午後3時過ぎ、あるバス停に接近中… 乗客の姿は見えず、降車ランプが点灯していた。私が「ご乗車ありがとう~」と言いながらバス停の位置に合わせて減速… その時! 私の視界の左端に、勢いよく走ってくる“薄茶色の影”が飛び込んできた。それは… 先月18日に、私のバスに二度も乗り込み(一度は私のポカだったけど…)、二人のお爺さんに強制降車させられた… あの犬であった。
私は「ゲゲッ… まさか… 降車客と入れ替わり、乗ってくるんじゃないだろうなぁ~!」と不安になったけれど、幸いにも、その犬は勢いそのまま、バスには目もくれず走り去ったのだった。それにしても元気いっぱいの犬で… あんなに勢いよく走り回っていたら、いつか車にはねられそうな気がしないでもないが… まさか私のバスで!? おいおい、勘弁してよぉ…
それから約40分後、その路線の逆向きを走っていた。そして、あるバス停で1分ほどの時間調整停車をしていたところ、左後方から歩道を歩いてくる女性を発見したのだが… 私は「おっ!?」と思った。なぜならば、見覚えのある女性だったからである。
それもそのはずで… その僅か2時間前に、私が“営業所前ターミナルから直線距離で約3kmの某駅まで”乗せた女性だったのだ。いつもは何も覚えることができない私が、なぜ覚えていたのか? それは美人だったから… いやいや… それもそうだが、それだけではなく… 営業所前の乗り場に私がバスを着けた時に、そこで待っていた4~5人の中で一人だけ“違和感”があったからなのだ。
そう、私は「ひょっとして車内モニター!?」と思ったのである。詳しくは書けないけれど、運転士仲間から聞いている“モニターの特徴”と合致した部分があったのだ。しかし、上司が乗ろうがモニターが乗ろうが… いつも通りのことしか出来ない不器用な私のこと、いつものように口数少なく走ったことは言うまでもない。
さて、再会した場所というのは、営業所前ターミナルから直線距離で約2km… しかも、2時間前に私が降ろした某駅とは、営業所を挟んで反対方向… つまり、約2時間で直線距離5kmを移動したことになるのだが… 普通の女性(推定30~40歳)にしては不可解な行動… えっ!? 私のストーカーじゃないかって??? なるほどぉ… こうなればストーカーでも何でもいいよ! なんちゃって…(ウソ)
ある路線を走行中… 中扉の前の席に座っている女性が不機嫌そうな表情で前の方を見ているのに気が付いた。私は「あん? 私がまた何かやらかした? いや、何もやってないよなぁ… まさか、無意識のうちに失礼なことを…???」と不安になった。
しばらくすると、壁にもたれかかるようにして目を閉じていたので、私は「体調でも悪いのかな?」と思ったのだが… 気が付くと、再びブスッと睨みつけるように前の方を見ていたのである。そして「やっぱり何か?」と思っていると、目を閉じてグッタリと… それの繰り返しだった。
私は「どこで降りるのだろうか?」と思っていたのだが… 結局、彼女は終点まで乗っていた。そして、3~4名の乗客が降り、中扉の近くに座っていた彼女が“わざわざ前の方へ”歩いてきたので、私は“長期戦”を覚悟して心の準備をした。
すると、彼女が優しい声で「このバスは××町に行かないんですか? ○○の方へ行きたいんですけど…」と言ったのである。どうやら単なる乗り間違えだったようで… そこから出ている他の路線も私は走っているので、すぐに「○○へ行くバスはありませんが、(その近くの)△△を通って某駅へ行くバスならばありますよ」と答えた。
すると彼女は「△△でもいいです。ありがとうございました」と言ってバスを降りて行った… あの不機嫌そうな表情は「このバスは××町にも○○にも行かないのか!? これからどうすればいいのか?」という不安な気持ちの表れだったのか…
そして「途中で聞いても迷惑だろうし、どうしようもないし… いっそのこと終点まで行ってしまえ!」と思ったのかもしれない。いや、もしかして私と話がしたかったのかも…(ないない! 絶対にない! “携帯注意の恨み!”とかで刺されることはあるかもしれないけどな。ハハハ…)
今日の前半は、先月半ばに腰痛を発症させたバスで、その時と同じ路線を走る勤務だった。ようやく90%くらい良くなってきた感じなのに、また悪くなるんじゃないかと不安を抱きつつ走っていた。が、腰痛に関しては、まぁ何とか良くも悪くもならずに済んだような…
