大評判!)

 シリーズ5作品目のこの御本には、
 第1話から第5話まで、5つの御話が収録されています。

 中でも、《三島屋》ファンの方々を
 ええっ!!と驚かせること必定なのは
 表題作品の第4話『あやかし草紙』と
 第5話『金目の猫』ですね。

「かんぜんにィ、よそうがいィのてんかいィ、でしたでスよゥ!」
「ぐるるるっる!」(←訳:読めなかった!)

 三島屋さんに出入りする、
 貸本屋・瓢箪古堂の若旦那、勘一(かんいち)さん。

 勘一さんの昔語りと、
 勘一さんとは縁もゆかりもないように見える、
 ある御婆さんの昔語り。

 ふたつのものがたりが、
 おちかさんの日常を一変させます。

 いえ、これはもう、激変と呼ぶべきでしょうか?

「これからァ、どうなッちゃうのッ?」
「がるるーる!」(←訳:視えなーい!)

 怖いおはなしと、
 こころ優しい聴き手。

 読み手の私たちにも馴染んでいたその定型を捨て、
 新たな百物語が始まる予感ひしひしの
 シリーズ第一期完結篇、
 私ネーさ、
 ゴールデンウィークの発売直後に入手したのですが、
 味わい深く、飲んども読み返したりするうち、
 御紹介が遅れてしまいました。

 《三島屋》ファン諸氏さんも、
 どうか慌てず、焦らず、
 ゆっくりゆっくり、この新局面を、
 今後の波乱の予感を楽しんでくださいね。
 シリーズ未読の皆さまは、
 第一巻『おそろし』から、ぜひ!



 
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― 《顔》は語る ―

2018-06-09 22:09:28 | ミュゼ
「こんにちわァ、テディちゃでッス!
 あじさいィ、きれいにィさいてまスゥ~!」
「がるる!ぐるるるる~♪」(←訳:虎です!色とりどり~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 梅雨のお花といえばアジサイ、
 関東南域でアジサイといえば鎌倉……ということで、
 今週の鎌倉周辺は大混雑だったそうですが、
 さあ、週末の今日は、読書をサボり、
 やっぱりここも大人気で大混雑?していそうな、
 展覧会の情報を、どうぞ~♫

  



        ―― ルーヴル美術館展 ――



 東京・六本木の国立新美術館 企画展示室1Eにて、
 会期は2018年5月30日~9月3日(毎週火曜休館、ただし8/14は開館)、
 『L'art du portrait dans les collections du Louvre』と仏語題名が、
 『肖像芸術――人は人をどう表現してきたか』と日本語副題が付されています。

「ふァ~、おふらんすゥからァ~!」
「ぐるるがる!」(←訳:日本へ長旅!)

  

 はいはい、やって来てくれましたね♫

 画像は上から、

 ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ)さん作
 『女性の肖像』(通称『美しきナーニ』、1560年頃)、

 アントワーヌ=ジャングロさん作
 『アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)』、1796年)。

「こッちにもォ~」
「がる!」(←訳:顔が!)

  

 エジプトで出土した棺用マスク、
 シリアのパルミラ出土の女性の頭部像、
 イタリアで制作されたアレクサンドロス大王の肖像、
 アングルさん作の王族の肖像画に――

  

 レンブラントさん、ゴヤさん、アルチンボルドさんの作品、と
 どれも国宝級の《顔》ですね。

 ルーヴル美術館は、

   古代オリエント美術、
   古代ギリシャ・エトルリア・ローマ美術、
   絵画、
   素描・版画、
   彫刻、
   美術工芸品、
   イスラム美術

 という8つの部門で構成されていて、
 各部門を代表する約110点の肖像作品が
 この展覧会のために来日しています。

 そして、展覧会の音声ガイドを担当するのは、
 俳優の高橋一生さん!

「わほゥ! たのしそうゥ~♪」
「ぐるるるるる!」(←訳:聴いてみたい!)

 時代を、国を、
 ときには世界をも背負う《顔》の特別展、
 講演会や講座などイベントも予定されています。
 アート好きさんは、ぜひ、
 六本木へお出掛けを♫
 



   さて、今回のオマケ画像はこちらで!
   
