◇地獄の七人(1983年 アメリカ 95分)
原題 Uncommon Valor
staff 監督/テッド・コッチェフ 脚本/ジョー・ゲイトン
製作/ジョン・ミリアス、バズ・フェイシャンズ 撮影/スティーブン・H・ブラム
美術/ジェームズ・L・ショップ 音楽/ジェームズ・ホーナー
cast ジーン・ハックマン ロバート・スタック パトリック・スウェイジ レブ・ブラウン
◇七人の侍ベトナム版
ジョン・ミリアスよ、あんたはそこまで黒澤明が好きなのか?とまでいいたくなっちゃうくらい、おもいきり『七人の侍』してる。
ま、オマージュだとおもって笑って済ませたいところだし、黒澤明がこの作品について文句をいってるって話も聞いたことがない。もしかしたら孫の夏休みの自由工作でも眺めるように、にこにこしながら鑑賞してたのかもしれない。
まあ、ジーン・ハックマンが志村喬なんだろうけど、ほかの連中もそのまま配役できそうだ。
ランダル・テックス・コブはおそらく三船敏郎だし、
パトリック・スウェイジはたぶん木村功だろう。
ティム・トマーソンは加藤大介、
ハロルド・シルヴェスターは千秋実、
フレッド・ウォードは宮口精二、
レブ・ブラウンは稲葉義男だ。
しかも、空恐ろしいことに『七人の侍』へのオマージュだけかとおもえば『ランボー怒りの脱出』まで一緒くたになってる。
このあたり、ミリアスはまじに凄い。
まあもともと、ベトナム戦争はミリアスのライフワークみたいなもので『地獄の黙示録』のときだって、コッポラは自分が倒れたらルーカスとミリアスに代行してほしいといってたらしいし、『ビッグ・ウェンズデー』のときだって、ミリアスは荒削りな演出ながら、とってもがんばってた。
日本人が好きで、黒澤を尊敬してて、ベトナム戦争に怒りをおぼえ、日本刀が世界一の剣だと信じて、戦うことがなんだか好きなミリアスは、たぶん、テッド・コッチェフとも気が合うんだろう。
だって、コッチェフは『ランボー』の監督なんだから。でも、こちらはどうもなあ。ラオスに乗り込んでいく前の訓練が長過ぎるし、あまりにも予定調和な展開なんだよね。素人臭さがそこかしこにあって、それでもいいっていうミリアス好きのための作品かも。