喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『てつがくのライオン』

2013-03-31 17:37:39 | 本・雑誌

午後、武庫川の古書店「街の草」さんへ。
うらぶれた市場の角を曲って東を向くと、いつものこの景色が。
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いいですねえ。安心します。
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この前、取り置いて頂いていた本を戴きに。
店内に入ると、いつもに増して本の山だった。先日のサンボーホールでの古書市から帰って来た本が通路まで埋め尽くしている。
あれ、店主はいずこ?姿が見えない、と思ったら保護色のような加納さんが本の山の谷間から、メガネをかけ直しながら、「てつがくのライオン」のような顔をしてむっくりと頭をもたげた。
しばらくよもやま話をして、おいとましようと外に出て、またそこで立ち話をしながら何となく段ボールの中を見るともなしに見ていて、目についた背表紙。
あれ?こんなのが、と手に取ったのがこれ。
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工藤直子さんの『てつがくのライオン』(理論社・フェア文庫)。
わたしこれのオリジナル本を持ってますが、せっかく手に取ったので買っておきました。
何かの時にどなたかに差し上げようと。
で、帰りの電車でパラパラめくって、奥付けのページを見て、あれっ?
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こんな書き込みがしてありました。
面白い!これは何だ?
教師から生徒へ?コーチから選手へ?先輩から後輩へ?あるいは…?などと想像が巡ります。
1993年発行。今、この岡村さんと玉田さんはどうしておられるのだろうか?

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「おたくさ」

2013-03-31 10:40:52 | 杉山平一先生

神戸の詩人、鈴木漠さんからお贈り頂いた。
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詩と連句の冊子「おたくさ」です。
手づくりなさっている貴重なものをいつもお贈り頂いて申しわけなく思っています。
この表紙詩に感嘆しました。
杉山平一先生への追悼詩ですが、スゴイですね。
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押韻のソネットですが、散りばめられている言葉がスゴイ!
杉山平一ファンなら分かるが、先生の一生が俯瞰できるような造りになっている。
漠さんという人はスゴイとは思っていたが、これほどのものを見せられると改めて敬意を表します。

冊子は連句が主だが、後半に漠氏の評論が載っている。短歌誌「六甲」に連載されているものの再録だが、これが勉強になる。
今回の「俳諧とジャポニズム」には、そんな視点があるのか!”と驚いた。
江戸時代の浮世絵が輸出陶磁器の梱包に使われてヨーロッパへ渡り、フランス印象派画家たちに影響を与えたことは知られているが、―略―だとすると、同じようなルートでヨーロッパの人士の眼にふれた、大量に印刷された俳諧本などが、浮世絵同様、文芸の分野でも影響を与えたのではないか、と。
そして漠氏は、レディゲ、ジャコブ、リルケなどの作品を上げその関連性を指摘しておられる。
かねて、漠氏は猛烈な勉強家だとは知っていたが、やはり改めてスゴイ人だ。

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ドリアン助川さん

2013-03-31 08:21:59 | ドリアン助川さん

今朝の神戸新聞「本」欄に、わたしの心の友、森文子さんが応援するドリアン助川さんがトップ記事に登場。
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ドリアンさんが最近出された本『あん』について。
わたしも森さんに勧められて読んだが良かった。
http://blog.goo.ne.jp/coffeecup0816/d/20130215
記事では、この小説の構想が浮かんだのは1990年だったと。
そうか、構想以来20年以上経っていたのか。
ラジオ深夜番組のパーソナリティーとして語り合った若者たちが、生きる意味を「世のため、人のため」と考えていることに違和感を覚え…、
その後、ハンセン病患者のことを知り、
「ずっと療養所に閉じ込められて来た方々や、あの子供は、若者らが言うような意味では社会や人の役に立たなかったかもしれない。では生まれてきた意味はないのか」
そんなことを胸に抱いている時に、あるきっかけから「天から滴がぽんと落ちてきた」ように物語のイメージが浮かび上がったのだと。
「十数年かけた探索の結果が詰まってます」と。
広く読まれて欲しい本だ。

コメント (4)
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