   アジサイよりもレア、というか、
   これ新種なのかしら?と私ネーさもビックリしたのは、
   ↑ピンクの百合『ローズリリー』と、
   
   ↑画面中央上部の淡いグリーンのバラ
   『ミントティ』!
   「ふしぎなァ~かたちィ!」
   「がるるるぐるる!」(←訳:不思議な色合い!)
   ヒマワリやブーゲンビリアよりも
   一段と目立っていたユリとバラ……
   皆さまも、お花屋さんのウィンドウを
   ちょっと覗いてみてくださいね♪

   では、台風にくれぐれも用心しつつ(来ないで欲しいー!)、
   どうか穏やかな休日を。

   
   
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~ 英雄百花 ~

2018-06-08 22:17:25 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 ええェ~ッ? こなくてェいいィのでスよゥ~!」
「がるる!ぐーるるるぅーがる!」(←訳:虎です!ノーサンキューです!)

 こんにちは、ネーさです。
 た、台風……週明けのお天気は台風の雨、なんですか?
 梅雨を超えてもう台風シーズンなの?
 台風よ海の彼方へ行ってしまえ~!と全力で念を送りながら、
 本日の読書タイムは、
 太平洋、いえ地球、いいえ宇宙スケールの一大叙事詩を、
 さあ、どうぞ~♫
 
  



       ―― 銀河英雄伝説Ⅰ 黎明篇 ――



 著者は田中芳樹(たなか・よしき)さん、
 上の画像の新装版は2018年5月に発行されました。
 既に刊行されている文庫版と内容に違いはありませんが、
 ↑こちらは単行本なので、活字のサイズが大き目になっていますね。

「むむゥ! あにめにィ、なりましたでス!」
「ぐるるるがるるるる!」(←訳:漫画化もされてるよ!)

 この御本の初版が世に出たのは、
 30年以上も前のこと……になります。
 SFファンさんたちから愛され、
 不朽の名作と呼ばれるこの作品がTVアニメ化され、
 藤崎竜さんの画でコミックスにもなり、
 新たなファン層を開拓しつつある、と言えましょうか。

 これを機会に、ええ、
 私ネーさもこの長大なスペースオペラに挑戦してみようかと。

「はるかなァ~みらいィ~…」
「ぐるるるるがるぐる!」(←訳:相まみえる2大勢力!)

 恒星間航行技術を得た人類が
 外宇宙――銀河へと進出した後。

 地球の歴史が常にそうであったように、
 そこに平和はなく、
 人間たちはふたつの陣営に分かれて争っています。

 皇帝と貴族が国を支配する、銀河帝国。

 そして、帝国から脱出した人びとが建国した
 自由惑星同盟に。

「すたーうぉーずゥ、みたいィ!」
「がるるるぐるるがる?」(←訳:未来少年コナンかな?)

 そうねえ、要約してしまうと、

 《悪の帝国》対《正義のレジスタンス》

 のような、
 “ありがち”な定型になってしまいますが、
 もちろん、そんな“ありがち”図式の物語ではありません。

 ふたりの主人公――

 銀河帝国側の、
 ラインハルト・フォン・ローエングラムさん。

 自由惑星同盟側の、
 ヤン・ウェイリーさん。

 この『Ⅰ巻黎明篇』では、
 それぞれ“常勝の天才”“魔術師”と仇名される彼らの
 上昇と激突が中心に描かれています。

「ものすごいィ~みつどォ!」
「ぐるるるがっる!」(←訳:歴史書も真っ青!)

 わずか数ページで
 戦いの趨勢が激変し、
 艦隊は宇宙の塵となり、
 権力者が消され、
 登場人物は昇進し、左遷され、
 ふたたび戦場へ――

 とにかく息をつく間もないペースで
 ローマ帝国ならぬ銀河帝国/自由惑星同盟興隆記が展開されます。
 SF大河ロマンに時折り見られるような、
 新人類だの、
 超次元のパワーだのといった要素に頼ることなく、
 ドミノ倒しのごとく、
 双方向で繰りひろげられる群像劇。

 読んでいてクタクタになりますが……

「やめられないィんでス!」
「がるぐるるる~??」(←訳:次はどうなる~??)

