◇戦争と平和(1967年 ソ連)
とにかく、長かった。
453分!
どうにかしてよっていうくらい、長い。
セルゲーイ・ボンダルチュークって人は、
いったい、どこまでわがままが許されたんだろう?
よくはわからないんだけど、
この作品はもはやトルストイ作の歴史劇であるというよりも、
セルゲーイの人間像みたいなものがそっくり語られてるような印象だ。
いいかえれば、ふたりの共同作業のような作品だろう。
この映画を初めて観たのはたぶんテレビで、
おそらくは徹底的にカットされたものだったんだろうけど、
それでも、中学生だったぼくは、
リュドミラ・サベーリエワのこの世のものとはおもえない美しさに、
いやもう圧倒された。
その後『ひまわり』でまた彼女の美しさを観ることができたけど、
結局のところ、この映画は、
リュドミラ・サベーリエワに始まり、リュドミラ・サベーリエワに終わる。
第一部と第二部はたしかに大河物として十分な世界なんだけど、
第三部と第四部はだんだんと観念的になり、
ロシア帝国に対する懐疑と批判が色濃くなってくるようで、
どうも物質世界から精神世界へ移行していってる観がないでもない。
まあ、時代が産み出したんだろうけど、
それでも史上最大の映画であることはまちがいないわけで、
よくもまあ撮ったもんだよね。