さて、この路線(今の営業所がやっている2つの某地区巡回バスの内の1つ)は、先月までの自分の担当コースには入っていなかったけれど、これまでに休日出勤で4~5回やっていたので「まったく分からずに緊張しまくり!」ということはなかった。が、逆に言えば“少し慣れてきた状態”ということで… そこには罠が待ち受け画面…(意味不明)
あるバス停に接近して行くと、チラッとこちらを振り向いてから慌てて走り出したお婆さんがいた。私は「(本数の多い)某駅行きと勘違いしてるんじゃないか?」と思いながらバス停で止まって「某地区巡回です!」といつも以上にハッキリと言ったけれど、普通に黙って乗ってきた。
発車しようとしたら、後方から右車線を走ってきた軽貨物が左車線に入り、前方の交差点直前でハザードを点滅させながら駐車した。私は「そんな交差点の直前で… 仕方がない。ここは右車線から左折するしかないなぁ~」と思いながら右車線に出て、その軽貨物の右隣りに止まって左ウインカーを出したのだが…
その時、「次は●●停~」と流れている車内アナウンスが、何となく耳に入ってきて… 「ん? ●●停!? それって… 左折じゃないじゃん! 直進じゃん!!」と気が付いて命拾いをした私は、一人で心臓バクバクさせていた…(この某地区巡回は二種類あり、その交差点を左折するものと直進するものがあるのだ) ふぅ~、危ないアブナイ… やっちまうとこだったぜぃ! また赤信号に救われた私… 何年やっても油断大敵、ボケは死んでも治らないなぁ~
【名古屋のバス運転士が、運行中に“悩み事を解決するための”携帯メールや雑誌を、10日間で400回も読んでいた】というニュースが流れた。普段から「何にも悩み事がなさそう」と言われる私には無縁… と言えるだろうか? いつどんな悩み事が生まれるか分からないし、その時に自分がどうなるのか… 実際にそうなってみないと分からない。
さすがにバスが動いている時には、会社が用意した台詞(車内モニターのチェック項目)さえ喋ることができないほど不器用な私だから何もできないけれど… 信号待ちの時には、たまに「○○へ行くには、どっちのバス停が近いですか?」と聞かれて地図を見たり… 「△△停で◇◇行きのバスに乗りたいんですけど~」と言われて時刻表を見たり… ということはある。
また、最近はやらなくなったけれど、昔は… 信号待ちやバス停で駐車ブレーキを掛けて“携帯通話中の人間”を注意しに行ったことも多々あったような… もっとも、当時は携帯に関するマナーも浸透していなかったから、そういう人間が多かったという事情も… と、今更ながら“自己弁護”をしてみたりして…
今は、信号待ちの時には「いつ青になるか?」と思いながら信号を見ているだけで、特に何も… たまに“妄想の世界への架け橋”を渡りそうになることもあるけれど… 何とか踏みとどまっている。(たまに? 踏みとどまっている?? ホントか???) まさか… 私が発進しているのは2回目の青信号だったりしてね。ハハハ…
バスに乗務する時には、運行カードというものを点呼時に受け取って行く。それには始業から終業までに走る路線と時間がすべて書かれているのだが… 中には“駅の休憩室やトイレの鍵”が付いているものがあり、それに当たった時には“朝の開錠(または夜の施錠)”をしなければならない。
ということで、私も某駅の公衆トイレの鍵閉めを担当することがあるのだが… まずは男子トイレへ入って人の有無を確認してから施錠… 続いて女子トイレへ入っ… いやいや、入口に立って「どなたもいらっしゃいませんかぁ~?」と声を掛けて、物音一つしないことを確認してから施錠している。
それを… バスが某駅に到着してから次の発車までの僅か数分間でやらなければならず、とても慌ただしいのだが… そんな時、ふと不安に思うことがある。「もしも誰かが入っていたら… しかも“大きい方”をしていたらどうすればいいのだろう?」と… その人が頑張って(否、踏ん張って!)すぐに出てくれればいいけれど…
その人のせいで、バスの発車を何分も遅らせるわけにはいかないだろうから… とりあえず営業所へ電話をして「大きい方が出ないので、鍵を閉めずに発車します」と言えば、すぐに上司の誰かが車で施錠しに来るに違いないと思っているのだが…
まさか「大きい方が出るまで待ってあげて! もしも発車が遅れたら、ちゃんと遅延の案内してな! くれぐれも苦情のないように! よろしく!」なぁ~んて言われたりして!? 遅延の案内かぁ… 事情を説明しているだけで、さらに遅れそうだな。ハハハ…