沖縄での一人暮らし

延べ8年間、沖縄で一人暮らしをしました。歴史・自然・文化を伝えます。

伊江島スカイブルー事件(2)

2014-09-18 | 伊江島(伊江村)

フェリーは30分で伊江島に到着した。

高速ペダル回転運動で上昇した血圧もようやく平常になった。

自転車を受け取ると、後輪タイヤは再びペッタンコになっていた。

血圧下がったら、空気圧も下がった。

 

帰りの便まで4時間30分ある。まずは自転車の修理。

港ターミナル観光案内所に自転車修理屋を尋ねると、「昔一軒あったが、すでに廃業した。」という。

困った様子に同情したのか、「日曜日だけど、ターミナル前のレンタサイクル屋に相談してみたらどうか。」とアドバイスをいただく。

お礼を言って、さっそくレンタサイクル屋さんに相談すると、「今日は忙しいので‥。」という。

「16時発のフェリーまでに直してもらえばいいのですが。」と粘ると、「今日は無理です、申し訳ありません。」と明確に断られた。

次善の策はパンク修理材。補充すれば少しは走れる。

新しい修理材を求め、ココストアや農協ストアを回ったが、自転車部品は置いてなかった。

伊江島での修理は、あきらめるしかないのか。

水納島の代わりに急遽来たから、伊江島の神様が怒っているのだろーか。

プンプン怒って煙を吐いている感じがした伊江島の塔頭。

まあ、なんくるないさーと、伊江ビーチのある青少年旅行村へ。

入口で自転車修理を聞くと、やはり「レンタサイクル屋さんに相談を。」という。

「交渉したら、今日は無理と断られたんです。」と打ち明けると、「今日はソンリクだからね。」という。

「ソンリク(村陸=第59回伊江村陸上競技大会)だったんですか。なら、無理ですね。」。

陸上競技大会は、内地では地域や自治会の運動会となっているが、沖縄では本格的な陸上競技大会を毎年実施している。

国体予選を兼ねているから、少年や高齢者まで、優勝すれば郡大会、県大会へ行けるし、村一番や連覇がかかっている人も多い。みんなも楽しみにしているので、休むわけにはいかない。

観光案内所もレンタサイクル屋も、村で唯一自転車修理屋できる人が陸上競技大会に出場中で今日は修理不可能と知っていたが、その理由を説明しても理解してもらえないと思ったのだろう。

エメラルドグリーン色のビーチで、サンダル型日焼け模様を直して、自転車を押してターミナルに戻り、お土産を買ってフェリーに乗った。

 

16時30分、本部町に戻って、Google Mapsで自転車屋さんを2軒見つけたが、電話するとすでに廃業したという。

スーパーに自転車を置いているか尋ねたら、もう扱っていないという。

本部町にも自転車を修理する人がいないことが分かった。

 

別の店に修理部品を尋ねたら「取り扱っていないが、100円ショップで見かけた。」と親切に教えてくれた。

100円ショップの品ぞろえはすごいね

これで帰れると喜んで、早速、瞬間パンク修理材を注入したら、悲惨な結果。

後輪タイヤのいたるところから、泡が噴出して、白い大きな輪っかができた。

事態はバツなのに、事実はマルを描いている。

私の自転車が瞬間パンク修理材での修理を拒否した絶望的な光景だった。

 

100円ショップに自転車で来ていた子供達に、自転車のパンク修理を聞いてみることにした。

質問に答える前に逆質問された。「何処から来たの。」「名護から。」少年の目が真ん丸となり「2時間かかるよ。」。

「何処へ行ってたの。」「伊江島。」「料金はいくら。」金額を聞いてまたびっくり。

自転車修理は、子供たちも瞬間パンク修理材を使うらしい。

「今日は帰れるの。」「自転車押して歩いたら3時間かかるけど、バスやタクシーもあるから」。

「大丈夫、大人だから。」と、子供たちに心配かけてしまったなあと反省。

 