 昔のアニメ版が好きなんだ、
 いや今のアニメもいいじゃないか、
 漫画が面白い、と
 ファンの方々の想いもまた大いに賑わっているようです。
 でも、もちろん原作小説もいい!

 本屋さんで見かけたら、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね、
 こちらの真・英雄伝説を♪
 

 
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好きキライ、あるんです。

2018-06-07 21:00:16 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ころもがえェ~しんこうちゅうゥでス!」
「がるる!ぐるがるるぐるるる!」(←訳:虎です!服も小物も夏仕様で!)

 こんにちは、ネーさです。
 はーい、夏です……ほぼほぼ夏、な季節です。
 なので私ネーさ、早くも夏バテというか暑さバテでぐったり、
 食欲もいまひとつ……
 こんな日の読書タイムは、
 “食べる気力”を掻きたててくれそうな
 こちらの新書を、さあ、どうぞ~♫

  



        ―― 作家のまんぷく帖 ――



 著者は大本泉(おおもと・いずみ)さん、2018年4月に発行されました。
 この御本に登場するのは、
 明治・大正・昭和の時代に活躍した22人の作家さん――

 そう、それは、
 エアコンなんてありませんし、
 冷蔵庫や冷凍庫も無かったか、
 まだ普及していなかった時代だとも言えます。

 現代とは全く異なる食生活、食糧事情、食文化の中、
 作家さんたちは、
 どんな“ごはん”“食べもの”を好み、
 創作の栄養源としていたのか、というと……?

「ようしょくゥ?」
「ぐるがるぅ?」(←訳:和食でしょ?)

 洋食か、和食か。

 いえ、それよりも、
 一種のスタイルを追求した作家さんもおられます。

 金沢生まれの作家にして戯曲家、
 泉鏡花さん(1873~1939)は
 大の潔癖症でもありました。

 若い頃はそうでもなかったらしんですけど、
 赤痢にかかって以降は、
 なまもの?
 とんでもない!てな具合で。

「しゃふつゥ~しょうどくゥ!」
「がるるぐる!」(←訳:お酒は煮燗!)

 虎屋さんの羊羹が好きで、
 銀座木村屋さんのパン(餡なしのパン)も好き。
 うどんも好物で、
 大根やヤツガシラの煮物も好物でした。

 って、鏡花センセ、ホントにダメなんですねえ、生もの……。

「このォせんせいィもォ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:好みがあります!)

 歌人の斎藤茂吉さんは、
 鰻、ウナギ、うなぎ……鰻丼を愛して止みません。

 詩人・彫刻家の高村光太郎さんは、
 フランス留学中はパンに親しみ、
 ビールをたしなみ、
 疎開中は自分で畑を耕したり。

「あッ! このォひとォはッ!」
「がるるるるるぐるるがる!」(←訳:折り紙つきの美食家さん!)

 近代日本で随一の“美食家”さんといったら、
 やはり行き着くのは……北大路魯山人さん。

 魯山人さんにも大好物があって、それは、
 田螺(たにし)……

 えっ? はぁ? 

 たにし??

「たッたにしィ?」
「ぐるっるがるるるるる?」(←訳:田螺って食べられるの?)

 著者・大本さん、当たり前のようにサラっと書き流していますが、
 田螺――美食家さんの好物がタニシ、って。
 えーと……さりげなくショックです……。

「ほかにもォ、たくさんのォ~」
「がるぐる?」(←訳:衝撃あり?)

 好きなもの、嫌いなもの、苦手なもの。

 笑顔や、膨れっ面や、
 にんまりとした恵比寿顔が
 エピソードの数々から透かし見えてきます。

「まんぷくはァ~」
「ぐるがる!」(←訳:口福です!)

 作家さんたちの“素の顔”が浮かぶ
 20世紀の食卓を、
 皆さまも、ぜひ♪
 
 
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石の声に、耳を。

2018-06-06 21:02:58 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディはでッス!
 ふァうゥ~、あめェでスゥ~…!」
「がるる!ぐるがるぅ!」(←訳:虎です!梅雨だねぇ!)

