◇アフロ田中(2011年 日本 114分)
staff 原作/のりつけ雅春『上京アフロ田中』
監督/松居大悟 脚本/西田征史 撮影/小林元
美術/尾関龍生 衣裳デザイン/西留由起子 ヘアメイク/酒井夢月
音楽プロデューサー/笹井章 主題歌/鶴『夜を越えて』
cast 松田翔太 佐々木希 堤下敦 田中圭 原幹恵 美波 辺見えみり リリー・フランキー
◇なるほど、アフロの中は妄想だらけか
くっだらねえ。
でも、おもしろかった。
あらためておもうまでもなく、
世の中の男の大多数の頭の中は、
スケベなことしかない。
そのほかにちょっとだけあるものは、
仕事のことか、家族のことか、友達のことか、
地球と人類の未来についてのほんのわずかな不安と絶望くらいなもので、
どだい、たいしたことは考えてない。
だから、髪の毛がアフロになっているかいないかっていうだけの差だ。
で、
もしも、アフロ田中にモテナイ問題があるとすれば、
それは単純にいえば垢抜けてないってことだけで、
要するに野暮はモテナイ。
どれだけかっこつけても田舎者はすぐにお里が知られるし、
頭の悪さも行儀の悪さもすぐに見破られる。
ぼくもかなりの田舎者だから、そのあたりのことはよくわかる。
田舎者はどうしても心が偏狭で、金に醜く、口が賤しく、股間は貪欲だ。
この国は実をいうとふたつあって、
日本国都会部と日本国田舎部に分かれる。
簡単にいってしまえば、人口の増えているのが都会部で、
いまや社会問題になっている人口の減少地域が田舎部だ。
アフロ田中はその田舎の生まれだから、
常に可愛い女の子とみだらなことをする妄想することで生き永らえている。
ま、そういう性衝動すなわちリビドーの塊が、
純愛なんて幻想はくそくらえだ!とばかり、
いかにして妄想を具現化してゆくかっていう、
栄光への挑戦の過程が描かれているわけで、
こんなやつが可愛い子ちゃんをものにしたら、ぼくはゆるさん。
だけど、このアフロ田中が失敗することによって、
世の中のくそ野郎どもは、ほっと幸せな気分になれるんだよね、たぶん。
もちろん、どうしようもない田舎者のぼくも、ほっとし、笑った。