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そして友よ、静かに死ね

2013年05月01日 15時15分28秒 | 洋画2011年

 ◇そして友よ、静かに死ね(2011年 フランス 102分)

 原題 Les Lyonnais

 staff 原作/エドモン・ヴィダル『さくらんぼ、ひとつかみで』

     監督・脚色/オリヴィエ・マルシャル 脚本/オリヴィエ・マルシャル エドガー・マリー

     撮影/ドゥニ・ルーダン 音楽/エルワン・クルモルヴァン

 cast ジェラール・ランヴァン チェッキー・カリョ ダニエル・デュバル ヴァレリア・カヴァーリ

 

 ◇1964年、さくらんぼ盗み

 そして、リヨンのギャング団の始まりとなるわけだけど、

 自叙伝が原作になってて、

 本人エドモン・ビダル(通称モモン)は、

 映画が公開されたときもリヨンに在住してて、子供3人と孫6人がいるっていうんだから、

 警察との露骨な取引や裏事情とか映像化されても、まあ時効って感じなのかしら?

 ともかく、フレンチ・ノワールってのは、

 男と男の友情が破綻し、破滅に追い込まれ、閉塞感ありありで逃げ回り、

 崖っぷちに思い込まれた後、陰鬱な対決と悲惨な結末が待ってるわけで、

 この映画も、そうしたフレンチ・ノワールの後を継ぐ物なんだろうけど、

 昔のものと区別するんであれば、

 ネオ・フレンチ・ノワールとかって呼べばいいのかな?

 題材のひとつになってるのは、ロマ。

 フレンチ・ノワールでは、ときどき題材にされてきた人々だ。

 ロマというのは、ぼくらの時代、ジプシーと呼ばれてた。

 ジプシーというのは英語で、フランス語だとジタン。

 ジタンといえば、ぼくなんかはフランス煙草の銘柄をおもいだしちゃうけど、

 そもそもロマって呼称は、

 東欧やイタリアで、かれらが自称してたものらしい。

 それがこの頃では共通した民族名とされてるみたいだ。

 でも、流浪の民とかいえば聞こえはいいけど、

 定住することを拒まれた民族なわけで、

 当人たちにしてみれば、身に覚えのない差別を受け、

 いうにいわれぬ苦労を強いられてきたことは誰の目にも明らかだ。

 ロマの人達が現在はどんな境遇に置かれてるのかはわからないけれど、

 主人公の少年時代はまだまだ偏見が色濃くて、

 差別されてた少年がたったひとり友達がいて、

 そいつがいろいろかばってくれたとしたら、

 おとなになったときに裏切れるだろうか?

 くわえて、若い頃、はちゃめちゃをしていた時代に、

 ふたりしてさくらんぼを盗んで投獄されるという共通体験を得ていたら、

 たとえ、その友達が悪事を続けていて、そのために命を狙われていたとしたら、

 助けようとするんじゃないのか?

 っていうのが、この映画、モモンの生涯を追った物語の本筋になるんだけど、

 結局、

 自分の信頼していた者に騙され、裏切られる人生の哀しさが主題というのも、

 なんだか身につまされるわね~。

 でもまあ、そのあたりのことはちょっと置いといて、

 ジェラール・ランヴァン、渋いわ~。

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