あるバス停に近付いて行くと、お爺さんと男子小学生が何やら話をしているようだった。お爺さんは乗客だと分かったが、男の子はランドセルを背負っており、下校途中という感じだった。
私はバスを止めて前扉を開けたのだが… なぜか男の子は泣いていたのである。お爺さんが男の子に何を言っているのか聞こえなかったが、決して怒っているわけではなく… 諭しているというか、慰めているというか、助言をしているというか… そんな雰囲気だった。
私は「ひょっとして、大好きなお爺さんとの別れがツライのか?」と思ったのだが、お爺さんが微笑みながらバスに乗り込むと同時に、男の子が何か言いながらバスの進行方向を指差したのである。そうされると、反射的に見てしまうのが人間というもので…
その方向… 20mほど前方の歩道上には、犬の散歩をしている男の子の姿があったのだ。なるほど、犬が怖いのか! ハハハ… 私と同じだ! ハハハ… それにしても、そんなに怖がらなくても… その犬は飼い主と繋がれているから安心だと思うんだけどなぁ…(それは大人の考えだよ!)
私が子供の頃は、野良犬があちらこちらにいたもので… 空き地で遊んでいても、登下校の途中にも、家の近くでも… 遭遇することが度々あった。大腿部を咬まれて、泣きながら家へ帰ったこともある。今となっては懐かしい… 否、今でも“野放しの大型犬”と遭遇したら… チビっちゃうかも!?(おいおい、オマエは何歳なんだよ!)