心の扉 神戸カウンセリング花時計

心理療法や催眠療法、ストレス解消や悩み等メンタルに関するもの、そして日常の出来事を自由気ままに掲載します。

役割3

2014年02月07日 | 家族システム




船頭多くして船山に上ると言うように

一つの集団にトップが何人もいれば

統率がとれずに集団が上手く機能しなくなります。



それと同じように

家族を構成する一人一人が

自分の役割を持ち、その役割に治まることで

その家族は上手く機能することになります。



父親の役割、母親の役割、

長男、次男、長女、次女、

祖父、祖母の役割。



この時、

一人一人の心理的境界が

適度な透過性、柔軟性があることが

理想です。



あまりも固いと、

父親は仕事だけに気持ちを傾け、

家のことは母親に任せきりで

その全責任は母親にあるという立場をとり、


母親は、家事や子供の世話だけに気持ちを傾け、

そして、

両親から子供は、子供として

あり続けるように暗黙に要求されます。



逆に、柔らかすぎると

子供に親の気持ちや感情の責任を負わせ

子供がやりたいことではなく、

親がやらせたいことをやることを求めたり、

経験も知識も力も小さい子供に

それらを余りあるほど持っているかのように

成功することだけを求め続け、

失敗することを許さなかったり、



「お前はもう少し家事のことをしっかりやれ!」

「もっと子供と遊んであげて!」

と両親が頻繁にする激しい喧嘩をみせられて

「僕が(私が)家事を助けなければ。」

「僕は(私は)全然寂しくないよ。」

と、子供が、家族が空中分解しないための

バランサーを担わされた子供は、


自分の気持ちより周りの人の気持ちを優先したり、

失敗を恐れ、完璧主義になったり、

人に頼ったり、甘えることが苦手になり、

いつも何か重いものを背負った感じのままで

人生を過ごすようになります。



家族のリーダーである両親は、

子供の成長、自立を促すために

時に、子供に上位者である親の役割を任せたり、

時に、子供が子供としてあれるような

環境を作ってあげるのが理想です。



しかしながら、

両親が子供に立派な心理的境界を構築させてやろうとしても

そうやすやすと非の打ちどころのない

心理的境界を作らせてやることは簡単ではありません。



心理的に健康な両親のもとで育った子供であっても

大なり小なり、脆弱な部分が出来るものですから

その責任を両親が負い過ぎずに、難しく考えすぎずに

まずは、両親が与えあい、想い合い、

仲睦まじくあると、

子供は親の背中を見て育ってくれるものです。



そして、社会に出て、家族以外の人と接して

新しい体験をするとき

脆弱な部分がざわついた時に

心理的境界が柔軟で透過性が保たれていれば

両親や先生、友人の助けや本人の力で

それらを修復、改善していけば良い訳です。



ですが、

心理的境界が固すぎたり、柔らかすぎた場合には、

それらが上手く行かないことがあります。

そして、

その心の乱れが続くと

そのほころびが次第に大きく感じられたり

実際に大きくなったりすることがあります。



いわゆる神経症圏と言われるような

心の乱れが生じるようになった時には

それが大きくなり過ぎない内に

専門家と共に解決に取り組んでもらいたいと思います。



催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計


役割2

2014年02月04日 | 家族システム




社会の最小単位と言われる家族社会の

最上位は、両親が位置するのが自然です。



そうではなく

祖父母が最上位に位置し

権威を奮い続けると

子供は、両親の言う事をあまり聞かずに

好き放題、我が儘放題になり、

大切な社会のルールやマナーを

身につけさせることが難しくなります。



そして、

多くの祖父母は、孫に甘くなりがちですから

我慢や辛抱をする精神力を

十分に身につけさせることが

難しくなるかもしれません。



ゆえに

子供にとって家族の最上位は、

両親が位置して

祖父母は、必要な時に両親に力を貸す

スーパーサブとして存在するのが

丁度良いのでないかと思います。



もちろん、

最上位に位置する家族のリーダーが

人格者である必要はありませんが、

心理的に健康であること、

そして、

親は、子供の心理的な境界が

柔軟かつ頑丈なものを構築出来るように

接することが求められます。