自転車を駐車場において、名護行きのバスに乗ったのが18時。

名護に戻ったのが、18時30分。

スカイブルー色のマイカーの座席シートを倒しクッション段ボールを敷いて出発。

 

本部町の駐車場に戻って自転車を回収し、そのまま名護イオンの自転車屋に持ち込んだのが20時。

自転車の修理(チューブ交換)完了が20時40分。

無事、帰宅したのが21時。

自転車のおかげで、たくさんの人々と会話でき、親切に触れることができた一日だった。


伊江島スカイブルー事件

2014-09-16 | 伊江島(伊江村)

私は、自転車で国道449号線を、かなり急いでいた。

「またかい。」と思うかもしれないが、二度あることは三度あるし、理由があった。

 

久しぶりの連休で、いい天気。サンダル形に日焼けした足の模様をビーチで消すには絶好の日。

水納島に行こうと、念のため電話したら、「今日は混んでいて11:30発も満員の見通し。」と言う。これを逃すと2時間後。

それなら、11時発の伊江島へ行こうと、腕時計をして、家を飛び出した。時刻は10時20分を過ぎていた。

前回のゴリラチョップ事件よりも、さらに7分遅い。

 

しかし、ここであきらめないのがわたし。ペダルをガンガン回転させて加速するのであった。

歩道に人はいないけど、5センチの段差がある。前輪はひょいっとハンドルを持ち上げるとスムーズに通過するが、後輪はガタンとぶつかってしまう。

遅れを取り戻そうと、スピードを上げているので、ガタン、ガタンの音が大きい。いやなものだ。

その時、ひときわ大きなガッターン!

違和感を感じて後輪を見ると、タイヤが哀れにもペッタンコになっていた。

この状況では、絶望的なパンクだった。

 

しかし、ここであきらめないのがわたし。背中のナップサックを探すと、奥の方に瞬間パンク修理材の手ごたえがあった。

パッケージを開け、素早く注入。みるみる膨らむタイヤが元通り。ついでに前輪にも注入して、タイヤはパンパン。

すでに、前回より10分以上遅れていた。遅れを取り戻すには、ちょっとリスクがあるけど車道を走るしかない。

幸い、交通量は前回より少ないし、歩道段差ガッターンを避ける必要もある。

 

高速回転ペダル自転車は快調。ゴリラチョップを通り過ぎる。

駐車場は満車で、車の横で着替える人もいる。今日は歩道じゃなくてよかった。

本部港ターミナルに駆け込むと、10時52分だった。

間に合った!

愛想のいいお兄さんい自転車を預けて、階段を上がり、いつもの場所に座る。

瞬間パンク修理材を取り出して、「今日もアクシデントあったけど、乗り越えたよな。」と満足げに勝利の余韻に浸っていた。

軍人さんが二人、サングラスでコーラを飲んでいた。

車の中に、仮面ライダーサングラスを置いてきたので、今日は威圧感に欠けるわたしであった。

しかし、このあと、ホントにとんでもないことになるのであった。


再び伊江島へ(2)

2014-09-15 | 伊江島(伊江村)

伊江島でまっすぐ向かったのは、命こそ宝の家。

そのあと、ビーチで日光浴をしてから、ハイビスカス園に向かった。

対岸には、沖縄美ら海水族館が見えます。

そこで、ケータイの電池残量がほとんどないのに気付いた。

さっきの船上のゲームが、思いのほか電池を消費していた。

充電器を取り出そうとして、充電器は自宅のコンセントにつないだままであることに気付いた。

美しい伊江島に7年ぶりに来たのに、写真なしで伊江島めぐりとは、あまりにもったいない。

 

