喫茶 輪

コーヒーカップの耳

「六甲」2月号

2016-02-05 16:33:41 | 文学
「六甲」2月号をお贈り頂いた。



前号の一月号から表紙絵が代わっている。
今年一年はこの絵でいくのですね。
いい絵ですねえ。吉見敏治さんという人が描いておられる。

お送り下さった田岡弘子さんの作品が今号は巻頭に。

「一、二、三、続くこの道歩みゆかな私の足に今年もよろしく」
コミカルで明るい歌。お正月に作られたのでしょうね。

「今日どんな言葉発するやも知れず怖れつつ漱ぐ朝の口中」
「嬉しそうな淋しさうな恐さうな黙って座るバスの顔顔」
この二首、わたし好きでした。どちらも心が歌われている。

他に、牧野秀子さん。
「冬びよりの千本格子、虫籠窓京の町家は物音もなし」
など、やはりこの人の観照眼は静かで鋭い。

また門外漢がいっぱしの口を叩きました。
見当はずれはお許しください。

竹本美屋子さん。
「空気に馴れ空気の中の音に馴れ住みて二度目の正月迎ふ」
竹本さんは以前わたしの町内に住んでおられた人だと思う。
お会いして話したことはないが。
そうですか、もう二年になられますか。人づてにお聞きしたところでは施設に入っておられると。
どうかお元気で。

短歌以外のページも注目。
毎号地味なお仕事をなさっている坂野訓子さんの「兵庫讃歌が生まれるまで」。
そして鈴木漠さんの「翻訳詩逍遥」が面白い。
明治初年に翻訳された『文語訳聖書』と『古事記』の文体が似ているとの指摘。
双方の一節を上げて比べての論評がユニーク。
なるほどと思ってしまう。
しかし鈴木漠さんはよく勉強しておられる。

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「お言葉ですが…」

2016-02-05 10:46:32 | ブログ
高島俊男さんのブログ「お言葉ですが… 最新版」の
「国語という言葉 5」にちょっと驚き。

こう始まります。
≪「国語」は場合によっては険悪な、暴力的な語である。したがって「国語学」「国語学者」も場合によっては険悪である。≫
ちょっと物騒な物言い。

その文の締め。
≪東條操『方言と方言学』(増訂版昭和十九年春陽堂)の著者東條は、こういうテーマ内容の本を書くくらいだからもとより方言の貴重なこと尊重すべきことを説いた国語学者であるが、しかしこの本のなかでこう書いている。
  〈翻つて、国民思想統一の立場から考へると国語統一の必要は勿論いふまでもなく急務であり、国語教育の目的が標準語教育による国語統一にあることは疑ふべからざる事実である。〉
 いやでもこう書かねばならなかった。それが戦前の国語学の置かれた立場だったのである。≫


途中も読むと納得できます。ああそうだったのかと。
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将棋教室、お休み。

2016-02-04 21:42:23 | 将棋
今夜は用海公民館での「子ども将棋教室」でした。
わたし、年中、子どもの将棋指導してます。
中にギャラが多少出るのもありますが、ほぼボランティアで。
今月、用海公民館は緊急工事が入ってお休みになります。
2月11日から19日まで。
それで将棋教室も来週とその次の18日がお休みになります。
たまには息抜きにこんなお休みが欲しいです。
ちょっとほっとしてます。
とはいっても他の教室はあります。
「宮水ジュニア」の6日と20日。
そして鳴尾の13日。
さらに8日と29日は用海小学校の将棋クラブ。
なかなかのんびりとはさせてもらえません。
もうそろそろ後継者が欲しいのですが、今の時代なかなかありませんねえ。
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血圧を下げるハンドグリップ

2016-02-03 22:14:43 | 健康・病気
これはやってみる価値がありそう。


血圧を下げるハンドグリップ
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『従軍慰安婦だったあなたへ』

2016-02-03 12:52:14 | 
お借りしていた杉山平一先生が所蔵しておられた本。
『従軍慰安婦だったあなたへ』(井上俊夫・かもがわ出版 1993年刊)



昨日一日で読み終えました。
パートⅠ、Ⅱに載っている散文や詩があまりにも強烈で、わたしは論評できません。
著者自らの戦中(軍隊)体験が赤裸々に、また正直に書かれていて胸を塞ぎます。
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『甲陽史学会 著作目録』

2016-02-02 11:36:34 | アート・文化
これはスゴイ本です。
こんなのがあるなんてわたし知りませんでした。

『甲陽史学会 著作目録』(甲陽史学会記念事業会刊)
昭和60年の発行です。
調べてみると西宮図書館が架蔵してます。
この本、田岡香逸さんのご子息、田岡春夫さんにお借りしました。
香逸さん、夥しい論文を書いておられる。
素晴らしいお仕事をなさってきたとは知っていたが、これほどだとは思っていなかった。
この種の論文には大変な裏付け仕事が後ろに潜んでいるのは言うまでもありません。
わたしは西宮の恩人ではないかと思っている。今の郷土史家さんはどうなんだろう。まあ、ここまでやる人はいないでしょうねえ。今活躍されてる人はみなさん、田岡さんのご苦労の上に乗っておられるのでは?文献など引用されたらちゃんと出典を記すべきでしょうが、怠っておられる人はないでしょうか?

