デイサービスや老人ホームでの尺八演奏曲では、一時期大ヒットした『千の風』や『冬のソナタ』、ジブリの曲など、全く演奏しなくなった。
せいぜい、『川の流れのように』など「美空ひばり」の曲か、『いい日旅立ち』(山口百恵)、『津軽海峡冬景色』(石川さゆり)などは、今でも うける。
それに比べて、童謡、唱歌は根強い。歌詞カードが無くともみな自然と口ずさめる。
『七つの子』は 野口雨情、大正10年(1921年)の作。
「七つの子」」とは、「七羽のカラス」なのか、「七才のカラスの
ことか」。どちらも変。野口雨情の子供が七歳まで無事に育ったという「七五三」を祝う歌ではなかったかと言われています。
『しゃぼん玉』はどうでしょう。
しゃぼん玉 飛んだ
屋根まで 飛んだ
屋根ま で飛んで
こわれて消えた
しゃぼん玉消えた
飛ばずに 消えた
生まれて すぐに
こわれて 消えた
この「しゃぼん玉」は、2才で亡くなった雨情の娘、恒子のことを歌っていると言われています。
ですが、雨情の娘が亡くなったのは、大正13年(1924年)。
詩が発表されたのは、大正11年(1922年)でした。
ですから、「野口雨情」は、日常の生活の中から “詩”が浮かんだというのではなく、暗く閉塞感漂う世相を鋭く切り、そこから抜け出そうという なみなみならぬ気概を込めての、渾身の作詩ではなかったか。
柔(やわ)なイメージとは裏腹に、100年歌い継がれるだけの、それ相当のエネルギーが注がれていると思うのです。