京都市立桂坂小学校の村田喬子校長先生が
「日文研の先生方に小学校で授業をしていただきたいのです」
と隣にある国際日本文化研究センターを訪ねて来られ、実現した、
日文研の教授の先生方の授業。
その授業の場面が『小学生に授業』という単行本になっています。
トップが当時前所長で
今はセンターの顧問をしておられる哲学者の梅原猛先生。
この東海地方の出身で、中日新聞の月曜夕刊の6面に
「思うままに」を書いておられます。
その先生が「学問の楽しさ」というテーマで授業をされ
ニーチェがおもしろいことを言っていると。
人生には三つの段階がある。
最初はラクダ、次にライオン、最後に赤ん坊。
どう言うことかわかりますか。
重い荷物を背負って砂漠を歩くラクダは忍耐の精神。
勉強はしんどいけど、
ラクダが重い荷物を背負って歩くのと同じように、
一生懸命、知識を蓄えておくこと。
ライオンは批判精神。
それまで教えられいたことが正しいことだけではないんじゃないか、
間違ってることもあるんじゃないか、と考える。
批判するだけではダメなので、
最後は、自分でモノをつくり出さなければならない。
そこでいつも新鮮な目でモノを見る赤ん坊の精神。
この精神で創造することが大事と。
ライオンには簡単になれるけど、
赤ん坊になるのはなかなか難しいと・・・・・・反省!
自然人類学者の尾本恵市先生の
「自然に学ぶ」の授業で印象に残ったのは
先生は子どもの頃からチョウに興味があって、
珍しいチョウも採られています。
それは、いろいろな図鑑を見て知っていたから
採ることができたと。
運というものは、ただ黙っていても来ない。
運がいい人とか、運のわるい人とかいうけど、
それはじつはなにか理由があると。
その何かが勉強。
勉強をしていると、その運が近くへ来たときに、
グッと押さえることができると。
先生の授業、もっと早く受けたかった。
最後の環境考古学・地理学者安田喜憲先生の
「地中の花粉」という授業で
2月29日の私のブログの記事の疑問、
「6万年も前の花粉が残っていて、花の名前まで判るんだろう」
が解決。
花粉は強い(固い)膜をもっていて、
腐ったり、壊れることなく何千年も何万年でも残るのだそうです。
今度は別の疑問がわいてきた・・・・・
そんな固い膜の花粉が受粉して
どのようして実を結ぶんだろう?????
その他の先生方の授業もとても勉強になりました。
私も桂坂小学校の生徒になって、
日文研の先生方の授業を受けたいと思いました。
「小学生に授業」
編著:河合隼雄・梅原猛
出版社:小学館文庫