先週の日曜日は神戸で「火曜日」の合評会だったのだが、その時に驚くことがあった。
中島瑞穂さんの詩である。
彼女は常人とは違う視線からの詩を書く人で、いつも感心させられているのだが、正直今回のは、オシャレな詩だなという程度でそれほどとは思わなかった。
ところがだ。
ある同人が評をしている途中で彼女が発言を求め、「解ってもらってますでしょうか?」と。
彼女の説明によると、実はベンチに座っていた女性がノートに書き始めたのは詩だったのだ。
最後の「ルークは悲しかった/子犬の名前になるはずだったのに…」は、単に詩の最初に戻るというだけではなく、その女性が書き始めた詩だったのだ。よく見ると下段の二行は一字落ちになっている。しかし分かりにくい。ということで、もっと分かりやすくというのがみんなの意見。例えば二字落ちにするとか、編集を工夫して最後の二行が下段に行かないようにするとか。あるいは、ご自分が提案されたが、「そしてノートに何かを書き始めた」を「そしてノートに書き始めた」とするとか。安水先生の意見でも、「惜しいですね。これでは読者は解らないでしょう。解ってもらえる工夫が必要ですね」と。
ということでこの詩は、永遠に循環するわけなのです。
念のために添えますが、ルークは名前であり、その名前が自分を売り込んでいるという設定なのです。
そんなことが分かってわたしはアッと驚いたのです。そんな仕掛けがあったのか!と。
やはり彼女の詩は油断がならない。