 こんにちは、ネーさです。
 6月6日――習い事を始めるのに最良の日といわれる今日、
 関東地方は梅雨入りとなりました。
 雨音を聴きながら、
 さあ、読書タイム……は、ちょっとパスして、
 本日は、こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  



       ―― ミケランジェロと理想の身体 ――



 東京・上野の国立西洋美術館にて、
 会期は2018年6月19日~9月24日
 (月曜と7/17は休館、ただし7/16、8/13、9/17、9/24は開館)、
 『Michelangelo and the Ideal Body』と英語題名が付されています。
 チラシ(フライヤー)からもお分かりのように、
 今回は絵画の展覧会ではなく――

「うむッ! このォてんらんかいィのォ~…」
「ぐるるがるる!」(←訳:主役はキミだ!)

  

 日本にやって来るのはこれが初となる、
 ↑《ダヴィデ=アポロ》(1530年頃)。

 ミケランジェロ・ブオナローティさん(1475~1564)さんの作品の中でも、
 やや特異な位置付けをされている彫像です。

 故郷フィレンツェの動乱の最中に制作されたという、
 中性的な面持ちの男性像は、
 未完成のまま。

「ふむふむゥ、ひょうめんはァ~」
「がるるぐるがるるるぐっるる!」(←訳:ノミの跡がざらざら残ってる!)

  

 この像には“謎”があります。

 《ダヴィデ=アポロ》と名付けられてはいるものの、
 太陽神アポロなのか、
 巨人ゴリアテを倒した英雄ダヴィデ、
 どちらなのか――
 彼はいったい何者なのだろう?

 いや、そもそも
 像は未完成なのではなく、
 ざらざら表面は意図したもので、
 これが完成形なのでは?

「むむむむッ!」
「ぐるるるっ!」

  

 通説では、
 ミケランジェロさんは
 《ダヴィデ=アポロ》像を完成させることなく
 《最後の審判》制作のため、
 フィレンツェからローマへ旅立った……とされています。

「おいてかれェちゃッたァ、のでスかァ~…」
「がるるるぐるるる……」(←訳:なんだか可哀そう……)
 
  

 父親や友人への手紙に、

   天井画は私の本業ではない、
   我は画家にあらず――

 と書き送ったミケランジェロさんですが、
 意外にも、
 現存する大理石彫刻作品は
 世界中に約40点……多いとは言えませんね。

 バチカンの礼拝堂で
 絵の具まみれになって《最後の審判》を描きながら、
 ミケランジェロさんはこの像を、
 おいてけぼりにした石像のザラついた表面を
 ふっと想い起こすことがあったでしょうか。

「なつかしのォ、ふるさとッ!」
「ぐるるるる!」(←訳:こころの空!)

 或る“神のごとき”彫刻家さんの展覧会へ、
 皆どうかさま、ぜひ♪
 


 
    では、ここでプチプラお菓子のオマケ画像も!
   
    『YBC』さんの
    《チップスター 瀬戸内レモン味》は……
    「ほんのりィれもんッ!」
    「がるぐるる!」(←訳:食べやすい!)
    塩味なお菓子が食べたいよう!なオヤツタイムに
    おすすめです♫

  
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王さまの《顔競べ》。

2018-06-05 22:24:36 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 びょうよみィ、かいしィ~なのでス!」
「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!不安と期待と!)

 こんにちは、ネーさです。
 書店さんのスポーツ雑誌コーナーに
 サッカー専門誌の増刊号がずら~りと並んで、
 もうすぐW杯なんだわ!と実感してしまいますね。
 本日の読書タイムは、
 日本代表の選手さんたちが合宿している、
 オーストリア……と縁がなくもないような
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪
 
  



      ―― ハプスブルク家700年の顔の変化 ――



 著者は平下斐雄(ひらした・あやお)さん、2017年11月に発行されました。
 『下唇突出の家系』と副題が付されています。

「あはぁ! おーすとりあのォ、おうさまッ!」
「ぐるがっるるぐる!」(←訳:欧州きっての名家!)

