もう雪景色も、お終いだ。山の雪はまだ融けないが少しまだら模様だ。陽射しは柔らかく明るくなってきた。
さて夕方いつもの画材屋の親父と雑談をしていると、久しぶりに明菜姉ちゃんと鉢合わせした。
「ならば、隣でパフェでも食べてゆくかい?」
明菜「もちーーー、お腹空いたー」
「だろうね、若い人はお昼のお弁当だけじゃ持たないよね。それで夕飯も食べるの?」
明菜「もちろんばっちり食べるよ」
「小春がつくっているんだ」
明菜「あいつ、最近料理を覚えたのよ。なんか楽しくやってるよ」
「料理に才能を見いだしたか」
明菜「小春に向いてそうだよ。そうだ!、オジサンあした私のアトリエ、といっても美術の準備室なんだけど、遊びにおいでよ。マスク必須よ!!!」
「おっ、いいねぇー、じゃマスク付けてゆきます・・・・」
そういって明菜さんと約束をして、家に帰る。
今日は、エアロビクスとウェイトトレーニングの日なんだ。翆とスポーツセンターで待ち合わせだ。
この頃になると、もうお店もやり出してきた。
久しぶりに文さんのお店にゆくと、病院帰りの晃子さんと鉢合わせした。
「身も心も折れたらお終いの感染病棟かなぁー」
晃子「あたし・・・プロレスで鍛えているもん。身体は折れないですねぇー」
翆「だから、感染病棟からは、すごく頼りにされているのよ」
晃子「頼られすぎよ。2週間病棟にお泊まりだったもん。まあそのほうが感染しても外に拡大しないからさ」
翆「食事は?」
晃子「夜は、お弁当の宅配。シャワーを浴びて看護を交代したら、みんな一斉に夜のお弁当をもって自分の蛸壺にゆくの。先生は医局、キッチンのあたりの蛸壺が一番人気かな。感染の恐れがあるから自分達の蛸壺に散ってゆくわけ。弁当屋に、おっさん、もう少しメニュー変えてよって頼んだもん。朝は食堂が、サンドイッチを届けてくれるの。そのれだけがあたし達の楽しみだよね。だから外の飯がダントツにうまい!!!!」
ホンの一寸だけ、いつもの時間が戻ってきたような夜だった。
・・・
小樽も夜は晴れている。