画像は、武定郊外の市場である。日本から昆明に飛び、翌日未舗装の砂利道を片道3時間以上走るとたどり着き、調度定期市が開催されている日に遭遇したのだった。未舗装の道は、今の日本では経験することも少ないが、タイヤの発する騒音と振動で何時間もゆさぶられるのは、とても快感とは呼べない。だから帰りに舗装路に出てきた時の静寂感にものすごく安らいだ。舗装路のありがたさを身にしみて感じた。
日本で4輪駆動の車で林道などを走っても距離はたかがしれているから、それだけ日本は舗装路が充実しているわけだが。
この頃からフィールド撮影機材を、ニコンF4からキャノンEOS3に乗り換えたのだった。なんといっても当時のニコンに比べればEOSはオートフォーカスが俄然早かったし、28-135mm手ぶれ補正付きなどというズームレンズがあったのはキャノンだけだったのである。時間も限られているなかで最大限記録しようと思えば、スピーディーな機材だった。当然レンズ交換なんかしている暇はない。そして大変コンパクトなオリンパスXA4が結構活躍したのである。
それでも当時のEOS3は、雨に打たれ(防塵防滴構造ではなかった)動作不良となり、ホテルのスタンドの明かりの余熱で乾かして翌日から復帰したこともあった。この点では、ニコンの方が優れていたが、いかんせんこちらはオートフォーカスがとろかった。
そんなわけでEOS3もポロポロになって大学へ置いてきた。もちろん今でも動くけど誰もつかわんでしょう。今でも巷で結構ボロボロのEOS1Dシリーズを見かける。多分フィールドとか戦場へいったんだろうなと私は見ている。それはEOSが活躍した勲章みたいなモノだ。
今では、そうしたデジタル版であるEOS1DsMark3+EF28-300mm/F3.5-5.6というシステムとアタチュルク国際空港で調達したNikonAW130の水中カメラの組み合わせになるだろうか。フィールド機材のポイントは、バッテリーが長持ちすること、レンズ交換する必要がないこと、当然風雨に強く丈夫であることなどがあげられる。レンズ交換をしているほどフィールド調査は暇ではない。被写体が突然現れる場合もあるから、撮影機材は車の床にころがしっぱなし(14時間手で抱えるのは疲れるから不可能よ)である。それで騒音と振動の未舗装の道を何時間も走るわけだから丈夫で砂塵に強いことが必須になる。砂塵についてはEOSは湾岸戦争の時砂漠で経験済みである。逆にいらないのはカメラバック(当時のワーゲンサンタナに大人5人乗ればそんなスペースはない)とか三脚だろう。
だからレンズの歪曲収差だのぬけがよいだのという話は、老人倶楽部の話題。ようはそんなことはどうでもよく、こわれなきゃよいのである。最近EOS5Dなんか随分使われているけど、知らんよあんなきゃしゃなので海外で動作不良になっても。今ではレンズの画質なんかどうでもよくPhotoshopで後補正できるので、先ずは写りゃあいい。
ようは撮影機材ごときに神経を払っているほどフィールド調査は暇ではない。それがいやなら老人倶楽部御用達の紋切り型の風景がある観光地へ行けば、ということだ。そんな老人達が観光地に行くとよくいるよねぇー、あら機材が動かなくなったなんていって周りの人間達を巻き込んで慌てふためいているのが。そんなときの私のアドバイスは簡単だ。「そんなボロ機材はさっさと捨てて、地元で新しい機材買えよ、ヨーロッパならライカがあるぜ・・・」。
オリンパスOM-Dのシステムが小さく軽くてよいのだが、海外へ持ち出すときに躊躇するのは、いつもそこなんだ。耐久性が未知数だからだ。
ありゃ、市場の話を書こうとして機材論に脱線してしまった。
中国雲南省武定
EOS3,EF28-135mm/F3.5-5.6,コダクロームⅡ