 中世から近代にかけて
 ヨーロッパに君臨した王族といえば、
 はい、ハプスブルク家、ですね。

 始祖とさせるのは
 ルドルフ一世(1218~1291)。

 そのルドルフ一世の、
 肖像画に描かれた横顔、
 墓石の彫刻を
 興味津々に眺めます。

 長い顔、
 特徴的な鷲鼻、
 そして……目立つのは、顎。

 ええ、実は、著者・平下さん、
 歯学博士号を持つ、
 矯正歯科の専門医さんなんです。

 つまり、“顎の専門家”さんですから、
 ルドルフ一世の肖像画に、
 多くの子孫たちの肖像や彫刻、写真に、
 或る共通項を読み取らないではいられません。

「それがァ、あごォ、でスかッ?」
「がっるぐるがる!」(←訳:パッと見で判別!)

 私ネーさ、ハプスブルク家の顔といったら、
 鼻、だと思っていたんですけれど、
 平下さんの解説を読みながら
 代々の王様たちの肖像画を見比べていて、
 そうか、なるほど!と頷いてしまいました。

 鷲鼻、細長い鼻だけじゃなく、
 顎を中心とする顔の下半分――
 そこに、“王家の血”が現れているような気がしますね。

「すぺいんでもォ~!」
「ぐるるがる!」(←訳:ドイツでも!)

 幸いにも、というべきでしょうか、
 ハプスブルク家色が薄い顔の王族さんもいるようです。

 美女として名高い、
 エリザベート妃(1837~1898)は
 歯並びは悪かったと伝えられていますが、
 気品或る顔立ち。

「すたいるもォ、ばつぐんッ!」
「がるるるぐるぅ!」(←訳:惚れ惚れするぅ!)

 名家の始祖、
 本家、分家、遠縁者にまで顕著な“血”のしるし。

 一般受けするテーマの御本ではないのでしょうけれども、
 肖像画大好きな私ネーさには
 ひどく考えさせられる一冊でした。
 “王の顔”は、
 さて、現在は、どこに……?

「さがしてみたらァ~」
「ぐるるるがる!」(←訳:見つかるかも!)

 西洋史や時代小説好きな御方、
 美術史好きな御方におすすめです。
 歴史を動かす
 一大王家の《顔競べ》体験を、
 皆さまも、ぜひ!


 
 
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東西南北、海底から宇宙まで!

2018-06-04 22:09:08 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぷむむゥ! くやしィ~のでスゥ!」
「がるる!ぐるがるぐる!」(←訳:虎です!でも次がある!)

 こんにちは、ネーさです。
 赤土のコートにラケットを叩きつける錦織選手の姿を、
 どうにもやるせなく、悲しくなりました、が。
 そうだ次がある!次よ次!
 次の全英、ウィンブルドンのセンターコートで躍動する
 錦織選手に思い馳せつつ、
 さあ、本日の読書タイムはこちらの御本で、
 地球のあっちこっちを飛び回りましょう~♪
 
  



        ―― 生物学者、地球を行く ――



 編者は日本生態学会 北海道地区会の皆さん、
 責任編集は小林真さん、工藤岳さん、2018年4月に発行されました。
 『まだ知らない生きものを調べに、深海から宇宙まで』と
 副題が付されています。

「せいたいィがくゥ~…??」
「ぐるがぅる??」(←訳:それなぁに??)

 環境と生物のかかわりを研究する生物学の分野があって、
 それを生物学(エコロジー)と呼ぶ――と、
 御本の冒頭に記されています。

   地球上にはどうしてこんなにも多くの静物画進化し、
   繁栄しているのか?

   気候変動は地球の生態系に
   どのような影響を及ぼすのか?

 などの疑問はもとより、
 
   なぜ、どうやって、
   こんな場所に生物がすんでいるのか?

 という、進化論、生命論にも結びつく研究も、
 生態学には含まれています。

「ふァ~、はてしないィのでスゥ!」
「がるぐる!」(←訳:遠大だね!)

 壮大にして遠大な研究ですけれど、
 私たち活字マニアが親近感を抱いちゃう御名前も、
 この御本の中に見つけることが出来るんですよ。

 昨年から大評判になっていて、
 ベストセラーリストにず~っと登場中の、
 前野ウルド浩太郎さん著
 『バッタを倒しにアフリカへ』。

 その前田さんがこの御本に寄せているのは、
 はい、本文112ページの、

 《サハラ砂漠にバッタを求めて》。

「わわわァ、さはあらァさばくゥ??」
「ぐるるるるるがるる!」(←訳:とんでもない場所に!)

