この言葉をご存知ですか?
看護の世界では『患者中心の看護』ですが
介護の世界では『その人を中心としたケア』と言うようで
これを『パーソンセンタードケア』と言うのだそうです。
先日、介護のKさんから借りた
「ウンコ・シッコの介護学」の著者三好春樹さんが編集されている
「ブリコラージュ」という月刊誌を読んで、
初めて、『パーソンセンタードケア』という言葉を知りました。
パーソンセンタードケア入門の『認知症の介護のために
知っておきたい大切なこと』という本をネットで注文し
読んでみました。
認知症のケアの歴史はふたつの段階があり、
最初は、認知症が病気として認められ、
より正確な診断が求められる段階。
この段階では、医療が認知症のケアの指針になったけど、
治らない病気であることや問題行動の説明が中心で
本人の立場からケアを考えることがあまりなかった。
第二段階は、認知症の人を介護している人たちから始まり、
その人たちは、認知症の人への関わり方次第で、
その様子や状態が違うことに気づき、
本人が何に苦しんでいるのか、どんな不安を抱えているのか、
介護者やまわりの人びとに何を求めているかを考え、
それに応えていくことが大切であることを知る。
最初の段階では、本人も介護者も絶望感から
抜け出すことはできなかったけど、
第二段階では、お互い同じ人として認め、
その人に前向きに関わっていくことで、
認知を抱えていても普通の暮らしを送る援助ができる。
『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと』の
著者の一人トム・キットウッドが、この第二段階のケアを
パーソンドセンタードケアと名づけて、
認知症ケアを理論的に体系化したのがこの本です。
いろいろな事例をあげて
ケアの方法をわかりやすく書いてあります。
この本の最後に、認知症をもっと理解するための
参考文献が紹介されていて、その中に
『じいと山のコボたち』と言う本がありました。
?・・・・と、家にないか?
この題名の本、家のどこかで見たような・・・・と探したら、
ありました。
何年か前に、上司からもらった本の中の1冊でした。
ず~っと本箱のすみに・・・・不思議な縁です。
今はダムに沈んだ徳山村の小学校で教師をしておられた、
平方浩介先生が書かれた児童書です。
ばあの死をきっかけにじいが呆けるところから始まり、
同居している息子夫婦はとまどい、不安になり、閉じ込めようとする。
しかし、コボたち(岐阜県地方の言葉で子どもたちのこと)と
一緒に遊ぶと、じいは別人のように元気になる。
コボたちに、泳ぎ方や魚の釣り方を教え、人気者になる。
今日お休みで、1日読んでました。
認知症の人への関わり方を考えさせられる本です。
岡山の友達が19日東京に出てきて、
和央ようかのイベントに参加し、
翌日上諏訪の原田泰冶美術館に
行ってみたいと思っているんだけど、
東京に行く予定ない?と誘ってきた。
私はイベントには参加しないので、
いつもの如く、中国茶館巡りをするとしても、それだけではなと
何かないかなと探していたら、
この本の訳者寺田真理子さんが講師で、
『パーソンセンタドケアとは何か~認知症ケアのために~』
というワークショップが19日東京であるのを見つけました。
さっそく、参加申込みをしました。
職種は看護師で看護的なケアが主な仕事だけど、
関わる相手は認知症の方がほとんど。
この介護という世界で仕事をしていなければ、
出会うことのない本や参加することのないワークショップです。
この仕事にめぐり合って
認知症の方の関わりを勉強する機会を得れてよかった。
「認知症の介護のために知っておきたい大切なこと」
●パーソンセンタードケア入門
著者:トム・キットウッド&キャスリーン・ブレディン
監訳:高橋誠一 訳:寺田真理子
出版社:筒井書房
「じいと山のコボたち」
作:平方浩介 画:二俣英五郎
出版社:フォア文庫