テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

《音》が、つなぐ。

2018-06-22 22:31:19 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 くろあちあァ、おそるゥべしィ!」
「がるる!ぐるるるるるがる!」(←訳:虎です!アルゼンチン窮地!)

 こんにちは、ネーさです。
 毎日のように意外な勝敗結果が報じられているロシアW杯、
 メッシさんの暗過ぎる表情が気に懸かりますが、
 先ずはクロアチアの選手さんたちに拍手を贈りたいわ!
 グループリーグ突破おめでとう!
 どうか日本も……と祈りながら、
 さあ、ここからは読書タ~イム!
 本日は、こちらのご本を、どうぞ~♪
 
  



       ―― 夏目漱石とクラシック音楽 ――



 著者は瀧井敬子(たきい・けいこ)さん、2018年3月に発行されました。
 前回記事では絵画界の巨匠・ベラスケスさんについての
 評伝作品を御紹介いたしましたが、
 今回は日本近代文学史上の巨匠・漱石さんの
 《音楽人生》を探るノンフィクション作品に登場いただきましょう。

「ふむッ? そうせきィさんてばァ~…」
「ぐるるるがっるる?」(←訳:音楽好きだったの?)

 漱石さんが何を好んでいたのかといえば、
 いちばんに思い浮かぶのは
 《絵画》でしょうか。

 漱石さんの作品のあちこちに、
 ロンドン留学中に鑑賞した絵画の感想、
 どの画家、どの絵画が印象に残ったかが
 詳しく綴られていますし、
 日本に帰国後も
 絵画鑑賞に並々ならぬ熱意を抱いていたのは
 よく知られています。

 その漱石さん、
 実は《絵画》だけではなく
 《音楽》にも深く魅せられていたのでした。

「それもォ、やぱりィ~」
「がるるるる?」(←訳:ロンドンで?)

 いえ、それがね、
 漱石さんが《音楽》に興味を持ったきっかけは
 留学前の、日本でのことだったんです。

 漱石さんの教え子、
 のちに物理学者・随筆家・俳人としても名をなす
 寺田寅彦さんは、
 大の音楽好き♪

 大学入学のため、
 熊本から東京に出てきたばかりのピヨっ子・寅彦さんが
 たぶん嬉しくって堪らなかったのは――

「こんさーとォ!」
「ぐるがるるーるるぐるる!」(←訳:洋楽コンサートに行ける!)

 明治の東京の、それはひとつの恩恵だったでしょうか。

 西洋から入ってきた音楽、
 聴いたこともない西洋の音楽というものに
 コンサートという形で
 初めて出会える喜び!

 そして虎彦さんの歓喜に引っ張られるようにして、
 漱石さんも西洋の音楽に耳を傾け、
 やがて、ロンドンへ行ってみれば……

「ほんもののォ、えんそうゥ!」
「がーるるぐるがぅるるるる!」(←訳:ホールに響くヴァイオリン!)

 この御本の、影の主役は
 寺田寅彦さんかもしれません。

 漱石さんと寅彦さんが《音楽》を介して織り成す
 絶妙のハーモニーは、
 漱石さんの創作の奥底に根を張り、
 さらには漱石さんの家族も
 《音楽》の世界へ――

「げきどうのォじだいィ、でスからッ」
「ぐるるるるがるるるるぐるるるる!」(←訳:良いことも悪いこともテンコ盛り!)

 《音楽》への密かな、
 しかし、削がれることのない、
 強い想い。

 明治の東京とロンドン、
 《音》の扉を静かに開ける著者・瀧井さんの労作を、
 歴史好きな方々、
 漱石さんファンの皆さまも、
 ぜひ、一読してみてくださいね♫
 
 
 
コメント
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