Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング431. 小説:小樽の翆360. タイカンルーのオフィス

2021年04月30日 | Sensual novel

 

 ベーヤンのオフィスにくると、上海のタイカンルー(秦康路)のロンワンのオフィスを思い出す。まだ中国の経済成長が日本以下だった頃、タイカンルーにはデザイン関係のスタジオが古いビルを改装して点在していた。

オフィスは、お洒落に設えてあって家具なども見栄えは良いが、中国製だから触るとポロッと備品が落ちたりして。水道も細々としか出ない時代だった。

「日本人と中国人とが、半々で働いていた小さなデザインオフィスね。東京でいえば竹下通りの裏通りあたりかな。でね、仕事で訪れたロンワンのオフィスに、ケイという30代前ぐらいの日本人女性が働いていてさ・・」

ベーヤン「上海で楽しいことがあったんだろうなぁー」

「うん、ホームシックで寂しそうな顔をしていたな」

ベーヤン「上海の恋、いや情事か、昔から上海は、そういうエキゾチックなところがあるなぁー」

「ホームシックといったって上海の稼ぎじゃ、LCCのない時代だから当時の航空運賃の片道分になるかなぁー。簡単に日本に帰ることはできないのよ。それで回りが気を気をつかって中華レストランで私とディナーでもと、セットしてくれたんだ」

ベーヤン「日本と中国では経済格差があるから、日本人が一端中国で仕事をしたら、稼ぎは日本人の初任給にも及ばないから、出ていったら戻れないところだね。出世して帰ってくる方法しかかないよなぁー、それじゃホームシックになるだろうね。でつケイとは?」

「うん、タイカンルーの小さなレストランで、ディナーだよ。でね久しぶりに日本人と出会ったものだから、ケイも久しぶりにはしゃいでいたね。ケイがいうには、中国人は相手の感情を無視して、命令調でいわないとなにもしないんだって」

ベーヤン「うん、命令されて初めて動く、そうしないと何もしない人種だね」

「そのことが、疲れるんだって。中国語のなかで、『メイヨ!』が記憶に残っている。そんな商品、あるわきゃないだろ!!、そんな意味だよ。寄ってくる物売りを追っ払うときもメイヨ!、だよ

ベーヤン「それで、ケイとはどうしたの?」

その後は、私の定宿だよ。その時、ああっ、上海にいるんだと思った」

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コメント
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