現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

世界の山ちゃん 創業者山本重雄氏

2020-08-30 16:38:45 | 虚無僧日記

59歳で亡くなられた「世界の山ちゃん」の創業者・山本重雄氏。

その経営哲学が、NHKで特集、放映された。キーワードは

立派な変人たれ」。

 

岐阜県の山村で生まれ育った山本氏は高校卒業後、海上自衛隊に入隊。

そこで調理班として料理の腕を磨いた。3年後除隊して、居酒屋チェーンで

働き、開業資金をためた。

1981年、24歳で独立し「串かつ・やきとり やまちゃん」を開業。

店の広さ わずか4坪。その当時は、お客に「いらっしゃいませ」も言わない、無口で不愛想な人間だった。それが、夢は「年商10億!」と口にする。

それを聞いた親しい友人は 笑った。 

手羽先の唐揚げは、「風来坊」の看板メニューだったが、山本氏はそこに自分流のアレンジを加えた。秘伝のタレ。手羽先を2つにちぎり、歯に挟めばスルリと身が取れる食べやすさが評判となった。

すぐに売り切れるため、常連客からは「幻の手羽先」と言われ、それがキャッチコピーとなった。

また、店員が 電話の応対で『世界の山ちゃんです』と云ったことが気に入り、店名に『世界の』を付け加えることになった。

ユニークな店名。マスコットキャラクターは、山本氏をモデルにしたもの。

 

2003年には 神奈川県の川崎をはじめ 関東進出を果たす。

当時のアルバイト従業員が振り返る。

「都内の店舗で働いていたら、知らないオジサンが厨房にはいって来て、

いきなり皿洗いを始めたんです。なんと山本社長(当時)でした」。

2014年には香港に海外1号店を出店し、文字どおり「世界の山ちゃん」に。

さて、その成功の裏には。

不愛想で挨拶もできなかった性格を改めようと、ギターや手品を習得し、

老人ホームや介護施設を慰問で回ったり、地域の交流会にも積極的に参加。

社内でも、従業員の集まる場でマジックを披露して 会場を沸かせた

シャイで口下手な性格。テレ隠しの手品だった。

社員総会の前には、社員が コスプレで演歌を歌うカラオケ大会。多いに

盛り上がったところで、厳粛に 会議が始まる。

社歌は ラジオ体操の替え歌。

 「新しい朝が来た 希望の朝だ  喜びに胸を開け 手羽先揚げろ

  太陽の声に すこやかな夢を  この香る風に 世界を

  それ やまちゃん だー

 社員全員で読みあげられたスローガンは「 立派な変人たれ! 」。

 〈我々は「変」であることを楽しみます

 我々は毎日「変」を磨きます

 我々はみんなに「変」を伝えます

 我々は「変」であることを誇りに思います

 我々は「変」な人たちを愛します

 我々は「変」でみんなを幸せにします

 我々は「変」で世界を変えていきます〉

山ちゃんの社員は、この宣言文が書かれた「変人パスポート」を常に携行している。

『変』という言葉には、『 ユニークで面白いこと 』と『 変化していくこと 』の二つの意味がある。お客さまに満足してもらうため『 明るく、元気に、ちょっと変 』を追求しているのです」と。

 

「世界の山ちゃん」の名が知られるようになった頃 (20年ほど前) 私は、その店に入ってみた。テーブルにアンケート用紙があり、投函すると割引券がもらえるとのことで 投函した。すると3、4日で「割引券」と印刷されたハガキが届いた。そこには山本社長の直筆で お礼の言葉が書かれていた。

後日、山本社長にお会いする機会があり、そのハガキのことを口にすると、社長は

今は、それだけが 社長の仕事です」と、照れながら小声で言われた。

まさか、仕事はそれだけではあるまい。多忙の中でも、全ハガキに返事を書く、その努力に頭が下がった。

 

 

 


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
出すぎた釘は、うれない (はなこ)
2016-09-18 22:42:53
世界の山ちゃんを創業された社長さんの話、勉強になりますね。
まわりの、いろんなひととの、ご縁を大切にされた山本さんの謙虚な姿勢でしょうか…
一流の人の言動や身のふりかたから私も学び成長したいと思いますが、なかなか出来ません。
最近、うちの華道の師匠が言ったことばが「出すぎた釘は、うれない」です。
「ちょっと出るから、たたかれる、なら、出すぎた釘は、うれない」…そこまで、うまくなれと。
私は、そこまで、言い切れるぐらい、まだまだだと猛省しました。
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