充電器を置いてそうなのは、途中にあったココストア。

電話すると、iphone4はあるが、(接続端子が小さくなった)5シリーズ対応はないという。

「念のためお店に行きますから。」と伝えてたどり着くと、私に気付いた店員さんは申し訳なさそうに商品コーナーに案内してくれた。

確かに、商品棚にあるのは4シリーズ対応の充電器で、5対応の商品はUSBケーブルだけだった。

しばらく、充電器を手に取って説明書きを読むと、充電器の端子はUSBで、付属品として4対応のUSBケーブルがついているようだ。

ということは、二つ買えば充電できるかもと希望が湧いてきて、やがて確信となり、レジへ向かった。

 

購入後、その場でケータイにつなぐと、軽快な音がして、充電が始まった。

私もうれしかったが、店員さんが、とても嬉しそうだった。「メガネ二つもかけているんですね。」なんて言われた。

やっぱ、オーバーグラスが怖そうだったのかしら。

「歳なんで、二つ必要なんですよ。」と軽口をたたいて、よかったーと心から喜んだのでした。

塔頭に上り、ワジーを回って、快適な島めぐり。

お土産は、伊江ソーダ。

しかし、この次の伊江島訪問「伊江島スカイブルー事件」では、さらなるアクシデントが待ち受けていた。


再び伊江島へ(1)

2014-09-13 | 伊江島(伊江村)

ゴリラチョップ事件で心臓の鼓動はさらに高まったが、左折して本部港ターミナルに入るとゆるやかな下り坂。

前傾姿勢とペダルから解放されちょっと楽になり、さっきのは、きっと水着だったんだよねと、自分を安心させる。

鹿児島行きの大型フェリーA-LINE乗り場を過ぎて、ようやく、伊江島行きのフェリー乗り場にたどり着く。

 

窓口に駆け込み、「間に合いますよね。伊江島往復大人一枚。自転車一台。」。一息で言う。

「1,370円です。自転車は隣の窓口で。」と、手際よいけど、そっけない。

間に合いますよーなんて、笑顔を求めるのは過剰な期待なのだ。

でも、自転車の切符は、客を隣の窓口に並び直させなくても、手を伸ばせばそこにあるじゃん!と思う。

ゆり祭り開催時にはフェリーの臨時便を出すよう改善されたが、窓口は7年前と同じ。

ナップサックから時計を取り出すと、8時50分。体内時計は5分進んでいた。

よかった。疲れがどっと出た。

自転車をフェリーの愛想のいいお兄さんに預けて、階段を上がっていき、デッキに出た。

お客さんは、伊江村の人、仕事の人、観光客、外人、軍人の5タイプにいるようだ。

 

若い軍人は筋肉モリモリのマッチョマンで、これから伊江島で訓練なのか、巨大なリュックサックを背負っている。

リュックサックのおろし方、背負い方が、カッコいい。

普通、登山者は、斜面の傾斜を利用して、重たいリュックを背負ったまま地面に寝て、カラダだけ起き上がる。

背負うときは同様にリュックの上に仰向けに寝て、両腕を通して背負い、前かがみになり、どっこいしょと背負う。このとき、時々よろける‥。

まるで、仰向けになったカメが起き上がるようなやり方は、あまりにも無防備で軍隊では禁止されてるのだろうか。

 

若い軍人は、背負い投げのように、頭の上から、回転させて前方にリュックを降ろす。

背負うときは、逆に、リュックに両腕を入れてつかみ、頭上に抛り上げて、背中に着地させる。

乱暴だけど、短時間で脱着でき、見事なものだ。普通の人がやると、腰を痛めるにちがいない。

さりげなく、みんなの前で披露して、室内に消えていった。

彼の得意技をこっそり見せてくれ、歓声を期待していたのだろーか。

米国軍人の強さと訓練の成果を、大衆の前で披露するように上司から命じられていたのだろーか。

 

陽の当たるテーブルに、サングラス姿の外人グループがコーラを飲んでいた。

サングラスが似合うよね。でも日に焼けていないよね。

私の横隣にも、サングラスをかけ、英字雑誌を読んでいるジェントルマンがいた。

 

