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小川の辺

2014年06月23日 11時36分11秒 | 邦画2011年

 ◇小川の辺(2011年 日本 103分)

 staff 原作/藤沢周平『小川の辺』

     監督/篠原哲雄 脚本/長谷川康夫、飯田健三郎

     撮影/柴主高秀 美術/金田克美 音楽/武部聡志

 cast 東山紀之 菊地凛子 勝地涼 片岡愛之助 尾野真千子 松原智恵子 藤竜也

 

 ◇小川って、どこの川なんだろ?

 とおもってたら、

 逐電した片岡愛之助夫婦の棲んでるとこの川なのね?

 まあ、藤沢好みの方々からは失笑と痛罵を浴びせかけられるんだろうけど、

 短編小説だというこの原作を読んだことはない。

 だから原作の世界はよくわかっていないのかもしれないんだけど、

 これはあくまでも監督の創り出した世界のみで勝負する映画の話なので、

 とかいって、逃げる。

 逃げるのは嫌いなんだけど、ぼくの人生、いつも逃げてる。

 もともと気も弱いし、どちらかといえば自分から身を引いちゃうし、

 ちょっと難しそうな問題にぶちあたるとすぐに背を向ける癖がついてる。

 逃げ癖っていうのかどうかわからないんだけど、

 だって、物事にまともにぶちあたるのは怖いし、逃げた方が楽じゃん。

 なんていう姿勢が、おそらく、ぼくの体内に常にあるらしい。

 で、片岡愛之助なんだけど、

 東山紀之の妹菊地凛子を妻にしてて、一緒に逐電する。

 藩の農政を批判したために身の危険を感じての脱藩だ。

 ヒガシはこの竹馬の友を討つように命ぜられて討ちに行くわけだけど、

 まあ、小川に至るまでは一族郎党おのおのの葛藤があったりして、

 ちょっとばかり淡々とし過ぎてるきらいがないでもないながら、

 それなりに観られた。

 問題は、その先で、片岡愛之助と菊地凛子に再会したとき、

 東と従者の勝地涼はどういう態度で臨むのかってことだ。

 結局は藩命をまっとうして斬り合いになるんだけど、それでいいんだろか?

 いやまあ、リアルといえばリアルなんだろう。

 でも、なんとなく、肚の底にちっぽけなわだかまりが残らないでもない。

 そりゃあ、片岡愛之助とふたりして藩に逆らうのもありだけど、

 それは藩をおもう気持ちと矛盾するし、

 かといって藩に棄てられたような身の上の友を斬ることが、

 はたして藩のためかどうかもわからない。

 さらにかといって小川の辺で自害しちゃったりしたら、

 今度は自分の家族に類がおよぶ。

 だから、東はもっと葛藤しなければいけないし、

 なるほど!とかいうような結末が待ってなくちゃいけないはずだ。

 このあまりにも淡白な前半と、

 あまりにも予定調和な後半を持った映画の最大の難問は、

 佳境の始末だったはずで、

 音楽も行動もなにもかも淡々と進んでいるとはいえ、

 すべてが丁寧に撮られてる分、

 結末の付け方はもうちょっとばかり勘考してほしかったかなと。

 あ、それと。

 話題性や時事性を考えれば、

 菊地凛子と尾野真千子は旬のキャスティングだったんだろうけど、

 彼女らのすこしばかり傾斜したスタイルを活かそうとするんなら、

 もうすこし中身を考えてあげないといけないんじゃないかしらね。

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