先週、ひんぷん山羊料理店に行くと、近々、おばあが退院予定という。
今週、ひんぷん山羊料理店に行くと、退院したおばあが出迎えてくれた。
89歳になるが、72日間の入院治療とリハビリを終えて、おばあは元気だった。
うれしい…。
奥の部屋から出てきて、テーブル席に座って、いろいろな話をしてくれた。
55年間続けているおいしい山羊の刺身と、山羊汁をいただきながら、お話を聞いた。
朝起きて、動き始めたが、気がついたら転んでいた。
這い這いして、なんとか電話にたどり着き、家族に連絡して入院した。
去年と同じ場所を骨折したので、もう歩けなくなるのではないかと、とても不安だった。
1ヶ月半は、骨折したところが痛くて、痛くて、大変だった。
でも、歩かないと、もう歩けなくなることがわかっていたので、毎日、リハビリを頑張って、歩く練習を続けた。
そうしたら、杖をつきながらだけど、やっと歩けるようになった。
おばあ、よく、頑張ったね…。
杖には、照明スイッチがあって、足下を照らしてくれる優れもの。
孫が買ってくれたと、スイッチをつけて照らして、おばあはうれしそう…。
入院中は、毎日、日記を書いていた。
去年の入院から書き始めている。
きれいな字を書きたいので、娘が買ってくれたボールペン習字のノートで、毎日、練習している。
奥の部屋に取りに行って、ひらがな、カタカナ、写経の練習帳を見せてくれた。
カタカナが難しい、という。ツ、シ、ソ、ン…。
そういえば、そうだね…。
手本に近づけようと一生懸命書いている、おばあの姿を想像した。
今年は、年賀状を書く、という。
驚いて、年賀状を毎年書いているんですか、と尋ねると、
十数年、年賀状は書いたことがないという。
おばあは、新しい目標を掲げ、努力する人なのだった…。
今年は、年賀状を出すから、住所を教えてくれという。
後で書くからね…。
国頭村から定期的に山羊を食べに来る常連さんと話した後、おばあは疲れたようで奥の部屋に戻った。
やがて、会計をしていると、おばあが奥の部屋から出てきた。
住所を書いてくれと言う。
忘れるところだった…。
メモ用紙というか、カレンダーの裏紙を手のひらサイズに小さく折りたたんだだけの用紙に、書いた。
昔の人は、紙を大事にするよね…。
電話番号も書いてね、という。
年賀状に電話番号がいるのかとも思ったけれど、去年から言われ続けていることなので、書いた。
また来るからね、とお別れをして、外に出ると、ひんぷん山羊料理の2号店もやっているお孫さんがいた。
おばあが、元気になって、お孫さんもうれしそうだった。
星空が、きれいだった。