以前中日新聞に「野依(のより)良治博士」が「科学者と芸術家」と
題して書かれていた。
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C.P.スノー(イギリスの物理学者で小説家)が
「科学と芸術は対極にあり、互いに話し合うことも
できない。無理解、ときには敵意と嫌悪が溝を隔てている」
と指摘した不幸な状態にある。科学者と芸術家は緊密に
知性、感性、技術を共有すべきだ。
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これと全く同じ「科学者と芸術家」というタイトルで
100年も前の大正5年(1916)に「寺田寅彦」が
エッセイを書いている。
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「芸術家の中には科学に対して無頓着であるか、一種の反感を
いだくものさえある。また多くの科学者の中には 芸術に対して
冷淡であるか、むしろ嫌忌の念をいだいている人もある。
科学者と芸術家とはそれほど相いれぬものであろうか」と。
野依氏は、当然「寺田寅彦」のこの一文を読んでおられた
ことでしょう。
寺田寅彦は、
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芸術家は、科学者と同程度、もしくはそれ以上の観察力や
分析的の頭脳をもっていなければなるまい。いかなる空想的
夢幻的なものでも、するどい観察と分析の結果の表現の
しかたによって、芸術としての価値が定まるのではあるまいか。
また、科学者にも想像力と直感が必要である。科学者と芸術家は
互いに別々の世界に閉じこもっているが、第三者から見れば、
この二つは 存外に近い肉親の間柄であるように思わる。
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100年も前に「寺田寅彦」が提唱したことが、今「野依」博士に
よって再び提唱されたことに驚きと感動を覚える。
そう「尺八家」の私も、「人間」を「科学的」な目をもって
解析し、芸術に新境地を開いてみなければと思う。
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