中国雲南省の移動は街角で拾ったタクシーだった。
昆明では若い運転手が武定郊外までの砂利道を往復し、ときどきハンドルを握る手を振っていた。あれって未舗装の道の振動で結構しんどかったのだろう。翌日タイヤを全部交換したぐらいだから。それでも1日チャーターして1,300円は安かった。いや安すぎたのだ。
次は昆明から大理に移動するときの愛想のよい運転手で、こういうのは中国の平野部、特に北京なんかに多いのだろう。調子がよいからスイスイ進む。気がつくと広い道の中央を走っている。「大丈夫、大丈夫、車来ないから」、そのうち「なんかスピード出しすぎていない?」、「まあ道路すいているからね」、「あれ!、誰かなんか言ってるよ」、「気にしない、気にしない」でっ、大理めざしてずんずん進む。そのうち後ろからパトカーが追いかけてくる。結局中国警察に停止させられた。
運転手が警察官の肩をだきながら「友達!、友達!!」。違うだろ!、それ、お前交通違反したろ。「外国人を乗せて無謀な運転はいかん!」、そーら、警察官にいわれているじゃないか。結局、反対車線走行、速度違反、警察官の指示を聞かなかった管理無視、の3大違反で明日から免停。運転手はしょげていた。
麗江の運転者さんはたくましかった。中旬は、今でこそ空港があり容易に来られるようになったが、私達の頃は麗江から車で往復14時間であった。
そのタクシーの運転手は、我々の中旬にゆきたいというリクエストで行ったことはあると、少し調べてから行程をつくり返事がきた。朝5時宿立ちで、途中で食事すれば往復できるとする行程だ。そして曇天の雨の中、中国固有の増水した激しい川の流れを見つつ、途中の質素な家で朝飯を食べ、道が流されていようと突き抜け、対抗するトラックが来れば谷底が見えるほどに断崖絶壁に車を寄せ(路肩の土が崩れているじゃん)、歩行者がバカヤローと叫ぼうと、中旬を目指して一般道の山道を時速70-100kmで登っていった。やはり騎馬民族の末裔なのだろう。馬を操るように車を操り、当然日本人より運転ははるかに上手であり私達を乗せて中旬まで往復してくれた。彼がいなければ、私達は中旬をあきらめていただろう。
こうした騎馬民族の大変個性的な末裔達の運転で、私達は雲南省を徘徊できた。偶然にもすべて車はもう100万キロは走っていそうなワーゲンサンタナだった。
中国人のドライバーは、ユーラシア大陸を馬をかるように車を操る、やはり騎馬民族のDNAなのだろう。そこへゆくと日本人の運転の慎重居士を思い出す。しょうがないよ日本人は農耕民族のDNAだから、運転の水準が遺伝子的に違うのだから・・・。
さてオリンピックもアルペンとハーフパイプの競技が終わると寂しくなる。そうだ女子カーリングがあった。
カーリングは、オリンピック競技の中で選手の声がもろに聞こえる唯一の種目ではなかろうか。そのギャルみたいな声がとても面白いし、とくに日本人のソプラノのような音程が楽しいですね。それになんといってもフル画面で選手の姿が大写しされる時間の長いのが、またよい。だからこちらは頭がクロッキーモードになり、意識のなかで身体の裸形をデッサンして堪能する楽しみ方もある。なにしろ、美人はいないが普通の銀行のOLとか近所のお姉さんみたいな普通の女の子が登場するわけですから、余計に親しみを感じるわけです。きっと田舎のお爺さんは炬燵に当たりながら、うちの嫁探しを楽しんでいるのではないですか。それにインタビューのローカルリズムを感じさせるお気楽さがまたいいですね。そこがカーリングの妙なのである。
そのように考えて行くとオリンピックの種目も、タイムや評価を競い頂点を目指すといった特殊解を目指す方向と、そうではなく地域を代表してやってきてましたとするローカリズムなどの一般解という両極がある。アルペンは特殊解の極だし、他方でカーリングは一般解の側である。これらを両極とした線上に各種目が存在するという構造がなりたつ。
つまり国家を代表して頂点を目指すなんていう特殊解ばかりじゃつまらんのよ。もう金メダルを取ったからといって国旗をしょってはしゃぎ回るなんていうダサいことはやめましょうよ。そんなのは中国などにやらせておけばよいのであって、この機会に息子の嫁探しみたいな楽しみが欲しいとする遊べる要素といいますか、あるいは地域性で楽しみたいですね。
そう考えると冬季オリンピックは、オリンピック憲章で大会期間中の滞在費や食費を負担することが決められていますが、それ以外は民間企業などが渡航費用などを負担しているのですから、特に国家が登場する必然性は少ないと思います。だから地域が応援すればよいわけであり、青森県からやってきましたなんてすごく格好良いと思うけどな。だから国威発揚のナショナリズムではなく、アットホームなローカリズムの表出こそが今のオリンピックだとおもいます。
カーリング女子は日本がデンマークに8対5で勝利し予選を突破した。夜中にアルペン男子滑降決勝をみてようやくオリンピックをみたという実感があった。A.スビンダルが優勝した。彼は、早かったねぇー。
中国雲南省中旬松賛林寺
Nikon F3,AFNikkor20-35mm/F2.8,コダクロームⅡ