現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

尺八漫談 「モシモシ地獄」

2022-09-12 02:41:13 | 虚無僧日記

天職と思っていた尺八から足を洗って、漫談家に転職。

只今、きみまろや落語を聞いて、ネタを集めております。

桂文珍の落語『モシモシ地獄』をアレンジした「今日の漫談」です。

 

みなさま、おめでとうございます。何がって? 今日ここにお集りの皆さまは

今まで一度も神に召されたことのない方ばかりでございます。今日まで

生きてこられたのには、大変な苦労もあったことでございましょう。でも

死ぬほどの苦労はされても、命とられるほどの苦労は神様はお与えに

なりません。命尽きるまでは。

さてキリスト教では「自殺は神のみ旨に逆らう行為で悪」とされているそうで、

自殺すると、死後永遠に地獄に墜ちるとか。その名も「モシモシ地獄」。

仕事がつらい。借金地獄。家族とのトラブル。ああもうダメだ。ほとほと

疲れ切って自らの命を断ったあなたには、モシモシ地獄が待ってます。

「あぁやれやれ、娑婆の苦しみから解放されて、地獄で一休み。ゆっくり

休めるか」と思ったら、「モシモシ、モシモシ」の声。「私の苦しみを

聞いてくださいよ」「私の過去を聞いてくださいよ」「モシモシ、モシモシ、

私はね、女房を殺してしまったんですよ。今ではすまなかったと後悔して

ますがね。ま、私の気持ちも聞いてください」と次々と地獄に墜ちた

亡霊が寄ってくる。全然寝かせてもらえない。「もう休ませてくださいよ」

といっても「モシモシ、モシモシ」の声が延々と続く。3日、4日、5日

たち、とうとう発狂。「やめてくれぇ!」と暴れてみたところで、「そうです

みんな、そうなります。大丈夫です。モシモシ、モシモシ」。1か月、半年、

1年、3年。「いったい いつまで続くのだぁ!」。「100年です」。

「あれ、あそこに熊が。地獄には熊も来るのか? 人でも喰ったか、クマった

熊だ。「いえ、あなたの目の周りに隈(くま)が。こうしてダンダン熊に

なっていくんですよ」

永遠に眠らせてもらえない地獄の苦しみにくらべたら、この娑婆はいいじゃ

ありませんか。家に帰れば、布団にはいってグッスリ眠れるのですから。

 



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