 “身も心も焼け焦げる砂漠にて、
  バッタを追いかけまわすフィールドワークの模様を
  ドラマチックに紹介したい”

 と、前野さん御自身が述懐する、
 《人間ポリタンク》方式実地調査とは――

「ううゥッ、きぜつゥしそうゥでス!」
「がるぐるがるるるぐるる?」(←訳:もう少し穏やかな調査は?)

 穏やか? うーん、そうね……
 あ、これなんてどうかしら?

 工藤岳さんによる、
 《温帯に浮かぶツンドラ:高山植物の生きざま》!

 ハードボイルド小説を彷彿とさせる、
 標高3千メートルや4千メートルの高地に咲く花たち……

 高山植物って短命そうだなぁ、って思うでしょ?
 でも、必ずしもそうじゃないのよ。
 種類によっては
 700~800年も生きている植物もあるんですって!

「ななひゃくゥ!」
「ぐるるるがるぐる!」(←訳:ゾウガメより長命!)

 赤道直下の氷河に、
 世界一高い木の森の天辺に、
 ヒトが造った都市の狭間に、
 そして……もしかしたら、宇宙に?

 ひっそりと、
 あるいは堂々と、
 地球のあらゆる場所に暮らす生きものたちの素顔に
 グイグイ迫ってゆくこの御本には
 29編の調査記録が収録されています。

 ノンフィクション好きな御方にぜひのおすすめですので、
 本屋さんで、図書館で、
 探してみてくださいね~♫
 
 
 
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大画面に刻む《歴史》。

2018-06-03 22:19:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あわわッ! こわいィ~でスゥ!」
「がるる!ぐるるるる~??」(←訳:虎です!どうしよう~??)

 こんにちは、ネーさです。
 ホタルブクロに加え、
 クチナシの花まで咲き始めた我が家のジャングルな庭に、
 ひっくりなしにやって来るのは多数のミツバチたち……
 刺激しないように~とドアの開閉にも注意しております。
 日が暮れて、ミツハチたちも去ったところでホッとして、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらのアート本を、どうぞ~♪
 
  



         ―― ART GALLERY 歴史画 ――



 監修は青柳正規さん、木島俊介さん、中野京子さん、
 高橋達史さんが責任編集を務める《テーマで観る世界の名画》シリーズ第8巻は
 2018年4月に発行されました。
 『人間のものがたり』と副題が付されています。

「うゥ~…おもそうゥ~…」
「ぐるるるるる~…」(←訳:濃そうだよね~…)

 相変わらず大判ね、重量あるわよねぇ、
 おまけにこの第8巻のテーマは歴史ときてますから、
 内容も重たいんでしょうねえ。

 と、抱え持てば首が凝ってくること間違いなしの美術書を前に、
 両の肩には疑問ものしかかってきます。

 ……歴史画って、何でしょう?

「むんッ? えェ~とォ??」
「がるるぐるるるる?」(←訳:歴史の名場面の画?)

 では、歴史の名場面とは、
 ノンフィクションな絵画、ということでしょうか?

 御本の表紙には、
 小さいサイズではありますが、
 或る有名な絵画が印刷されています。

 ウジェーヌ・ドラクロワさん作
 『民衆を導く自由の女神』(1830年)。

 ブルボン王朝を打倒せんと
 立ちあがった市民たちを導くのは、
 《フランス共和国》の擬人像マリアンヌ。

 そう、マリアンヌさんは、
 現実の人間ではありません。

 目には見えず、
 実在するヒトではなく、
 いわばファンタジーのような存在でありながらも。

 画面の中から、
 彼女は人びとを鼓舞し、社会を動かし、
 歴史のベクトルを固定させます。

 決して、逆戻りはさせない。
 この世を、革命以前の社会へ戻させはしない、と。

「じゅうようなァ、あぴーるゥ!」
「ぐっるるがるる!」(←訳:やっぱり重たい!)

 歴史画とは何か、という疑問に対する
 これが答えなのでしょうか。

 またあるいは、
 本文24~25ページ。

 そこには見開きで大きく、
 あの作品が紹介されています。

 パブロ・ピカソさん作
 『ゲルニカ』(1937年)。

「うんッ、そうかァ!」
「がるるぐるる!」(←訳:これも歴史画!)

 いかにも歴史画の定義に相応しいような、
 ルーベンスさんの大作
 『マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸』(1623~25年)や、
 ラファエロ・サンツィオさんの
 『アテネの学堂』(1509~10年)、
 ジェリコーさんの
 『メデューズ号の筏』(1818~19年)といった、
 多彩色で入念に描き込まれた作品群の只中で、
 白・黒・グレーで荒々しく、
 粗雑とさえ形容できるタッチの『ゲルニカ』は
 否応なく目立ちます。

 ですが、
 くすんだ色彩の画面から放たれる叫びに、
 わたしたちは耳を傾けず似合いられません。

 歴史とは、
 人間のものがたりとは、
 どんな瞬間から成っているのかを。

「かいせつもォ、よみごたえェありまスゥ!」
「ぐるるる!」(←訳:ズシンと!)

 御本巻末に収録されている
 佐藤賢一さんのエッセイの面白さからもお分かりのように、
 アート本というよりも
 歴史本としておすすめしたい一冊です。
 画集好きな御方、
 歴史小説、ノンフィクション好きな御方も、
 ぜひ手に取ってみてくださいね~♪
 
 
 
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めぐって観よう、全フロア!

2018-06-02 22:10:19 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 せんぷうゥ、まきおこれェ~!」
「がるる!ぐるるるーるるがるぐる!」(←訳:虎です!クレイコートの勇者たれ!)

 こんにちは、ネーさです。
 サッカーの話題をフリたいところですが、
 今週末は!
 全仏オープンで頑張る錦織圭さんに声援を送りたいわ!
 目指せローランギャロスの晴れ舞台、
 決勝戦へ勧めますようにと祈りながらの、
 読書をサボっての展覧会情報、
 本日は、こちら↓を、どうぞ~♪
 
  



         ―― MOMATコレクション ――



 東京・千代田区北の丸公園の東京国立近代美術館にて、
 会期は2018年6月5日~9月24日
 (月曜休館、ただし7/16、9/17、9/24は開館し、7/17と9/48は休館)、
 『所蔵作品展』と副題が付されています。

「じょうせつゥてんじィ??」
「ぐるがぅっるぐる~?」(←訳:とはちょっと違う~??)

 ↑上の画像の、チラシ(フライヤー)中央を飾っているのは、

 和田三造(わだ・さんぞう)さん(1883~1967)の、
 『南風』。

 この作品が重要文化財に新たに指定されることを機に、
 美術館の3階第10室では、
 《明治150年》にちなんで
 『明治後期の美術』が
 特集展示されるんですよ。

「ゆうめいィなァ、さくひんッ、なのにィ~?」
「がるぐるるるがるるる!」(←訳:今年ようやく重文指定!)

  

 東京国立近代美術館(The National Museumu of Modern Art,tokyo)の
 13,000点を超える所蔵作品の中から、
 約200点をよりすぐって開催される
 『MOMATコレクション展』。

 企画展ではないので、
 観覧料は一般が500円、
 大学生は250円、
 高校生以下および18歳未満、
 障害者手帳をお持ちの方とその付添者さん1名は無料、
 MOMATパスポートをお持ちの方も無料、と
 リーズナブルなお値段で観賞できます。

  

 また、6月19日~9月24日の期間は
 2階のギャラリー4にて
 コレクションによる小企画
 《瀧口修造と彼が見つめた作家たち》が
 開催されていますよ。

「うむッ! あるきやすいィ~くつでェ、おでかけしてッ!」
「ぐるるるがるぐるる!」(←訳:全フロア制覇しよう!)

