沖縄での一人暮らし

延べ8年間、沖縄で一人暮らしをしました。歴史・自然・文化を伝えます。

沖縄の発展と海岸保全

2010-04-25 | 環境教育
小学生たちが、沖縄の観光開発と環境保全についてワークショップをしています。
商業施設、農地、住宅地、観光施設、工場、道路、港を切り抜いて、白図に貼ります。

経済発展と環境保全は対立構造になりますが、自分の意見を主張しながら、相手の立場も理解して、合意形成していくことが大切です。

わかりやすくするために、子供たちは対立するグループに分かれます。
 ①ホテルなど観光開発で町の発展を目指すグループ
 ②サンゴ礁や海岸を守ろうとするレンジャーのグループ
 ③便利な生活をしたいけど、海も守りたい住民グループ

自分の役割を覚えたら、A、B、Cの3班に分かれます。
どの班にも、①~③の対立するグループが含まれますので、異なる意見をまとめながら土地利用計画を作ることになります。

A班の結果です。
海岸沿いに農地や住宅地を配置し、幹線道路沿いには観光施設が立ち並びます。
海岸、イノー、マングローブが保全されています。

B班の結果です。
きれいにゾーニングされています。
道路が河口部を保全するようにアーチ状に川を渡っています。

C班の結果です。
”保護区”を設けたのが、大きな特徴です。ジュゴンなどを守ります。
その結果、土地利用にメリハリがついて、保護区ではない海岸沿いにはリゾートホテルやレジャー施設が立地しています。
保護区の功罪ですね。

「対立する意見を調整しながら土地利用計画を作るのは、小学生には難しいのではないか」という意見もあったのですが、心配不要でした。
沖縄の子供たちは、観光の大切さも環境保全の大切さも、どちらも十分理解していましたよ。

赤土大根

2010-04-21 | やんばる4村(国頭・今帰仁・大宜見・東)
帰りに、道の駅大宜味(おおぎみ)に立ち寄りました。
「赤土(あかつち)大根」ってブランドになってる。
白さが売りの大根が、沖縄北部特有の土壌の赤土で、赤く染まってる。
ちょっと形の崩れた品物は2本で150円と破格。

買って赤土大根の味を確かめたいところだけど、大根を手荷物に飛行機に乗るのは…。
葉っぱもはみ出るだろうし。重そうだし…。
断念して、島ラッキョウをゲットしました。

こちらは、ヤマイモ1kgなんと300円とお安い!
ネットで調べたら他のヤマイモは1kg4000円など、10倍のお値段。
こちらもどんな味なのか、知りたいなあ。
ヤンバルは、自然の幸に恵まれてます。

こちらはイノー(サンゴ礁池)で何かを探している人たち。
イノーは海の畑とも呼ばれ、引き潮時には海産物が取れます。

空港店でレンタカーを返却し、夕食です。
IFJAL到着出口隣の「うめーし」。
ジューシー(炊き込みご飯)と沖縄そばです。

今回も、沖縄からたくさんのことを教えていただきました。
感謝です。
今度はいつ来れるのかなと思いつつ、沖縄を後にしました。

カニさんトンネル

2010-04-18 | やんばる4村(国頭・今帰仁・大宜見・東)

沖縄北部には、オカガニイワガニなど陸で生活する大型のカニがいます。
海で生まれ育つところは普通のカニと同じですが、親になると上陸して海岸近くの樹木の下に巣穴を掘って住んでいます。
このカニは、5月から10月にかけての満月の夜に、産卵をしに海に戻ります。
満月は大潮になるので海に入りやすく、産卵した卵が広範囲に広がり、生き延びやすくなるといわれています。サンゴの産卵も満月ですね。
ところが、本島北部の海岸線は、海と森の間に交通量の多い国道58号線があります。
カニが車に轢かれてしまうロードキルを少しでも減らそうと、トンネルが作られました。

トンネルだけでは不十分なので、道路にも、歩道の角を削って段差をなくしてカニが登れるようにしています。
さらに擁壁にはネットを張って、カニが海に降りられるようにしています。
加えて、国道事務所の人と高校生たちが、満月の夜にボランティアで道路をさまようカニさんを助ける活動をしています。
カニさんトンネル


マングース北上防止柵(SFライン)

2010-04-17 | やんばる4村(国頭・今帰仁・大宜見・東)
東村の福地ダムへ向かう途中に、道に沿ってフェンスが張られていました。これが、外来種マングースの北上を防止するために4年前に沖縄県が設置した総延長6.8kmの マングース北上防止柵です。
東シナ海側の大宜味村塩谷(S)と太平洋側の東村福地ダム(F)を結び沖縄本島を横断するので、SFラインとも呼ばれています。
沖縄には米軍基地の高いフェンスがたくさんありますが、このフェンスには子供たちが描いた絵があります。ヤンバルクイナはもちろん、ヤンバルの生き物の絵が描かれています。生き延びてほしい、という子供たちの気持ちが伝わってきます。

縦格子にすることでよじ登れないようにし、上部30cmは金属板にしてマングースが爪をたてられないように、また、地中部も掘りこめないようにしているそうです。
そういえば、大宜味村でフェンス前でウロウロしているイノシシ君を見ました。

東村といえば、パイナップル畑。日本一の生産量を誇ります。
今年も、8月には郵便局でパインを送ってもらおうっと。
新川ダムの近くです。何かの入口です。英語でも立ち入り禁止と書いてあるので米軍施設ではなさそうです。
この先は川で行き止まりなのに不思議です。ダムを結ぶ地中配管があるのかな。

生き物のための道路側溝

2010-04-13 | やんばる4村(国頭・今帰仁・大宜見・東)
沖縄北部の自然豊かなやんばるの森を横断する県道2号線を走行していると、不思議なものが道路わきに所々、置いてあるのを見つけました。

V字型で両側に階段が付いています。
よく見ると、グリーンハイダセールと書いてあります。

難しそうな名前ですが、グリーン=環境。ハイダセール=這いだせる。たぶん、ダジャレです。
道路の側溝に穴をあけ、この製品を取りつけ、コンクリートで固めます。
道路の山側に、10m間隔で取り付けていくようです。

イモリ、カメ、ヤンバルクイナの幼鳥などの小動物は、いったん道路の側溝に落ちてしまうと、側溝の壁は絶望的な高さで、抜け出すことができないものです。
この資材を10mごとに山側に取り付けることで、落ちても、10m這えば階段を上って、山に帰ることができるようです。
大変なことだけど、大切なことですね。

標識もあります。
絶滅危惧種のイボイモリ君です。

国の天然記念物のリュウキュウヤマガメ君です。

野生生物は車からは見えないけど、標識があるといるんだなぁ、と理解できます。

同じく天然記念物のヤンバルクイナ君です。

地域で暮らしている人にとって道路は必要なものだけど、車だけじゃなくて、野生の生き物とも共存したいという気持ちがあるんですね。
気をつけてドライブしましょう。

知られていない沖縄のダムの工夫

2010-04-11 | 戦跡・沖縄戦・米軍
沖縄北部の太平洋側にある5つのダムは、地下トンネルで結ばれて、名護市の久志浄水場に送られ沖縄南部にも配水されています。
雨が降っても局所的なかたぶい(片降り)の多い沖縄で、洪水被害を防ぐとともに、降雨を有効に利用し、本島全体に配水する仕組みです。
東村と国頭村の境にある新川ダムに案内板がありました。

沖縄の山は、内地と違って広大な流域を持たないため、個々のダム湖は小さいですが、5つ連結することで有効に使えると考えられました。
返還前から計画され、昭和49年に福地ダム、52年に新川ダム、58年に安波ダム、普久川ダム、61年に辺野喜ダムと、5つのダムが完成しました。
伊江島にも、海底トンネルで送水されています。

新川ダムの風景です。流域面積が少ないので総貯水容量は165万トンと最小です。

こちらは、東村にある福地ダム。総貯水容量は5,500万トンと最大です。
ダムは満水に近い状態にしたいのですが、台風などの集中豪雨の際は下流に洪水を起こさないように、貯水に余裕を持たせる必要があり、バランスが難しいです。

貯水量を最大限発揮できるように考えられたのが、ダム湖から下流の河川への洪水吐けだけでなく、上流部への洪水吐けです。
上流に吐きだすとは不思議な感じがしますが、ここは地形的に海に隣接しており、海へ直接放流することで、下流の河川や集落への洪水被害を防ぐ工夫がされています。
上流部洪水吐けとして、全国でも最大規模のものだそうです。

やんばる海水揚水発電所(世界初)

2010-04-10 | やんばる4村(国頭・今帰仁・大宜見・東)
国頭村最南端の太平洋に面した断崖に、世界初の海水揚水(ようすい)発電所があります。
水力発電はダム湖から水を落としてタービンを回し発電しますが、揚水発電というのは深夜の余剰電力を利用して上部の池に揚水し、電力需要の多い時間帯に発電するものです。

電力需要のピークに合わせると発電所がたくさん必要になりますが、揚水発電はピークカットの役割を果たし、海水を使うことで水不足の沖縄で水力発電が可能になります。
これは、海水の取水口と放流口を兼ねた部分です。
この感じだと、引き潮で海面が下がるときは取水が難しいのかな。

こちらは、上部の約60万tを貯水できる調整池です。直径250mあります。
海水に混じって、海の生物も住んでいるそうです。
普通の揚水発電は川にダムが二つ必要ですが、海水を使うことで池が一つで済みます。
高低差136mを活かし3万kw、やんばる3村に相当する1万世帯分の電気を供給できるそうです。

発電所の上部にある建物です。
バスで、子供たちが見学に来ていました。

見学無料で、こちらが一人でも丁寧に案内していただけました。
日曜日なのに、J-Power(ジェイパワー)の職員さん、ありがたいことです。

エレベーターに乗せていただき、136mの地下に到着です。
この下に、発電タービンや揚水ポンプがあります。
ここでも説明していただきました。

このトンネルは、海へと続きます。
トンネルの下に取水・放水管が埋められています。
20分くらい歩くと、上の写真の海岸に出るそうですが、団体客の予約が入っているとのことで、ここで引き返しました。
でも、とても丁寧な対応で、いろんな質問にも答えていただき感謝しています。

タナガーグムイの植物群落

2010-04-07 | やんばる4村(国頭・今帰仁・大宜見・東)
沖縄北部のやんばると呼ばれる3村(大宜味村、東村、国頭村)には、国指定の天然記念物の植物群落があります。
大宜味村は田港御願、東村は慶佐次のマングローブ林、国頭村はタナガーグムイです。
タナガーとはテナガエビ、グムイとは池。テナガエビのいる池周辺の植物群落が天然記念物に指定されるほど保護すべき対象らしい。

貴重なだけに、人間にはやさしくない。
いきなり、この急な斜面を下りなければならない。

最近、どんな観光地だって、階段とか作るけど、ここにはない。
樹木の根が土を支えて、自然の階段になっていて、ロープを頼りに下りていく。

雨が降ったら、みずみちになりそうな場所ですね。
このアクセスの険しさが、ここの環境収容力を制限し、植物を保護している。

大きな池にたどり着きました。滝になって流れ込んでいます。
周囲の森にはリュウキュウツワブキ、ナガバハグマ、リュウキュウアセビ、コケタンポポなどの貴重な植物があるそうです。

植物のことは詳しくわかりませんが、やんばるの森の中に保護された森林と池があって、とても興味深いところでした。

池の周辺の風景です。

サキシマスオウノキ

2010-04-04 | やんばる4村(国頭・今帰仁・大宜見・東)
東村の天然記念物、サキシマスオウノキ(先島蘇芳の木)です。
アオギリ科の湿地性の樹木ですが、樹高18mの大木です。
特徴的なのは、何といっても板根(ばんこん)。波打つように12本あります。

板根が発達する理由はいろいろ考えられますが、ここの地形・地質が湿地性で岩盤が近くにあることから判断すると、地中深く根が張れないため、大木を支えるために大きな根が必要なこと、地中の空気が摂れないためマングローブの様に気根が必要なこと、かな。
折れ曲がった根を上からのぞいてみると、実生が出ていました。これは育つのが大変です。

こっちの実生から育った樹木は、まだ若い木ですが、板根がもう出来ていました。
向かって右側に板根がたくさんできています。
左側に傾斜する倒れやすい方向なので、この場合は樹木を支えるためなのかな。

周囲の風景です。大切に保存したいですね。

田港御願(たみなとうたき)の植物群落

2010-04-03 | やんばる4村(国頭・今帰仁・大宜見・東)
沖縄県の本島で、国の天然記念物に指定されている植物群落は4か所あります。
大宜味(おおぎみ)村、田港(たみなと)の御願(うたき)がその一つです。
前回は、たんかん畑へ行ってしまったので再チャレンジ。
塩屋湾に面した田港集落の山側にありました。

沖縄の集落には、神聖な場所として御嶽(うたき)があります。
御嶽は手を加えられることもなく保存されるので、うっそうとした森になっています。

資料によると、85科242種類の植物が記録され、琉球列島の古生層の石灰岩地域を特徴づける植物の集団をつくっているそうです。
代表的な樹木は、アカギ、イスノキ、クスノハカエデ、ガジュマルなど。
分布上貴重なものは、ムクノキ、ヤエヤマセンニンソウ、アコウネッタイランだそうです。
御嶽の脇に生えているのはアカギかな。
近くに泉があるので、シダ類なども生えています。

珍しく、落葉樹があります。
この特徴ある樹形は、ニレ科のムクノキかな。

備瀬崎養殖所(ウニ・海ぶどう・アオサ・チャンバラ貝)

2010-04-01 | 本部町
美ら海水族館のすぐ近く、フクギで囲まれた備瀬の集落内にアオサで有名な備瀬崎養殖所があります。
先日もアオサを段ボール箱で配達してもらったので顔を出してみましたが、誰もいません。
「不在の場合は電話を。」とあるので電話すると、目の前の部屋で電話が鳴ってます。
海に出てるのかなあ、と海岸まで行くと、オジサン浜辺で仕事してるのが見えました。
貝の標本館を見せてもらおうかな、とウロウロしてたら、オジサンが現れました。

「電話したら、家の中で鳴ってましたよ。」
「意味ないんだよね。」「ウニ、食べていくかい。」
「千円なら安いよね。」とか言ったら、オジサンさっそく支度を始めた。
手さばきがいいね。おしゃべりしながら、あっという間に出来上がり。

伊江島とサンゴ礁の海が素晴らしい、オジサンとっておきの休憩所まで移動。
ウニと海ぶどうの盛り合わせ、それに茹でたチャンバラ貝です。

殻に付いたウニをスプーンですくって、海ブドウを混ぜていただきます。
これは美味です!!
海がきれいで、風が心地よく、景色も素晴らしく、新鮮な海の幸が美味しい。
オジサン、この素晴らしさを、味わってほしかったんだなあ。

こちらは、アオサにゴマだれドレッシングをかけたもの。
サラダ菜などの青菜で包んでいただきます。これも、オイシイ!お勧めの食べ方ですね。
オジサンも、ご満悦です。

チャンバラ貝は、楊枝を入れてくるくる回しながら、切れないように慎重に取り出します。
巻貝の蓋の部分が、刀の様に見えるのでチャンバラというらしい。
きれいに取れるとなんだか嬉しい。オジサンも喜んでくれます。

食べている間も、楽しい話を次々と絶え間なく語りかけて、楽しませてくれるオジサン。
35年前の海洋博覧会の頃は、会場の建築の仕事をしていたそうです。
還暦近いのに体は鍛えられていて、筋肉モリモリ、それでいて読書好き。ダジャレで人を楽しませるのが好き。

アオサと海ブドウとチャンバラ貝、それにオジサンがチャンバラ貝で作った箸置きがお土産です。
「お食事」は電話予約制のようですが、オジサンに、会えたらいいですね。
そして新鮮な海の幸をいただけたら、最高ですね。いかがですか。