「一路さんは、虚無僧という“伝統”にこだわって
いるようですが」というコメントをいただいた。
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「日本の伝統文化を辿って行くと、その多くは一休さんに
行き着くように思えます。そして一休さんは固定的な伝統や、
家元制など望んでいなかったと思うのですが。
一路さんは、虚無僧という、伝統にこだわっておられるようにも
思います。今や絶滅危惧の虚無僧ですので、それは素晴らしい
ことだとも思えますが、一方で、それを解き放った活動も
されているのかどうか、知りたいです」
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また以前、「あなたは、虚無僧をやりながら虚無僧を否定している。
真意が知りたい」という質問もありましたので、お答えします。
東京には「虚無僧研究会」があり、600名ほどの会員がいます。
また京都の明暗教会には200名ほどの会員がおります。
しかし、会員の多くは「虚無僧」が吹いた「尺八本曲」を
吹くことを楽しんでおり、「虚無僧」で門付け(托鉢)は
しません。所詮「旦那芸」で、趣味の世界と考えておられるからでしょう。
虚無僧を職業にしているのは、私一路が 世界で「Only One!」。
しかも、どこの会派にも属さない、一匹狼の虚無僧です。
ところが、私は、伝統的な5孔尺八ではなく、9孔の
ドレミファ尺八で、虚無僧が吹いた曲だけでなく、童謡、唱歌、
演歌、ポピュラー、「コンドルは飛んでいく」なども吹きます
ので、「虚無僧研究会」や「明暗教会」の会員の方からは
「インチキ虚無僧」と、批難中傷を浴びています。
つまり、カタチは「虚無僧」でも、中身は「伝統」を外れた
異端児です。それは「一休の常識を否定し、こだわりを捨て、
自由自在に生きる生き方」を真似ているからです。
私の「虚無僧」観は、一休の「風狂」、一休が賛美した
「普化禅師」の「瘋癲(ふうてん)」の所業であって、
伝統的な虚無僧を否定して、新たな、現代の「風狂」を
目指しているのです。
「虚無僧」とか、「尺八」はこうでなければならない、と
いったこだわりを捨てると、「虚無僧」でも生きられる、
新たな世界が開けてくるのです。伝統的な「虚無僧」そのまま
だったら、今の世の中、食べていけないでしょう。
世の中「無常」。「常なし」です。世の中の変化についていき、
革新、改革あるのみです。
Tホテルで「KEIKOさん」の歌を聞いてきました。
彼女は、自ら 癌に冒され、乳房も子宮も摘出。
歌で 癌で苦しむ人に勇気と生きる力を与えてあげれば、
と活動している。
抗癌剤で 髪の毛が抜け落ちる。女性にとって、身を
切きられるほどの苦痛。そんな痛みも知っているから、
歌に言葉に説得力がある。
笑顔を絶やさない。歌の途中で、ニコッと微笑み、
そして語りかけるように歌う。こんな歌い方が
あったのか、と感動する。
乳癌と診断された女性。「私左の乳房をとらなければ
ならないんです」と不安におびえた声。KEIKOさんは
「ホラ、私もとっちゃったのよう」と左胸を叩いてみせる。
「手術をしたら、左手がここまでしか上がらなくなって。
もう死にたい」という女性に、「私もそうだったわ。
でも今はホラ」と左手を高く伸ばしてみせ「大丈夫よ」と
優しく微笑む。
「何の為に生きていくのか分からなくなった」と言われる方。
絶望している人に、「誰かが、一人だけでも、“あなたに
会えて良かった”と言ってくれることがあれば、それが幸せ」。
「乳房も子宮も失ったけれど、その何倍も、たくさん 得たものも
あったわ。手と足の指、全部使っても数え切れないほどの幸せ。
あなたがいてくれる」と語りかけ、また歓びの歌を歌う。
今年には、また手術をしなければならないというのに、あの
笑顔。その精神力に脱帽。
8月20日のディナーショーは チケット15,000円~で もう完売とか。