子供に次のような接し方を

頻繁に行うと

子供は柔軟かつ頑丈な心理的境界を

構築することが難しくなります。



「泣くな。」「怒るな。」「文句を言うな。」

「そんな風に考えるな。」


と子供が自分自身の考えや気持ちを持つ事を許さない。



「そんな危ないことをしてはいけない。」

「お前はまだ子供なんだから余計な事をするな。」

「お前にはまだ無理だ。」


と子供が経験を通して成長することを阻害されることで

自分で判断をすることに恐れや不安を感じたり、

自分が責任を持つようなことを避ける可能性が高まります。



逆に

「もうお姉ちゃんだから、お兄ちゃんだから

兄弟の世話をしなさい。(家のことを手伝いなさい。)」

「いつまでも子供のように甘えてはいけません。」


と子供であるべき期間を親が早期に奪い

情緒的欲求を満たされずに大人になることで

人に頼ることや甘えることが苦手になる可能性が高まります。



また、

「どうしてそんなことが出来ないんだ。」

「どうして、そんなことが分からないんだ。」

「また、失敗をしたのか。」

「だからするなと言っただろう。」


と成功以外は許されないかのような扱いを受けることで

子供は、失敗することへの過度な恐れを抱くようになり、

自分に対しては自信の無さや完璧主義に

苦しむ可能性が高まります。



そして、

「どんなに私が恥ずかしい思いをしたか分かる!」

「あなたがそんなんだから、私まで世間に馬鹿にされている。」

「良い学校に進学してくれないと、世間からバカにされるよ。」

「お前さえいなければ、離婚することが出来たのに。」


と親の気持ちや感情の責任を子供に持たすことも

子供が柔軟かつ頑丈な心理的境界を構築することが

難しくなります。



その結果、

心理的境界の柔軟さが欠如し

他人との間に頑丈で強固な境界線を引き

過度に防衛的になり

他人と打ちとけることが出来なかったり

表面的な交流しか出来なくなったり、



逆に

自分と他人との区別がつかず

他人の不幸や感情を自分の責任であるかのように

悲しみ、過度な罪悪感を持ったり



他人に自分と同じ感情や気持ち、

考えや行動を取ることを期待したり、

それが当たり前だと信じ込み

そうでないことが起きると

過度に悲しんだり、不安になったり、


それまで相手と築いてきた信頼関係が

まるで何一つ無かったかのように

過度に怒りを向けて

その相手との関係を断ったりするようになります。



しかし、個人が育った環境がそのような環境であったので

柔軟かつ頑丈な個人の心理的境界を構築することが

もはや不可能と言うことではありません。



それを構築することが出来ていないだけで

それを構築するための資材は、

個人の中で準備されているのです。



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役割

2014年01月31日 | 家族システム




お腹をよくこわしてしまう。

こんな時、

消化器官だけに問題を求めても

腐ったものを食べ続けているとしたなら

その問題は、解決しません。



それと同じように

個人の問題を、

「幼少期に問題があったのだろうか。」とか

「原因となっている信念は何か。」と

その個人だけの問題と考えずに

その個人が属する組織の問題とする考え方があります。



家族組織の場合、

その個人の問題を、

個人にだけ原因を求めるのではなく

家族を構成する人間の関係性に

問題の原因を求めます。



家族という組織の中で

家族を構成する一人一人には

個人の心理的境界があり、

そして、

夫婦、子供達、祖父母、

男性家族員、女性家族員といった

グループの心理的境界があります。



この中で特に重要なのは夫婦のグループで

ここが上手く機能していないと

子供の健全な発達を阻害することになります。



例えば、

夫婦仲が悪く、父親が如何に酷いかを子供に言い聞かせ

母親の味方になるように迫ったり、

または、その逆。


年中繰り返される夫婦喧嘩の仲裁を子供に務めさせたり、

両親の不安やイライラを子供にぶつけて解消したり、



まだ一人で生きていけない子供は、

両親のネガティブな感情や気持ちを背負わされても

生き抜くためや両親から愛されるために

怒りや不満を心に押し込み

家族から求められている自分の役割を務めるようになります。



この時、

子供は、自分が家族の中で存在することを許されるように

