武定郊外の市場にゆけば、まだ馬車が活躍していた。なんともエコロジーな輸送手段だ。それが20世紀末の中国だった。だから当時はまだまだこんな風景が当たり前のようにあったわけである。それでも周囲の建築がRC化されるなど近代化の波がこの小さな集落にも押し寄せてきていた。だからもうこんな風景はないかもしれない。
というのも中国人つまり漢民族と少数民族との間には、偏見と差別の社会的問題があり、チベット民族のように憲法や法律や自治が認められていないことがあり経済格差も大きかった。そこで政府は西部大開発をすすめ地域振興をしてゆくわけだ。
雲南省だけでも少数民族は50種族あり、それらが文化も違うわけだからてとても統一なんて無理筋だと私は思うけど、中国政府のもとに近代化を推し進めるのだろうか。それに少数民族は残っていたとしても、生活様式は随分と変わってくるのではなかろうか。
さて中央にカメラをさげた中国人は、私達を10日間にわたって案内してくれた広州華南建設院のチー先生である。筑波大学の大学院に留学生としてきていたから、その縁で。人間の縁というのはどんな場合でも大切にしておいた方がよいわけであり、それが大学の財産にもなる。大学に来る留学生は当然若い。だが年月が過ぎれば彼らも社会的な高い地位につくだろう。将来の大学間交流で大きな力となし、さらには旅のパイロットとしての友達にもなるだろう。
さらにいえば、国の外交交渉で留学生達との友人関係が力を持つ場面も多々ある。だから外交官は、若いときに諸外国の留学生の友達をたくさんつくるのだろう。それが外交官の力にもなってくるわけだ。例え国家が対立していようと、私の友達は友達として交流を続けて行くことが、大学間そして個人コミュニケーションのよいところである。
だから旅に出たければ、先ずは海外の信頼できる友達をつくれというのが最初の課題だ。友達の力はとても大きいのである。
話題は変わるが、京都も立春を過ぎると光が明るくなったようでもある。だが風は相変わらず冷たく寒い日が続いている。もちろん天気予報に時折現れる雪マークがみられるが降ったためしがない。今年は雪のないまま春を迎えるのかもしれない。
中国雲南省武定郊外
EOS3,EF28-135mm/F3.5-5.6,コダクロームⅡ