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オリエント急行殺人事件

2013年05月19日 23時17分35秒 | 洋画1971~1980年

 ◇オリエント急行殺人事件(1974年 イギリス 128分)

 原題 Murder on the Orient Express

 staff 原作/アガサ・クリスティ『オリエント急行の殺人』

     監督/シドニー・ルメット 脚本/ポール・デーン

     撮影/ジェフリー・アンスワース ピーター・マクドナルド

     美術/トニー・ウォルトン ジャック・スティーヴンス

     音楽/リチャード・ロドニー・ベネット

 cast イングリッド・バーグマン ショーン・コネリー ローレン・バコール マイケル・ヨーク

     ヴァネッサ・レッドグレイヴ ジャクリーン・ビセット リチャード・ウィドマーク

 

 ◇1932年3月1日、リンドバーグ愛児誘拐事件

 チャールズ・リンドバーグといえば、

 1927年に大西洋単独無着陸飛行に初めて成功し、

 一躍、アメリカの英雄になった人物だが、

 1931年にも北太平洋横断飛行を成功させ、やはり喝采を浴びた。

 悲劇は、その翌年に起こったんだけど、

 身代金を要求されたものの、誘拐から二か月後、愛児は遺体で発見された。

 この衝撃的な事件の結末は、犯人は捕まったものの、

 いまだに少なくない謎を残したままらしい。

 一方、世界的に名の知られたオリエント急行が、

 ベオグラードの広野で、雪によって立ち往生するという事件が起こった。

 このふたつの事件に注目したのがアガサ・クリスティで、

 1934年、原作の『オリエント急行の殺人』が出版された。

 その40年後、この映画が製作されたことになるんだけど、

「まあ、なんて豪華なキャスティング」

 と、発表当時、世の人々は騒いだ。

 ぼくも、騒いだ。

 それから早くも40年が経っちゃったけど、

 当時、この映画はイギリスとアメリカでさまざまな賞にノミネートされ、

 両国でイングリッド・バーグマンが助演女優賞を受賞した。

 でも、ちょっと意外だったのが、バーグマンの演じた役は、

 なんだかうだつの上がらなそうなスウェーデンの宣教師で、

 往年のバーグマンとは打って変わったような神経質で地味なものだった。

 ところが、これはバーグマンがみずから希望した役どころだったようで、

「なるほど、美しさを見せつけるよりも演技を見せたいよね」

 と、納得したものだ。

 ただ、この小説はあまりにも有名になりすぎてて、

 小説をほとんど読まないぼくですら、犯人を知っていた。

 だから、映画を観るのもためらわれたんだけど、ま、仕方ないよね。

 結局のところ、ポアロが最後になってふたつの提案をするんだけど、

「この物語、ポアロはそのためだけに存在してるんじゃない?」

 てなことをおもってしまった。

 ま、犯人うんぬんについてはともかく、

 オリエント急行は動く密室なのに、

「雪で立ち往生しちゃったんなら、ただの箱と変わらないじゃんか」

 と感じてしまうのは、余計なお世話なんだろか?

 列車は走っているから面白いっておもうんだけどな~。

 あ、それと、

 雪が押し寄せ、吹雪の中で立ち往生した場合、

 もうすこし乗客はパニックになるんじゃないかとか、

 かれらを救出できるかどうかという厳しい状況が描かれれば、

 もっと緊迫度も高まったんじゃないのかしら?

 そもそも、トイレとかどうなってたんだろ?

 とかいった下世話なことも感じたんだけど、そんなことも余計だよね。

 ちなみに、

 アルバート・フィニーはいかにもポワロらしい素振りだったけど、

 どうやらこの1作だけで、次に続いているポワロ物は出なかった。

 なんでだろね?

 そんなことをおもってこの文章を書いている今、

 頭の中は、映画のテーマミュージックが無限にリピートされてる。

 リチャード・ベネットは、好い曲を作ったもんだわ。

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