二日続けて美国へ通った。
寒波が来ていた。
JRの特急が運休になりエアラインも機能しない。
それでも路線バスは、たった一人の乗客を乗せて美国へ向かった。
美国の集落は、寒波で昨日より積雪が増えた。
常に日本海からの強い風が、雪煙をまいあがらせてパウダースノウを横に吹き飛ばしている。
これこそ雪国のランドスケープじゃないか。
昨日見えていた宝島が霞んでいる。
よいときにきた。
積丹町は、急峻な海岸線が国定公園であるが全国的区の観光地というわけではない。
観光的には6月のウニシーズンのお寿司ぐらいだが、私はそんな時にはこない。
そんなことを考えていると、私なりの冬の旅のツールがありそうだ。
第1に、ランドスケープと街が隣接していること。
小樽の街から美国まで路線バスで1時間20分。
その範囲内で、両方を撮影できる。
北海道は広いからポイントを定めないと回りきれない。
私は、小樽と積丹半島だけで十分でございます。
それだけでもモチーフにバリエーションがある。
第2に観光センターがあること。
美国の街も、雪が積もっているとはいえ道路は除雪してあるので歩ける。
除雪といっても下はグランドレベルではなく雪だけど・・・。
歩けるといっても歩きやすいわけではない。
だから倍の時間がかかり、それでも3時間も外を歩けば街を一巡できる。
ホカロンを入れてある身体は、寒波で冷え切り観光センターに逃げ込む。
そういう冬の行動の拠点があるのは大変便利だ。
最近は、地域興しで観光センターが整備されているのがありがたい。
第3に小樽・積丹の観光トップシーズンは、冬です。
冬は、すべてのランドスケープを魅力的にみせてくれる。
だがこの街の旅館の営業は、4月から、なのである。
第4に、デジタルの適正露出は北海道でつまらない画像になる、そこでフィルムだ!。
早い話デジタル機材は写りすぎる上に、どんな情緒的スケープも吹きとばしてくれる。
そこでニコンF3HD+MD4に、トライXをつめて撮影していた。
これが正解であり、粒状感ある画像は暗い空気をひろい、背景を情緒的にぼかしてくれる。いや、ほかすというより、写らない。
今でも捨てがたいフィルム機材の魅力を再発見する。
それに気温零下で機械的に均一に巻き上げた方がフィルムへの負荷が少なく、撮ったといわんばかりの感触にしびれる。
私は、ニコンF3が使えなくなっても万年使用できるニコンFボディがあるから困りませんけど・・・。
2021年3月2日 積丹町美国
NikonF3HD+MD4,Carl Zeiss PlanerT*50mm/F1.4ZF2、Tri-X
フィルム現像:写真弘社