現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

名古屋能楽堂の鏡松

2010-09-13 09:11:33 | 虚無僧日記
名古屋能楽堂は、平成九年に、名古屋城正門前に完成した
名古屋市の施設。公の能舞台としては 660席で最大のもの。

その鏡板の松の絵だが、当初、愛知県が誇る画家「杉本健吉」
に依頼したところ、杉本画伯はなんと「老松」ではなく「若い
芽を葺いたばかりの若松の絵」を描いた。

これに、能関係者は異議を唱え、松野秀世に「老松」を描か
せた。市としては双方を立てて、1年ごとに「老松」と「若松」
を張り替えることで決着した。

決着をみるまでの関係者の苦労は大変だったことだろう。
80歳を超える杉本健吉の言い分は「伝統に決まったものは
ない」と。その言葉には、私は、大いに賛成だが、いざ能を
観賞するとなると、能にはやはり「老松」が似合う。「若松」
では物足りないと思う私は、やはり伝統に縛られているの
だろうか。

さて、その能楽堂だが、市の財政赤字解消のためか、最近
何にでも貸すようになった。結婚式、ファッションショー、
講演会、詩吟、剣舞、琴や尺八のおさらい会、現代舞踊など。

中には、「何も能楽堂でやらなくとも」と思えるものもある。
わざわざ鏡板の前に屏風や布を張って、松の絵を見せない
ようにしているものもあるのだ。それなら、普通の劇場ホール
でやればいい。

やはり能舞台には能舞台を活かした演出がふさわしいと思う。
その価値観の差がまちまち。その巾の中で悩むのだ。


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1 コメント

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Unknown (@himayasikatanow)
2012-04-03 02:19:06
はじめまして
検索している中で貴兄のブログがヒットしましたので、感想を述べさせていただきます。
小生が学生の頃に名古屋能楽堂が落成し、「松」は東京でも大変話題になりました。
それから幾年月
ネットの知人がコスプレイベントで使用したとの事。唖然としましたが、貴兄のブログを拝見し(貴兄の思いとは違うと思いますが)、能楽堂が現代を生きるためにはそのような事も「あり」なのではないかと考えを改めました。
ちなみに名前は小生のツイッターのアカウントでございます。
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