私だって、負けていない。結構浅黒く日焼けしているし。

メガネの上から装着できる、一回り大きいオーバーグラスをかけてるから、威圧感出してるはず。

乱視対応の遠・近両用メガネに、仮面ライダー型のサングラスを加えた日本人メガネの最強セットなのだ。

 

でも、本は持っていないので、ケータイでちょっと難しそうなLINEのゲームをやることにした。

日本人は器用なのだ。時間を惜しんで、ゲームで反射神経を磨き、脳を退化させないのだ。

 

しかし、これが、後で大変なことになるのであった。

 

左がフェリー乗り場。右に見えるのが鹿児島行きA-LINE。

伊江島が見えてきた。(続く)


ゴリラチョップ スカイブルー事件

2014-09-07 | 本部町

私は自転車で、国道449号線を急いでいた。

この国道は、沖縄の本部半島を名護市から本部町へと結ぶ、東シナ海の海岸線沿いを走る快適な4車線道路だ。

できれば、以前書いた記事 伊江島へ行こう(1)を参照してください。

伊江島へ渡る、9時本部港発のフェリーに乗るため、7年前と同じように、急いでいた。

8時20分頃、本部半島にかかる大きな虹を見つけた。

虹の下をくぐって、S字カーブを描くように、右奥へと海岸道路は続いている。

すれ違う人も自転車もなく、美しい海、広がる水平線、入道雲、遠くを進むフェリーを見ながら、快適なサイクリング。

車道は沖縄美ら海水族館へ向かうレンタカー達が時速70キロ程度で走行しているので、時速10キロ程度の自転車は歩道をゆっくりと走るのが安全。

 

しかし、次第に、不安が生じてきた。

いくら進んでも、なかなか、ゴールが見えてこない。「あれ、こんなに遠かったっけ。」

自転車を止めて時計を見る時間も惜しんで、自分の体内時計を頼りに、「8時40分くらいかな、もう45分にはなったぞ。切符を買う時間とフェリーに自転車を積む時間もあるから55分には到着したい。」と、走りながら、残りの時間と距離を計算してペダルの回転を加速させるのであった。

「9時に乗り遅れると、次は2時間後の11時。前回のこともあるから、間に合いたい。虹の写真撮影が余分だったのかな。でもめったにないし‥。」などといろいろ考えているうちに、とうとう、ゴリラチョップが見えてきた。ゴリラチョップを過ぎて左折すると、本部港ターミナルがある。

ゴリラチョップの由来とか写真を撮る暇もないので、前回の記事を見てほしいけど、ここはコーラルサンゴやリーフに熱帯魚がたくさんいて、ダイバーやシュノ‐ケラーに人気の場所。路上駐車が多かったので、最近、国道を改良する際に小規模の駐車場を作った(表紙の写真)。

事件はココで起きた。

私は、マラソン走者がゴールの陸上競技場に飛び込んでくるように、最後の力を振り絞って、ゴリラチョップを通過しようとしていた。

しかし、駐車場は私の行く手を遮り、歩道の幅は急激に狭まり、さらにその奥ではもっと左側に、駐車場外側を迂回することを要求した。

ブレーキをかけてスピードを落とし、せっかくスパートした力を自らダウンさせ、砂に埋もれた歩道をそれでも急いで通り抜けようとした。

目の前に現れた駐車場には、車が止まっていた。

若い女性が、車の後部トランクの陰に、車道から隠れるように、ややかがみこんでいた。

いやな予感がした。

 

いやな予感が当たった。

女性が、ズボンを脱ぎ始めた。

私が進むべき道は、その女性のすぐ後ろの狭い歩道だった。

ズボンを脱ぐ女性に向かって、なぜか突進していく自転車。

ひろい海、人の少ない道路。このタイミングで、なんで、ここに自転車が来るのと、彼女は思うだろう。

私だって、ズボン下げるのを、彼女はもう1分待てなかったのか、と思う。

スカイブルー。

お互い、声を交わす間もなく、強烈なスカイブルー色の横を風のように通りぬけて、ゴールをめざしサイクリングを続けたのであった。