Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング844.小説:小樽の翠752. 塑像の裸婦モデル

2024年02月10日 | field work

 夜勤看護師達のおやつタイムだ。
いつものメンバーの晃子さんと百合さんがやってきた。
翠「残念っただったねぇ、彫刻家のおじいちゃんは既に退院しちゃったよ。」
晃子「見初められたのにバイバイか・・・」
百合「実はおじいちゃんが退院するときに『休みの時にアトリエへ遊びにおいでよ!』っていってくれたんです。そんで名刺をくれて。なんでも日本美術なんちゃらの会員なんて書いてあるのよ。」
翠「それってプロじゃん。」
百合「そんで私おじいちゃんのアトリエへ遊びに行ったの。すっごいの。裸の女の人の彫刻が沢山あるのよ。おじいちゃんは塑像といいますって説明してくれたわけ。このスリムなのは高校生、それからこっちは・・・、って具合に。それでお茶を飲んでいたら、私の首をつくられせてというから、OKしたら平らな板に十字架みたいなボウを貼り付けた土台に粘土をババッと盛り付けて、彫刻刀でサッサッと切り込んですっごい立体の顔にしてくれたの。格好いいじゃん・・・。
翠「彫刻って面で立体を捕まえるんだって。」
百合「そう全部面で顔になっているんだけど、なんか迫力あるのよね。私塑像ってこんなふうにつくるんだと想って興味津々だったの。」
晃子「そんで裸はーーーー!!」
百合「いっちゃおうかな。実は首をつくったら格好いいじゃん。そんでおじいちゃんは『ホディならもっと格好いいぜ。モデルやってみるかい!!』というから、思わずやりますっていっちゃった。そんで裸のボディをデッサンして大きな粘土の塊をバシッ、バシッと彫刻刀で切り刻むとなんか格好いい等身大のボリュームになるのよね。」
晃子「やっぱねぇーー(*^▽^*)」
翠「だって看護師は人体の勉強をしてきたから、裸に抵抗感ないのよね。」
晃子「おじいちゃんも、いいところに眼を付けたよなぁー。」
翠「1回じゃ終わらないでしよう?」
百合「そうなの。休みの時に3ヶ月ぐらいアトリエに来なさいだって。」
晃子「そんで裸のモデルをやることにしたんだ!!!。」
翠「じゃあアトリエに通うんだ!!!。」
百合「だって自分のホディが格好良くなるなんて・・・。そんな経験初めてだし、誰でも出来るわけじゃないみたいなの。」
晃子「おじいちゃんに口説かれちゃったか!。」
翠「あらチャンスよ!、いいじゃん!!!。」
・・・
遠くの空が少し青くなってきた。
少し朝焼けもしている。
今日は寒波もおさまっている冬の陽の小樽だ。
コメント
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