 休館日を除く毎日の14:00~15:00には
 ガイドスタッフさんによる
 所蔵品ガイドも催行されます(参加無料)。
 アート好きな皆さま、
 緑まぶしい北の丸公園のアート散歩へ、ぜひ♪
 
 


   では、夏日はこれでクールダウン!なオマケ画像も、ここで♫
   
    『森永製菓』さんの
    《ダース Mint ミント》は、
    つぶつぶミントチップ入りで、
    ミントレベル2!……なのだそうです。
    「みためェよりィもッ!」
    「がーるーるるぅ!」(←訳:スースーするぅ!)
    きりっと冷した三ツ矢サイダーが似合いそうな
    小粒ショコラをおやつに、
    皆さま、どうか穏やかな休日を♪

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時代を、超えて?

2018-06-01 22:21:49 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッスゥ!
 またしてもォ、びッくりィ~!」
「がるる!ぐるがるる~!」(←訳:虎です!仰天だよう~!)

 こんにちは、ネーさです。
 5月31日、W杯の展望に勝るとも劣らない衝撃が
 スポーツ界を駆け抜けました。
 レアル・マドリーのジダン監督が辞任……!
 欧州サッカー界勢力図の大変動を予感しながらも、
 ここで気持ちを切り替え、
 本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



        ―― 薬屋のひとりごと ――



 著者は日向夏(ひゅうが・なつ)さん、2014年8月に発行されました。
 最近コミック化されて話題になっている同名作品の、
 こちらは原作小説です。
 現在は第7巻まで刊行されているんですけど、
 もしかしたらアニメ化もありそうな勢いですわねえ。

「げんきなァ、ふぁんたじィ~!」
「ぐるがるるるぐるぅ?」(←訳:いやミステリでしょ?)

 “中華ファンタジー”と呼ばれるジャンルのフィクションに、
 この御本も当てはまるのかもしれません。

 時代は、たぶん、ずいぶんと昔むかし。

 舞台は、大陸の中央に位置する、とある大国。

 大国の首都には皇帝が住まう広大な宮殿があり、
 宮殿の奥には後宮がある――

「ふァ~、なァるほどォ~」
「がるるぐるるがる~」(←訳:歴史の共通項だね~)

 どこの国の、どんな時代にも、
 同じような仕組みがありました。
 ひとりの“王”と、
 何人、ときには何十人もの“妃”。

 この物語の主人公・猫猫(マオマオ)さんも、
 “王”の目に留まるべく、
 美貌に磨きをかけて後宮へ……

 来た、ってことは、決してなく。

「ひどいィはなしィ、なのでス!」
「ぐるるるるるる!」(←訳:さらわれたんだ!)

 猫猫さん、森で薬草探しをしていたところを
 人さらいに捕まり、
 後宮に送り込まれてしまったのです。

 そこで、
 来たくもない場所に押し込められた猫猫さんが、
 えーんえーんと泣き喚いたのかというと?

「……ひょうじょゥ、かわりィなしィ?」
「がるるるるる?」(←訳:泣いてないね?)

 猫猫さん、17歳。

 17歳の若さなれど、彼女は達観しておりました。

   おとなしく働いていれば、
   そのうち出られる。
   賢くないフリをして、
   万事を乗り切ってしまえばいい。

「でもねェ~それはねェ~」
「ぐるがるぐるる?」(←訳:ムリだと思うよ?)

 猫猫さんの賢くないフリ作戦、
 上手くいっていました。

 ええ、或る時点までは。

 しかし、彼女は聞いてしまったのです。

 宮中のウワサ――
 皇帝の御子たちが次々と儚くなるのは
 呪いのしわざだという、下女たちのお喋りを。

   頭痛、腹痛、吐き気のはてに、重態?
   それって呪いじゃないだろう。
   おそらく原因は。

「ふァ~、さくせんがァ!」
「がるるぅるるる!」(←訳:バレちゃうよう!)

 好奇心を募らせ、
 《薬屋》の本性を覗かせたた猫猫さんの、
 賢くないフリ作戦は、失敗してしまうのか?

 猫猫さんのみならず、
 わたしたち読み手の好奇心をも急上昇させる
 ファンタジックな、
 そしてミステリアスな物語の着地点は?

 楽しくもリズミカルな
 猫猫さんの後宮《医薬》ミステリ、
 週末の読書タイムにおすすめです。
 ぜひ!
 
 
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