現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

古伝三曲

2008-07-30 11:07:14 | 虚無僧日記
虚無僧にとって、最も大切な曲は、いつの頃からか、
「虚鈴(きょれい)」「虚空」「霧海篪(むかいじ)」の三曲
となった。
「虚鈴」は、由良興国寺の開祖法灯国師が、鎌倉時代に、
中国から伝えたとか、「虚空」「霧海篪」は、弟子の
虚竹が伊勢の朝熊山に参篭の折、霧の中から聞いた音曲
だとか、伝説が作られている。

しかし、江戸時代初期の『糸竹初心集』には、「れんぼ
流し・京れんぼ」という曲名があって、古伝三曲の名は
無い。
古伝三曲が、文献で確認できるのは、1732の『尺八伝来記』
である。これには「霧海篪(むかいじ)」を筆頭に「虚空」
「虚鈴」の順。その他は現在では聞かれない曲ばかり。
その中に「武田恋慕、鳴渡(門?)恋慕」など〇〇恋慕という
のが16曲もある。虚無僧の流しの曲は、古くは「恋慕」だった
というのが私の考えだ。

「恋慕」では、虚無僧にはふさわしくないとのことで、「恋慕」
が普化の鈴を慕う「鈴慕」、さらには「鈴法」「礼法」と、
それらしく、もったいつけたのであろう。
しかし、虚無僧は、再仕官するまでの仮の姿、未練たらしい
方が似合うと、私には思える。

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