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平岩弓枝「はやぶさ新八御用帳」に見る介護

2011-07-09 10:49:14 | Weblog
「はやぶさ新八御用帳」の10巻目、「小町踊り」に介護を読む。
新八郎が使える南町奉行根岸肥後守の叔母がころんで怪我をしたことを聞いて新八郎と奉行に使える女中お鯉が叔母のものとへ駆けつけたところから引用する。
『御隠居様は庭に面した居間で夜具の上に起き上がって居た。新八郎の声を聞きつけて自分から体を起こしたらしく、なんとも痛々しい格好である。
それをみて、お鯉がごく自然に動いた。
「おそれながら、失礼をお許し下さいまし」
部屋のすみから脇息を持って来て、それに御隠居様をよりかからせ、膝には薄い夏布団をかけ、肩には夏羽織を。
中略
痛みのために食欲がなく、朝餉もまだという御隠居様のために粥の用意をし、その間に冷たい水で手拭をしぼって痛みのある患部にあて、
「もし、御不快でなければ、お髪をさっと整えましょうか」
昨日から櫛も入っていなかったような髪をきれいにほどいて、おすべらかしのように流し、肩の下で軽くまとめた。
御隠居様の表情がみるみる晴れやかになって行くのを、新八郎は感心して眺めた。』
なんとも鮮やかな平岩弓枝が描く介護です。
さらに住宅改修に話が進む。
『昨日、植木屋が七夕の竹を運んで来て、御隠居様はその枝に短冊などをつけようと縁側を下りる際、沓脱からすべってころんでしまったらしい。
沓脱は風雅な自然石なのだが、用人は植木屋よ相談して、もっとすべりにくい平たい石にとりかえようかと考えている。
植木屋はいっそ延段のように低い土盛りの階段にして手すりでもつければというのだが、
「それでは御隠居様が、あまり老人扱いをすると、御機嫌を悪くなさるかも知れぬ」
と迷っている』
そのレに先立ち、介護計画は
根岸肥後守が医師から叔母の怪我の様子を聞き
『「実はのう、向島の叔母上がころんで怪我をされたと聞き、方庵を見舞につかわしたのだが、どうもあちらには然るべき女手が足りぬようじゃ。とりあえず、お鯉をさしむけようと思う。されば、新八も同行して、むこうの用人と今後の打ち合せなど致して参れ」』
ととりあえずの介護計画があった。
小説は読み方によってはいろいろなことを示唆してくれるようで、それは読者の読解力がものをいってくる。
コメント
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