スペインの修道院で暮らしていた4人のシスター。
Lucia ルシア、Graciella グラシエラ、Megan メーガン、Teresa テレサ。
外の世界から隔離された修道院に、それぞれがやって来たのには、様々な事情があった。
一方、物語背景の1976年にスペインでは、バスク民族の独立運動を行うETA(バスク祖国と自由)組織による事件やテロが頻発していた。
長期独裁政治を続けていた首相が暗殺されたが、一部の国民からは歓迎されるなど複雑な社会状況だった。
ある日、修道院は政府の襲撃を受け、逃げ出した4人のシスターは、偶然6人のテロリストたちと行動を共にすることになった。
神に捧げる毎日から、一転、激動の世界へ。しかも警察や軍から追われる生活、逃亡を支える仲間たちも。
4人のシスターたちの運命は…。
読み応えのある作品です。
強い女性を描く、Sidney Sheldon シドニイ シェルダンの作品です。
シェルダンは両親がユダヤ系で、民族独立活動に関心が高いことは理解できますが、影響力の大きい彼が現実に他国で起きている事件をテーマにベストセラー作品を書くとは、フィクションとはいえ、影響を心配します。
タイトルのThe Sands of Timeは、翻訳本では「時間の砂」となっているようですが、直訳で意味が分からないです。
山の岩石が、川に流され、砕けて小石になり、海にたどりつき、寄せ返す波で細かい砂となる。長年月をかけて砂になっていく。
ストーリーからすればタイトルは、「砂になるまでの時間」、「砂になるまで」ではないでしょうか。
民族の独立運動は、ユダヤ人によるイスラエル建国に長年月を要したように、勝ち取るまでは長い年月が必要で、かつ丸くなることが必要という意味では。