Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング837. 小説:小樽の翠745. タカ君とミッチャンの出会いの頃の話し

2024年02月03日 | field work

 アンタも好きねぇーと翠にいわれてたことを思いだしていた。時々定点観測のつもりで地獄坂から小樽の街越しに見える海を描く。午後3時になると決まったように描き終えて坂道を降りてゆくと菁園中学校の授業が終わり小春に出会うのも習慣になっている。
小春がノースフェイスの手袋をはめて手を振っている。
小春「今日は部活もお休み。生協へ夕飯のおかずを買い出しにゆこうよ。ところでおじさん、前に話したタカ君とミッチャンのお話を覚えている?」
小春と地獄坂をくだりがらそんな話しをしていた。
「銭函海岸で男と女になった話しなら覚えているよ。それでカップル成立だったかな?」
小春「それそれ。どうしてミッチャンはタカ君とつき合えようになったか。カップル成立前の話しね。」
「それは、きいてなかったな。」
小春「小学校4-5年になると女の子は生理が来るじゃん。それから女の子は男の人のことを一杯研究するのね。誰がいいかなとか、どうしたらカップルになれるかなとか、それをどうしたら相手に解ってもらえるかなとか・・・。」
「つまり人間理解というわけだ。大人に急成長するわけだ。」
小春「そうよ。生理が来たらお友達同士で情報交換するの。だって学校の先生は男の子の捕まえ方は教えてくれないもん。それで友達同士で男子ゲット作戦ね。だから誰が良いかなとか、男の子の品定めよね。将来ちゃんと仕事ができそうで、二枚目で・・・、だって将来子供を産んでもいい男の子を選ぶよね。だって遺伝子が大切だもん。それでミッチャンはタカ君に決めたの。でも小学校の男の子って女の子には無関心じゃん。相手に伝わらないのよね。だもんタカ君はサッカーのユニフォームが欲しいとか、プラモデルが欲しいとか・・、いつも全然違う話題ばかりなの。ミッチャンが近寄っても関心なしなのね。」
「だよね。女の子の方が成長が早いけど、その頃の男の子って女の子なんかしゃらくせえだもん。」
小春「そうしているうちに中学生になるじゃん。でも小学校のクラスメートがそのまま中学にゆくから、またタカ君と会えるじゃん。それでついに意をけっして初体験に誘い込んでバッチリカップルになれたわけ。」
「小学校4年からだと少なくとも5年間も長い春をしていたんだ。うーん、長すぎた春は、大人達ばかりじゃなかったのか・・・。」
小春「そうよ、女の子が狙いを定めたら男の子は応えて欲しいなって思った。だって女の子は考えた末に選んだ男の子なんだもん。お友達の中には、これは絶対とターゲットを決めても中学に入ったら別々になってハイ!、サヨナラなんて子もいるのよ。そんな淡い青春なんか思い出にしても、なんにもならないよ・・・。今日は寒波がくるからバイバイね。夜は危ないからユウ君のママが泊まってゆきなさいっていうわけ。」
そういって小春は、生協で夕飯の食材を買い込み、ユウ君の家にはまり込んでいる。
そういえば、アチキも小学校の頃にあったなあ。大人っぽい女の子が近寄ってきたけど、アチキはプラモデルが欲しい系の男の子だったから、全然女の子には応えなかった。そしたらもう!馬鹿!!っていわれて女の子は消えていった事があった。女の子は生理が来ると一気に大人になり、男の子は子供のままか。そんなすれ違いが淡い青春という錯覚の世界を生み出したのだろう。淡いだけじゃ文学者の趣味であり何の価値もないが・・・。
・・・
今日も寒波が来るか。
アチキも早く家に帰って翠と抱き合って寝よう。
寒いときほど男と女の距離が密着する感じ。
次第に暗い雲に覆われてくる小樽である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする