◎ココ・アヴァン・シャネル(Coco avant Chanel 2009年 フランス)
ぼくは、おしゃれとは程遠い人間だ。
着るものにこだわってたらきりがないし、
そもそもそんな贅沢なんてできるような身分じゃない。
だから、この映画ではないけど、
ほかのココ・シャネルの映画で、
シャネルのロゴが「COCO」から来てるのを見たとき、
「へえ~!」
っておもうくらい、ファッションについては無知だ。
で、そんなぼくがこの映画を観たところで、
そのファッションセンスについてあれこれいうことなんてできない。
けど、
オドレイ・トトゥが、実にうまいのはなんとなくわかった。
監督のアンヌ・フォンテーヌの起用にちゃんと答えてるっていう印象だ。
これまでにココ・シャネルの映画は何作かあって、
どういうわけか、ぼくはそれに巡り合ってるんだけど、
強烈なメロドラマだったり、ちょっとエロチックだったりして、
姉妹で踊り子になって「ココの歌」を歌ってるときのコケティッシュな感じは、
あんまり感じられなかったし、
貧相なココがどんな感じでのしあがってきたのかってことも同様だ。
ただ、オドレイはその貧相さが上手に漂ってるし、
きつさもわがままさもプライドも包含されてる。
なんつっても、お針子の時代が似合うし、
そこからファッション革命をひきおこしていく自意識の強さも、
上手に表現されてる。
ただ、まったく知らなかったことなんだけど、
このポスター、妙に違和感がある。
右手に万年筆を持ってることだ。
どう見たところで、これ、煙草を持ってるポーズじゃない?
だって、
シャネルって筋金入りの愛煙家だったんでしょ?
で、わかった。
フランスでは煙草の広告が全面的に禁止されてて、
最初はやっぱり煙草を持ったポーズだったらしい。
それが変更されてこうなったらしいんだけど、
もしも、全面回収される前のポスターがあれば、
プレミア物なんじゃないかっておもうわ~。