Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング419. 小説:小樽の翆348. 端境期

2021年04月01日 | Sensual novel

 

 今は時期的にも気分的にも端境期なのだろう。

アチキは、もちろん暇をもてあましている。世の中には、端境期という言葉がないくらい仕事をしている人間もいるというのに、大学の先生は、この時期でかけるあてをつくらなければ暇なのだ。もちろん一端仕事をすれば、国会図書館の蔵書リストに加えられる程度の論文は書いている。

そんな高尚な仕事はほかして、描きためたクロッキーデッサンの着彩などをしている。つまり女の裸を眺めつつ、毎日を暮らしている。といって絵だからなぁー。

翆は、新型肺炎のためにかり出された看護師の穴を埋めるべく、従来病棟を守るためにかいがいしく働いている。なんか男と女の役割が変わっちまったようだ。

それでも、帰ってくる頃は、アチキーと声をかけてくるところが可愛い。つまり心のどこかに寂しさがあるのだろう。人間の寂しさは、さしあたり相方で埋め合わせるという方法もあるが、それだけで埋まるモノではない。いや天涯孤独なのが人間世界かもしれない。

翆「アチキー、スーパーで海老とホタテを買ってきた。海鮮鍋で暖まろうよ!」

「ハイハイ、そうしましょう」

もちろんその後、翆のボディを愛でて脱力したまま寝てしまった。

夜中に眼が覚めると身体がドロドロに汚れているのに気がついた。早速風呂に入りようやく元気を回復する。ウォッカで暖まりながら軽くなった身体で翆のボディを撫でつつ、また熟睡してしまった。冬って意外に疲れているんだ。

枕草子も、冬は朝が一番よいといってた。朝の斜めの光でおきだし、元気になる。最近、そんなことの繰り返しだな。

端境期の過ごし方は、記憶に残らないほど、毎日同じペースで時間が過ぎてゆく。

・・・

今日から4月かーーー。小樽の雪もほとんどなくなってきたが、天狗山にはまだ雪が残っている。

コメント
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