田岡さんは、驚くなかれ、西宮だけではなく広く県下全般。そして滋賀県など県外にまでも調査の足をのばしておられる。
驚いたのは、わたしの家内のお姉さんの嫁ぎ先の豊岡市法花寺にある酒垂神社にまで調査に行っておられる。

そして、あの高名な民俗学者、宮本常一との深い交流。
また宮本を通じての渋沢敬三との交流もあったとは!
西宮の郷土史を勉強する人ならだれでもご存知なのだろうが、恥ずかしながらわたし、知りませんでした。

心温まる箇所をちょっと紹介します。田岡さんの談話です。
この本を貸して下さった春夫さんが登場します。

≪高井君や宮川君は学校の勤務があるから、毎週土曜日、日曜日に行くことはできない。高井君や宮川君が手がすくといえば、出かけるときは、朝、家を出る時は暗いうちに出て、加古川あたりにはたいてい七時半ぐらいに行っている。丹波へ行くにも朝一番の電車で、宝塚から乗るのは六時半か、そのころの汽車に乗って多紀郡や氷上郡に出て行く。あるいは但馬へもそれで出て行くようにして、時間をできるだけ寸分惜しんで調査する。高井君も宮川君も昼飯食べずに調査したことは何遍でもある。うちの春夫でも、小さい時分からそれを見ているから、弁当を持っていっても、「お父さん、もうこれやってしまおう。残ったら、また来んならん。やってしまおう」と言って、持って行った弁当をそのまま持って帰ったことは何遍でもある。小さい、まだ小学校へ行っていた時でも。≫

春夫さんから、ある程度お話はお聞きしていたが、わたしは漠然と聞いていた。今これを読んで、真実味を感じています。
こんな写真が載っています。

まだ小学生らしき春夫さんが写ってます。
昭和34年夏とあります。ということは春夫さん、まだ8歳だ。小学2年か3年ぐらい。
こんなころからお手伝いをしておられたのです。
この前お会いしたとき、ある程度のお話はお聞きしたが、まだまだ聞いておかなければならないだろうなあ。

この本、ほかにも貴重な記事が載ってます。
宮本常一さんの「私の学んだ人―田岡香逸」もいいし、ご自身が語られた「甲陽史学会の夢」も面白く興味深い。また、先年文化勲章を受けられた脇田晴子さんの「甲陽史学会初期のころと私」も貴重だ。「田岡のおじさん」と文章は始まる。
脇田さんのこと、西宮市はもっとアピールしなくては。上層部の職員にその教養がなければ仕方ないか。
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「富田砕花翁  Ⅰ」

2016-02-02 10:37:52 | 神戸っ子
『KOBECCO』2月号が出ています。
今号の「触媒のうた」は「富田砕花翁 Ⅰ」と題して書かせてもらってます。
「神戸っ子」のHPから立ち読みできますのでよろしく。

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『あなたという国』

2016-02-01 15:17:03 | ドリアン助川さん
久しぶりに読みごたえのある小説を読ませてもらいました。


『あなたという国』(ドリアン助川著・新潮社)
一昨日に入手したのですが、丁度孫たちが来ていたのでその日は読めませんでした。
なので昨日から読み始めたのです。
しかしもう読んでしまいました。
遅読のわたしにしては珍しいこと。

スケールの大きな小説なのに、繊細なのです。
ニューヨークが舞台で、人種問題、領土問題なども扱われています。
しかし暗くはない。重いはずなのに、重くも感じられない。
底流にロック音楽が流れているからだろうか。登場人物が若いからだろうか。
いやそれだけではなく、作者(助川さん)の繊細で清らかな精神が流れているからでしょう。
途中、こんな箇所があります。
166ページです。
「(略)この世界はたくさんある世界のひとつでしかないと感じられるんだよ。自分を含め、すべてが消えてしまったとしても本当に大きな存在はなにひとつ変わらないんだって。この世界は、そのことを知らないんだ。だから世界ごと孤独なんだよ」
こんな表現、わたし初めて読みました。
「世界ごと孤独」
これは助川さんの発想なのだろうか?
そうなんだろうなあ。
とすると、やはりその感性はスゴイ。

物語の最後はちょっと予想が外れました。
わたしが想像してたより深い所へ誘われました。
単なる物語、楽しい話を読んだというだけではなく、読み手に深く考えさせる小説でした。
読み終えた後、読み手も成長させてもらえるような、そんな小説。
しかしこれ、作者のドリアンさんもおっしゃっているように映画化はちょっと難しいでしょうね。でも出来ないことはないかな?。


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『コーヒーカップの耳』

2016-02-01 09:26:04 | 
今日2月1日は、詩集『コーヒーカップの耳』の誕生日です。

出たのは、2001年でしたのでもう15年です。早いですねえ。
帯文を田辺聖子さんが書いて下っての出版でした。これは望外のことでした。
そして朝日新聞の書評欄に、作家の小関智弘さんが取り上げて下さるなど、当時少し話題になりましたので、自費出版の詩集には珍しく4か月後に増刷したのでした。
あれからわたしの人生も少し変わりました。
いろんな人との交流が増え、人生が豊かになりました。
最近もまた、ドリアン助川さん(映画「あん」の原作者)がご自分のフェースブックで詳しく紹介して下さるなど、思わぬ広がりがあったり。ありがたいことでした。

あの表紙絵ですが、洸人画伯にお願いしたのでした。
洸人さんは快く描いて下さいました。
そして実は、8枚の絵を描いて下さっていたのです。
今回初めてお目にかけます。少し写りが悪いですが。

どれでもお好きなのをと言われたのですが、わたしはあまり躊躇せずにあの表紙絵(左上の)に決めました。
そして、続編を出すことがあるようならまた考えようと、他の原画もわたしが持ったままになっています。
続編はエッセイでと思って書き続けていましたが…。
いつのことになるやら?

詩集『コーヒーカップの耳』は、出版元の「編集工房ノア」さん(tel 06-6373--3641)にまだ少し残っているようです。
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