◎ザ・ライト -エクソシストの真実-(2011年 アメリカ 114分)
原題 The Rite
staff 原作/マット・バグリオ『ザ・ライト -エクソシストの真実-』
監督/ミカエル・ハフストローム 脚本/マイケル・ペトローニ
撮影/ベン・デイヴィス 美術/アンドリュー・ロウズ 音楽/アレックス・ヘッフェス
協力/ゲイリー・トーマス神父
cast アンソニー・ホプキンス コリン・オドナヒュー マルタ・ガスティーニ アリシー・ブラガ
◎The Riteの意味
一般に、riteという単語は、宗教上の特定の儀式を指すらしい。
ただし、厳粛に行われる式という意味もあるから、
The Riteとなったら、こりゃもう、悪魔祓いの儀式になるよね。
実をいうと、映画を観るまでは、
「アンソニー・ホプキンスがなんだってまたB級ホラーなんかに出るんだよ」
てな感じでおもってた。
ところが、とんでもない間違いだった。
「え。けっこう、まじな映画じゃんか」
映画の前知識をほとんど仕入れずに観ることにしてるから、
ま、こういうことはよくあるのさ。
にても、バチカンがほんとに悪魔祓いをするエクソシスト養成講座を持ってて、
実際に、現在も世界中に悪魔祓いをする神父が存在してて、
その内のひとりが映画の撮影現場に立ち会ってるとはおもわなんだ。
コリン・オドナヒューは実際の悪魔祓いにも見学したとかいうし、
へ~ってなもんです。
でも、悪魔が憑依することはあるかもしれないけど、
釘が喉を逆流して口から吐き出されるのも、
聴いたことのない、喋ったことのない言語をいきなり喋るのも、
ついつい「ほんとに?」とかおもうよね。
憑依された人間は十字架をつきつけられて苦しみ悶えるけど、
これが日本だったら、数珠とか御幣とかになるのかな?
狐憑きとかあったわけだから、
どこの国の人間も、なんらかの悪霊には憑依されるんだよね、たぶん。
それがキリスト教圏では、悪魔ってことになるわけでしょ?
けど、まあ、悪魔祓いの真実はよくわからないので、
映画の話をしよう。
アンソニー・ホプキンスの上手さはいまさら触れるまでもないことだけど、
特殊メイクもしないで、演技だけで怖がらせてくれるのは、
彼とジャック・ニコルソンくらいなものだ。
この映画の味噌は、うらわかい妊婦の悪霊を祓ったはいいけど、
今度はその神父が悪霊に憑依されてしまうという展開だ。
それを、葬儀屋を継ぎたくないために神学の道を選んだ若者が、
生まれて初めての悪魔祓いをして助けるという話なんだけど、
そこには、葬儀屋を営んでいた父親への反発と抵抗があり、
でも実は父親に対する尊敬と哀惜を抱えた若者が、
父親に見立てられる神父の苦悶をまのあたりにし、
これを助けることで、父親への理解と愛情を示し、
みずからの呪縛からも解放されるという構図になってる。
つまり、
父と息子の葛藤劇に悪魔祓いという味付けがなされてるわけだけど、
そんな小難しい分析はさておき、妊婦役のマルタ・ガスティーニが好い。
鬼気迫る演技を見せてくれてるし、普段はたぶんすごく綺麗なんだろな~と。
それと、
タイトルのそこかしこに十字架が見え隠れしているのも、goodでした。