◇翼よ!あれが巴里の灯だ(1957年 アメリカ 138分)
原題 The Spirit of St. Louis
staff 原作/チャールズ・リンドバーグ『翼よ!あれが巴里の灯だ』
監督/ビリー・ワイルダー
脚本/ビリー・ワイルダー ウェンデル・メイズ 脚色/チャールズ・レデラー
撮影/ロバート・バークス ペヴァレル・マーレイ 空中撮影/トーマス・タットワイラー
音楽/フランツ・ワックスマン 編曲/レオニード・ラーブ
cast ジェームズ・スチュアート マーレイ・ハミルトン パトリシア・スミス マーク・コネリー
◇1927年5月20日5時52分、離陸
そして、33時間と29分30秒後、
リンドバーグを乗せたThe Spirit of St. Louis号は、
5,810kmを飛行して、ニューヨークからパリへの飛行を終えた。
人類初の単独無着陸飛行の成功だったけど、
どうやら「翼よ!~」の台詞はいってなかったらしい。
ま、そんなことはどうでもよく、
当時のニュース画像が挟み込まれてるような気がするけど、
なんともリアルに、ビリー・ワイルダーはこの映画を仕上げてる。
よくいわれるのは、
飛行当時27歳だったリンドバーグを、
撮影当時48歳だったジェームズ・スチュアートが演じたことだ。
でも、そんなことはよくあることで、
映画を観るかぎり、実際の年齢なんてまるで気にならない。
びっくりしたのは、この飛行機、前方の視界がまるでないことだ。
ぼくはほんとに無知なものだから、
この映画を観るまで、まるで知らなかった。
前方の視界をさえぎったのは、
燃料タンクを大きくして、少しでも遠くへ飛べるようにするためで、
そのため、潜望鏡のようなものを装着して飛行したんだけど、
「そんなこと、ほんとにできるの?」
という疑問は当然、わく。
だけど、現実に、
このライアンNYP単葉機The Spirit of St. Louis号は、
スミソニアン航空宇宙博物館に展示されてるらしいから、
そこまで行けば、奇妙な形をした単座の飛行機に出会えるんだろう。
まあ、それはさておき、
ジェームズ・スチュアートのことだ。
彼はもともと飛行機乗りだったようで、爆撃機の操縦士だったらしい。
第二次世界大戦の頃は陸軍の大佐だったというから筋金入りだ。
そんな経歴はともかく、
飛行機乗りに憧れる青年にとって、リンドバーグは英雄以外の何物でもなく、
その役を必死になって獲得しようとしたのは、よくうなずける。
そういうことからいえば、この映画は、
アメリカの良心といわれたジェームズ・スチュアートの
渾身の大作だったってことになるんだろね。
リンドバーグにしても、
スチュアートにしても、
たいした人間だな~と、心から想います。