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平岩弓枝「はやぶさ新八御用帳」にアセスメントを読む

2011-07-10 07:15:22 | Weblog
同じ巻「江戸の盆踊り」は越後から江戸に移ってきた人達が集まり盆踊りをしているなかに勘当した息子を探しにきていた越後上布の一番の織り手である母親と、その母親が織る越後上布を扱う山越屋という織物問屋の主人徳松夫婦を中心に事件が起こる話のなか、母親であるお松について話を聞き込んできた岡っ引きが語るエピソードに
『「手前がみるところ、お松はどうも徳松夫婦に遠慮して、話をしないような気が致します。それで、徳松にお松と二人だけで話をしたいと申しましたところ、席を立ちましたのですが、どうも隣の部屋で様子を窺っている。お松もそれがわかっていて口を開きません。おまけに手前が帰りかけると、徳松が外まで追いかけて来て、お松は倅を勘当してからぼけて来て、あることないこと喋るので困っているなぞ申します。これは、なんとかしてお松を山越屋から連れ出さないことには埒があかないと存じましたが・・・・」
「徳松の女房のほうはどうなんだ」
盆踊りの夜、お松と一緒に長次郎を探しに来ていた。
「女房のほうは全く出て来て参りません。話をききたいと申しましても、徳松が、あれはなにも知らないからといいまして・・・・・」』
このエピソードについて詳しく説明をすると小説の後の話に関わる重要な内容をもっているので、これだけにとどめます。
事件にも何にもなっていない、ただ、盆踊りの輪のなかに母親が入り込み盆踊りを乱しけが人がでたというだけの段階での聞き取りである。引用した文章の中に出てきた人物は当の母親であるお松、その問屋夫婦徳松それに探されている張本人長次郎とこの話の主要人物が全て登場している。その人間関係もお松は徳松に遠慮をし、徳松はお松をぼけたことをいうと認識しており徳松は女房を隠して出さないという人間関係が理解される。

ここに描かれていることはアセスメントにほかならない、それでこの短い文章で登場する人間関係が浮き彫りにされ、事件につながる問題点も引き出している。
単に小説といっても読み方でそこに何が書いてあるかが違ってくるわけで、面白いでもいいし、知識を得るでもいい、さらにはその中に箴言を汲み取ることもできる、もっと人生の糧となる文章を掴み取る読者もいるかもしれない。
小説とはそれほどの面白味がある。
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