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17歳

2014年06月22日 22時52分09秒 | 洋画2013年

 ◎17歳(2013年 フランス 94分)

 原題 Jeune & Jolie

 staff 監督・脚本/フランソワ・オゾン

     撮影/パスカル・マルティ 美術/カティア・ワイスコフ

     衣裳デザイン/パスカリーヌ・シャヴァンヌ 音楽/フィリップ・ロンビ

 cast マリーヌ・ヴァクト ヨハン・レイセン シャーロット・ランプリング

 

 ◎少女は何に渇いていたのか

 援助交際とかいっちゃうと、なんだか、生々しいだけじゃなくて、

 この映画の主題から離れちゃうような気がしないでもない。

 でも、SNSを使った援助交際にはちがいないわけで、

 かといって、少女から大人になっていく思春期の揺れ動く時代を、

 とかなんとかいうほど、ぼくは詩的に出来ていない。

 マリーヌ・ヴァクトはさすがに、

 イヴ・サンローランのイメージモデルだけあって、

 華奢ながらも均整のとれた肉体である一方、

 憂いをおびた眼がとても蠱惑的だ。

 ただ、官能的であって官能的でない分、

 どちらかといえば、ぼくの趣味ではないんだけど、でも美しい。

 でも、こういう淡白な子を主役にしないと、映画が崩れる。

 父親は養父で、母親は知り合いの黒人と不倫し、

 母親は娘がsexをおぼえたことを察してコンドームを渡し、

 黒人の家庭でベビー・シッターをしているときには、

 その奥さんが使っているとおぼしきバイブを見つけ、

 客たちは、

 それこそありとあらゆる行為におよぶ。

 これが、お金をもうけて何かに使うのかといえばそうではなく、

 結局のところ、

 変身して見知らぬ男と待ち合わせてsexにおよぶという、

 しかも、それが未成年での売春行為だという背徳さが、

 自分でも知らない内にもうひとりの自分を目覚めさせていて、

 気がついたときにはもはや抜き差しならない事態に陥っている。

 けど、そういうだけの映画かといえばそうでもなく、

 弟に「変態女」と蔑まされるようにいわれながらも、

 ひとりの老いさらばえた客だけには、

 恋愛にもにた感情を持ってしまっているという、

 矛盾を抱えるようになってしまうのが、味噌だ。

 で、このバイアグラを服用している心臓病の老人は、

 男の夢のような腹上死を遂げるわけだけれども、

 佳境にいたって登場するのが、

 老人の妻、シャーロット・ランプリングだ。

 さすがに、堂々たるもので、

 彼女が登場することによって映画全体がひきしまる。

 ランプリングにとって、マリーヌ・ヴァクトはどういう存在なんだろう?

 自分の夫が最後にsexした女、

 夫が死ぬときに腹の上に跨っていた女、

 夫の死ぬ瞬間を見ていたたったひとりの女、なのだ。

 この女を連れて、夫が死んだ部屋に行き、ふたりでベッドに横たわるとき、

 ふたりはそれぞれなにを考えていたんだろう?

 ぼくなりの答えはあるけど、たぶん、数日後には変わる。

 いろんなことを考えるけど、どれも陳腐になりそうだから、書かない。

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