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マディソン郡の橋

2013年05月25日 00時56分38秒 | 洋画2000年

 ◇マディソン郡の橋(1995年 アメリカ 135分)

 原題 The Bridges of Madison County

 staff 原作/ロバート・ジェームズ・ウォーラー『Love in Black and White』

     監督/クリント・イーストウッド

     製作/クリント・イーストウッド キャスリーン・ケネディ

     脚本/リチャード・ラグラヴェネス 音楽/レニー・ニーハウス

     撮影/ジャック・N・グリーン 美術/ジャニール・クラウディア・オップウォール

 cast クリント・イーストウッド メリル・ストリープ アニー・コーリー ジム・ヘイニー

 

 ◇橋の名は、ローズマン・ブリッジ

 たった4日間の不倫が、生涯を通した恋になる話。

 といえば、なんだかな~とおもってしまいがちながら、これがどうして原作小説も世界的にヒットし、破格の安さで撮られた映画も世界的にヒットしたばかりか、各国でいろんな賞まで受賞しちゃったんだろ?なんだよ、それっておもっちゃうんだけど、あれですかね、やっぱり、不倫だろうとなんだろうと、純粋な恋とか永遠の恋とかには、誰もが憧れてやまないんですかね?

 まったく、ぼくみたいにひねくれた人間は、どうしても物事を斜めに観ちゃって「所詮、中年の男女の不倫じゃんか~」とかいっちゃうもんだから、だめなんだ。ていうか、そんなふうにおもってたもので、封切られて20年近くも経ってから、ようやく観た。

「ああ、なるほど」

 と、おもった。

 かいつまんで筋を追ってみれば『母親が亡くなったとき遺言が見つかり、自分は火葬にしてくれとあったため、こりゃなんだよ~と子どもたちが読んでみれば、とある4日間の話が書いてあった。1日目、夫が出張に出、妻が道を聞かれたカメラマンにひと目惚れし、屋根付きの橋に案内し、夕食をご馳走するんだけど、また逢いたいとおもう。2日目、また夕食をご馳走した後、ダンスを踊り、そのまま自宅でエッチをする。3日目、ふたりで郊外にピクニックに出かけたんだけど、明日は夫が帰ってくるとおもいだし、もう残された時間はないってことで、またエッチをする。4日目、朝、これは遊びなのかと妻が聞き、一緒に来てくれと男が答え、荷造りをし始めるんだけど、家族を思い出した妻の表情で男は悟って去り、夫と子が戻ってきたことで、これまでと変わらない日常が戻ってくる。で、数日後、妻が夫と買い物に出かけたら、町を去りつつある男を見つけ、交差点で、その車の後ろに自分たちの車が止まり、男はウインカーを点滅させて曲がり、妻は夫の横に乗ったまま家へ帰った。っていう4日間の話があって、自分の遺体は火葬にして橋から撒いてくれと書いてあったので、子どもたちは母親の恋を成就させてやろうと遺灰を河に撒いてやる』とかいうことになるんだけど、こんなふうに書いたら、身も蓋もない。

 そこで、考えた。メリル・ストリープは結婚してからずっとど田舎で暮らし、畑仕事をしたりして、まるで変化のない日常を過ごしつつも、なんとなく都会的で文化的なものに憧れて、気は好いんだけど面白みのない夫につまらなさを感じていたところ、都会からカメラマンのクリント・イーストウッドがやってきて、なんだか芸術的な話をされちゃったことで萌え上がり、夢中になり、それからは、夫につくしながらも、ほんとは死ぬまでイーストウッドが好きだったわけだけど、これを不倫っていう言葉で括ろうとするから厄介なことになるわけで、なんかまあ、いろんな事情で結婚して、子どもとか生まれちゃったものの、ほんとうの恋にめざめてなかった女性が、ようやくほんとうの恋を知ってしまい、それを生涯、大切にしてたとすれば、そりゃまあ、仕方ないよねっていうことになるんじゃないだろか。

 難しい話だ。

 ただまあ、こういうことはよくあることで、たとえば、一週間の海外旅行に出たりしたとき、その旅先で、なんとなく野性味があって、それでいて芸術的だったりする男と出会い、濃厚な数日間を過ごしてしまったとしたら、どうだろう?

 なんにもおもしろくない日常とはまるで異質な、めくるめくほどに甘美な世界がそこにあったってだけじゃなく、その思い出は、決して色褪せない。思い出に出てくる男は夫と違ってハンサムで、いつまでも逞しく、加齢臭も漂わせず、腰が痛いだの肩が凝っただのといわず、衰えず、萎びず、つまらない愚痴もいわず、妻をなじらず、声も荒らげず、老眼にもならず、腹も出ず、白髪にもならず、禿げず、歯も抜けず、自分の耳元に、詩歌を奏でるような愛の告白をし続け、やさしく肩を抱きながら、キスをし続けてくれる。そりゃもう、ずっと好きでいるって。好きでいないわけないじゃん。

 だから、こんな都合のいい話、あるわけねえだろ~とかいえないんじゃないかしら?

 ただ、ひと言だけ、当時65歳のイーストウッドに告げたい。なんで、にやけてんだよ!もっと、いつものように、苦虫を噛み潰したような渋い表情で、いてくれよ!拳銃ぶっぱなして、唾はいて、眉間に皺を寄せて、シガリロを喫いながら、頑固一徹にふるまってくれよ!と。

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