テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

じんわり、鳥肌?

2018-06-10 22:16:26 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 つつつッ、つゆゥざむゥ??」
「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!上着がいるね!)

 こんにちは、ネーさです。
 半袖では心許ないこの梅雨寒は……
 もしや“怪談シーズン”到来を告げる身の震えなのでしょうか。
 両腕の鳥肌をさすりながらの本日の読書タイムは、
 さあ、こちらの怖~い御話を、どうぞ~♪

  



           ―― あやかし草紙 ――



 著者は宮部みゆきさん、2018年4月に発行されました。
 『三島屋変調百物語伍之続(みしまやへんちょうひゃくものがたりごのつづき)』
 と副題が付されているこの御本は、
 《三島屋変調百物語》シリーズの最新刊です。

「あううゥ! こわいィ~のにィ~!」
「ぐるがるるるるる!」(←訳:人気なんだよねえ!)

 お江戸の時代の、
 さて、いつの頃の出来事なのか……

 川崎宿の、宿屋さんのお嬢さん・おちかさんは
 或る不幸な事件にすっかり打ちのめされてしまい、
 江戸の叔父夫婦のもとで
 暮らすことになりました。

 17歳は、まだまだ若い。
 環境を変え、
 叔父さんが営む袋物屋《三島屋》で
 江戸の空気に触れてみれば、
 きっと立ち直れるだろうとの配慮でしたが。

「おちかさんッ、まじめェなんだからァ!」
「がるるるぐるぅ!」(←訳:働き過ぎだよぅ!)

 三島屋さんで、ちょっとはのんびりしてもいいのに、
 朝から晩まで黙々と、
 何もかも忘れようとするかのごとく
 立ち働くおちかさん。

 しかし、転機が訪れました。

「こわいィ~おはなしがッ?」
「ぐるるる?」(←訳:怖くない?)

 お客さまから聞かされた、怖いおはなし。
 怖ろしいはずのそのお話が、
 彼女の目を覚まさせます。

 広い世間には、
 思いもかけぬ出来事があり、
 その出来事の只中に身を置いた人も
 一人や二人ではない――

 以来、おちかさんは進んで
 怖いおはなしに耳を傾け、
 三島屋さんには百物語小町がいると話題になりました。

「かわらばんにもォ、なッちゃッたでス!」
「がるっるるぐるる!」(←訳:江戸っ子に大評判!)

 シリーズ5作品目のこの御本には、
 第1話から第5話まで、5つの御話が収録されています。

 中でも、《三島屋》ファンの方々を
 ええっ!!と驚かせること必定なのは
 表題作品の第4話『あやかし草紙』と
 第5話『金目の猫』ですね。

「かんぜんにィ、よそうがいィのてんかいィ、でしたでスよゥ!」
「ぐるるるっる!」(←訳:読めなかった!)

 三島屋さんに出入りする、
 貸本屋・瓢箪古堂の若旦那、勘一(かんいち)さん。

 勘一さんの昔語りと、
 勘一さんとは縁もゆかりもないように見える、
 ある御婆さんの昔語り。

 ふたつのものがたりが、
 おちかさんの日常を一変させます。

 いえ、これはもう、激変と呼ぶべきでしょうか?

「これからァ、どうなッちゃうのッ?」
「がるるーる!」(←訳:視えなーい!)

 怖いおはなしと、
 こころ優しい聴き手。

 読み手の私たちにも馴染んでいたその定型を捨て、
 新たな百物語が始まる予感ひしひしの
 シリーズ第一期完結篇、
 私ネーさ、
 ゴールデンウィークの発売直後に入手したのですが、
 味わい深く、飲んども読み返したりするうち、
 御紹介が遅れてしまいました。

 《三島屋》ファン諸氏さんも、
 どうか慌てず、焦らず、
 ゆっくりゆっくり、この新局面を、
 今後の波乱の予感を楽しんでくださいね。
 シリーズ未読の皆さまは、
 第一巻『おそろし』から、ぜひ!



 
コメント
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