小樽駅に向かう道すがら、花園商店街の一角の空地の先に、おや!、こんな路地もあったか。
小樽の路地はどれも短いのだが、お古でさびた感じがよい。
といって隙間からマンションが顔を出したりするので、不要物は隠しながら、お古の絵づくりだ。
まだ、こんな風景に遭遇できるあたりがラッキーと考えるべきだろう。
花園街の中心を、函館本線の高架線が縦断してゆく。
昔は線路が地平を走っていた。
そんな光景を想像すると、ボイラーの太いC62が轟音と警笛を鳴らしながら商店街の間を抜けてゆく。
そんなC62と街を俯瞰して撮影した様子は迫力がありそうだ。
商店街のなかをかき分けてゆくC62・・・。
そんな写真は、ないなぁー。
なにしろ鉄ちゃんは街に興味がないし、街歩きの人間は鉄道如きに興味をもつのは子供だという認識があった時代だ。
私ならC62と街を俯瞰して撮りたかった。
それは、画像として面白いからだ。
どんよりとした街の空気だ。やはりフィルム撮影は正解だった。
綺麗な画像だと思われる。
・・・・
さて、花銀通りに出ようとすると、通りに、おっ、翆だ!
おもわずそう声をかけたくなるのは、小説を書いてきた人間の感性のなせる技。
そんな風に小説をクリエイションして街歩きをするというのは、書いている人にしかわからない街の空気や親近感が経験できる。
作家は、そんな楽しい経験をしていたのか。それは面白い発見だった。
2021年3月3日 小樽市花園
NikonF3HD+MD4、Carl Zeiss PlanerT*ZF2,50mm/F1.4、Tri-X
フィルム現像:写真弘社