☆屋根裏部屋のマリアたち(2010年 フランス)
原題 LES FEMMES DU 6EME ETAGE
staff 監督/フィリップ・ル・ゲ
脚本/フィリップ・ル・ゲ、ジェローム・トネール 撮影/ジャン=クロード・ラリュー
美術/ピエール・フランソワ・ランボッシュ 音楽/ホルヘ・アリアガータ
cast ファブリス・ルキーニ ナタリア・ベルベケ サンドリーヌ・キベルラン
☆1962年、パリ
家政婦役のナタリア・ベルベケが妙に美しい。
つい垣間見てしまったシャワーの場面でのスタイルも、
これまた美しい。
着痩せするたちなのねってことがわかる分、
ファブリス・ルキーニの胸のときめきが増すんだな、これが。
憎い脚本だわ。
ただ、有閑マダムのサンドリーヌ・キベルランが、
まあ、財産と対面もあるんだろうけど、
意外に旦那のことが好きだったんだよね?
ファブリスがナタリアの裸を観てしまったことで興奮して誘いかけたときも、
まんざらでもないまま誘いに応じてセックスしちゃったり、
ファブリスが屋根裏に住んだ理由を自分なりに解釈して、
自由や生きることの大切さについて旦那の主張を認め、
おたがいにゼロからやりなおそうといってセックスに誘うのは、
自分の気持ちが旦那にまだあるっていうことの証なはずでしょ?
ところが、そのとき、
旦那におもわずナタリアがもう辞めたと告げてしまい、
ファブリスが自分の肉体を捨てて屋根裏へ急いだときに、
自分はもう愛されていないのだと自覚したことで、
離婚に踏み切り、画家と出会ったっていう解釈でいいんだろうか?
まあ、そんなことはいいとして、
ラスト、スペインのバスク地方へファブリスが行くとき、
それまでのシトロエンじゃなくて真っ赤なオープンカーで行くのは、
かれの昂揚ぶりをあらわすのに恰好の車だし、
さらに、
ナタリアが、
生んですぐに別れさせられて寄宿舎に入れられていた息子を取り返しただけじゃなく、
あらたに娘を生んでいたという事実がそっと聞こえてくるあたり、泣かせる。
家政婦の仲間たちで、
ナタリアの家のすぐ近くに移住していた連中が、
ファブリスの問いに口を濁すあたりのナタリアの気持ちを重んじる心情も、
実によく描けてる。
また随所に挿入され、最後にも奏でられる音楽もいい。
たしかに夢物語ではあるし、
登場人物に悪者はおらず、それどころか美容院のオーナーにしても、
みんながみんな好い人ぞろいなのは、好かない向きの観客もいるだろうけど、
ぼくは、とっても安心できて、おもしろかった。
こういう観ていてほっとする映画に久しぶりに出会った気がするわ。