尺八の販売売り上げで日本一を誇る大橋鯛山氏のブログに私のことが書かれていました。
一部をコピペさせていただきます。
「尺八もホンの40年前までは老舗の暖簾が何より大事でした。
何々流、何々会に属していないとイロイロな支障が有りました。
当時の技術水準では、間違いなく尺八で日本の最高レベルにあった
牧原伸一郎さん、今の一路さんですが、彼だって暖簾を問題にされて、
腹立ちのあまり、「僕腹立つよ」で牧原龍世(ボクハラタツヨ)を
名乗ったという有名なエピソードが有ります。
私も地方の尺八吹きに頼まれて琴古流の免状を乱発した事が有ります。
「演奏会に出て会に所属してないと下っ端あつかいを受けるんですよ」。
「フーンそうですか」。
「私達も先生扱いを受けたい」。
「 なら簡単ですよ。自分で名乗れば良いじゃないですか」。
「そんな事は出来ませんよ」。
「大丈夫です」。
尺八界の事情を知っていれば何の問題も無いと分かります。都山流はダメ。
琴古の〇〇会と名乗れば「琴古流」だと言うだけで信用されます。
今では「免状をもって先生と呼ばれたい」という様な純情な人もいなくなりました。
「ちゃんと修行しない輩が増えると尺八がすたれる」とも、もう聞かなくなりました。
「ちゃんと修行」して尺八をすたれさせた人が多いですからね。
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大橋鯛山氏の記憶力はすごい! 当の私は「牧原龍世(ボク ハラタツヨ)」と
名乗っていたことも忘れていました。そうでした。私の師「堀井小二朗」氏も
邦楽会の家元制度にまつわる因習を批難し、流派を名乗らず、弟子に免状も
出しませんでしたから、私には 資格も肩書もありませんでした。
ところが、何々流の師範免状が無いと、実力はあっても糸方では全く認めてもらえません。
演奏会にも出させてもらえません。出させてもらえたとしても、ブログラム順は
他の尺八家の後、末席です。「3万でよろしいですか」と言われて、ギャラを
いただけるものと思って出演を承諾したら、当日会費として3万円を請求されて
真っ青になったこともあります。40年前の3万円です。初任給が4万円の頃です。
それで、私は、そうした家元制度に反発して「牧原龍世(ボク ハラタツヨ)の
尺八名で、邦楽会の外、現代音楽畑で結構活躍しました。
当時、洋楽系の作曲家が五線譜でどんどん作曲されるのですが、五線譜が読める
尺八師範は ほとんどいませんでしたから、私でも引っ張り凧でした。
今は「吸江流(きゅうこうりゅう)宗家」を名乗ってますが。これはパロディです。
「吸江(きゅうこう)」とは、禅の言葉「吸尽す(きゅうじんす) 江(こう)の水」。
「江」とは「揚子江(長江)」のこと。「あの長大な揚子江の水を吸い尽くす」という
気宇壮大な意味です。つまり、琴古も都山も明暗も民謡も演歌も洋楽もすべて
演奏するという意味が込められています。