おぢのニセコ山暮らし

山暮らしと世間のあれこれを書き綴ります

磯田道史さんの本にあった「韓信股潜図」(かんしんまたくぐりのず)とは!?

2018年04月10日 | Weblog

午前6時の気温はマイナス5度。

晴れのお天気でニセコアンヌプリが朝焼けに染まって美しい。

昨夜から今朝にかけて、積雪は5センチもあるんだろう。

昼には解けるような雪ですが、なんだかなぁ~ って感じもいたします。

我が家のニャンコも、外でうだうだするってわけにも行かず、ストーブがほやほや燃える室内ではたいしたメンコイ顔して寝ておったり。

そんなことで、「平和が一番」と思ったりもいたします。

そんなきのう、「TSUTAYA」でご尊敬申し上げる磯田道史さんの「日本史の内幕」を買ってまいりました。

これが想像通り、なかなかいいのです。

京都の書画屋で買ったという「韓信股潜図」(かんしんまたくぐりのず)という掛け軸の話が面白い。

「韓信」とは古代の中国人だそうな。

この韓信という人は、若いときに長剣を帯びたチンピラに絡まれ、「俺の股を潜れ」と言われ、ケンカを避けるため屈辱的だけど股を潜ったそうだ。

韓信は、この辛抱が功を奏して、のちに大将軍になった人だそうな。

この画の「賛」というから、「画賛」が書いてあったので、磯田さんはこれを解読した。

そこにはこうあったそうだ。

「唐は唐。日本は日本。唐の紙くずばかり拾いて日本の刀を忘るることなかれ」

「道なかに立つの市人切り捨てて股はくぐらぬ大和魂 杏花園(きょうかえん)」

杏花園は大田南畝(おおたなんぽ 江戸時代の文人)の別名だそうな。

で、江戸時代、南畝など日本のインテリは「唐の書物を紙くずと呼び、日本の刀を忘れるな。無礼者は切り捨てて股は潜らないのが大和魂」と書いた。

そこで磯田さんはこう書いておる。

「考えてみると、尖閣問題以来、日本と中国の関係が必ずしもよくない。『自制』ということが問われている。かつて日本は南畝のいう、刀で切り捨てる武士の論理で一時は成功した」

「しかし結局、欧米に打ち負かされた。大和魂を叫び中国を馬鹿にして韓信の自制を失った日本ははっきり敗北した。急に金持ちになった中国も大国意識を持って自制を失うと、かつて日本がはまった陥穽(かんせい 落とし穴)にはまる」

まことにごもっとも!!

ケンカを売られたら、股を潜ってやり過ごす。

怒りをぐっとこらえる賢い知恵だ。

昭和8年、満州事変を引き起こしたニッポンに対し、国際連盟は日本軍の撤退を求める決議をする。

松岡洋右ら日本代表団は、議場を退場して国際連盟を脱退した。

当時の新聞は「我が代表 堂々と脱退す」などと、呆れたことに褒め上げた。

帰国した松岡をニッポン国民は歓喜で迎え、ニッポンはこれ以降、世界から孤立を深め戦争へ突き進む。

結果、中国の故事をバカにしたニッポンは、自制ができず、冷静に考えたら、まずは100%勝ち目のないアメリカとの戦争に突入して、300万人を超える犠牲者を出した。

ケンカを売られたら、股を潜ってやり過ごせばよかった。

そして今、中国も調子こいちゃって、ニッポンがはまった落とし穴にはまりかねない大国主義がうかがえる。

歴史は繰り返すのでしょうか?

股をくぐって、やり過ごすのが真の賢者だとおぢは思うけど…