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ママの遺したラヴソング

2014年06月03日 00時10分54秒 | 洋画2004年

 ◎ママの遺したラヴソング(A Love Song for Bobby Long 2004年 アメリカ)

 スカーレット・ヨハンソンはよほどハリウッドで可愛がられているようだ。

 そんな気にさせる話だったし、

 彼女を子役の頃から見てると、

 着実に良い作品に巡り合ってるような気がしてくる。

 ここでも、ジョン・トラボルタに胸を借りた感じだけど、

 なんでこんなに愛されるんだろうって、ちょっとふしぎな気にもなる。

 トラボルタが有能ながらも小説家として大成できず、

 それが嵩じて大学教授の職も追われ、うだつのあがらない暮らしをしながら、

 自分よりも未知の才能を秘めた青年を同居させ、

 かたくなに小説を書かせようとしているうらぶれたインテリ中年を演じるっていうのは、

 ちょっとばかり意外ではあったけれども、

 まあ、なんとかこなしてるあたりはさすがだ。

 好かったのは、トラボルタのかぶってる帽子で、

 麦わら帽子なんだけどちょっぴりウエスタンだったりするところがまたいい。

 ただ、自分に自信のない者の常として、

 なにかを引き合いに出すか、あるいは古典や定款に頼りたがるものだ。

 ここでのトラボルタも例外ではなく、故人の言葉をしきりに口にする。

 自分自身のことばを出すことに勇気がなくなってしまった証だ。

 でも、冒頭に掲げられる、

『人は冒険をやめてはならぬ

 長い冒険の果てに

 出発点へ辿り着くのだから

 そして 初めて居場所を知るのだ』

 っていう、T・S・エリオットの『四つの四重奏』なる詩は、

 この映画のすべてを語っているわけだから、

 あながち、かつての名言は、

 単なる言葉遊びってわけでもないんだね。

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