親から愛されるように、

「してはならないこと。」「しなければならないこと。」

「正しいこと。」

といった個人の規則を持つようになります。



例えば

関係ある人の感情や気持ちは、自分に責任がある。

人に頼ってはいけない。

自分の気持ちよりも人の気持ちを優先しなければならない。

自分は悪い子だ。

女性は、男性を信用してはならない。

等など。



この個人の規則は、個人の心に深く刻み込まれ

大人になっても個人の思考や行動に

影響を与えることになります。



それらの心の規則が原因となり

悩みや心の問題が起きた時、

それが大人の場合には、

個人療法によって

不適応となっている心の規則を書き変えることで

悩みや問題を解決することがより可能となりますが、



それが、まだ子供の場合には、

個人の問題として取り組み、

仮にその取り組みが成功したとしても、

その反乱が家族全体に変化をもたらすだけの

パワーがなければ、

家族の中で孤立感を味わうことになります。



その人達から、

実際の言葉や態度によって、

あるいは、

以前のままの家族全体から自然と影響を受けることで、

あるいは、

自分の孤立感、孤独感から

元の状態に戻ってしまう可能性が高くなります。



よって、子供の施療を行う場合は、

個人療法よりも家族も参加してもらう方が

より成功の可能性が増します。



ただ、子供は家族の中で権威者ではなく

家族の中で順位は下位に位置するので

個人療法だとしても、家族に参加してもらったとしても

自分の素直な気持ちを明らかにすることは危険、

または、悪いことだと思っていたりすることもあるので

解決の取り組みを始める前に

素直な気持ちを話せるような環境作りから

取り組まなければならないことが多くあります。



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結界

2013年08月30日 | 家族システム




今回のことも

今までにも書いたことがあるような

無いような。



投稿数が増えてくると

過去に何を書いていたのか

記憶も薄まり、

だからといって

確認するのも骨が折れるので

確認作業を怠ることをご容赦願います。



さて、仏教や神道には

聖なる領域と俗なる領域を分けている境界線を

結界というようです。



結界と言うと、私なんかは、

特別な能力がある人が「エエイ!」と唱えたり

不思議な図や御札を貼ることで

魔やモノノ怪の侵入を防いだりするイメージがあるのですが、



これは何も霊的、神秘的なものだけではなく

個人も心理的な境界線を持っています。



この境界線をしっかりと引くことで

悪意ある接近者、無礼な接近者を撥ねつけて

自分から遠ざけることができます。



自分を単なる踏み台にしようとする者や、

搾取しようとする者、陥れようとする者、

自分を傷つけようとする者達に対して

ハッキリと「NO!」を示し

自分を守ることができます。



しかしながら、

このような個人の境界線の引き方は、

個人の感覚によるもので

全ての人に共通するようなルールでもって

引けるようなものではありません。



自分の住居に誰かが訪ねてきた時に、

インターホンだけで応対するのか、

チェーンロックを外さずに玄関のドアを少し開けて応対するのか、

玄関先には招き入れて応対するのか、

部屋にあがってもらうのか、

その相手との関係性の違いによって

応対の仕方も違ってくるのと同じです。



この境界線がボヤけたものであったり、

実効性に乏しいものであったりすると

自分の心が傷つき血を流すことの危険性が高まります。



また、自分の境界線をハッキリと相手に示すことは、

自分を守るためだけではありません。



自分の境界線をはっきりと示さないことで

あなたの心をかき乱したり、

あなたの心の負担となるような行動を取りたくないと

思っている人に

その行動を取らせてしまうことになり、

その人を悲しまさせることになります。



あなたの境界線は、他人の目には見えません。


相手がそれを察知してくれるだろうとか、

相手がそれを探り当てるだろうでは、

あなたを大切にしようと思っている人ほど

安心して接することができません。



その人が安心してあなたと接することができるように

あなたが、はっきりと言葉や態度で示してあげる必要があるのです。



あなたが窮屈で苦しむことなく、

人の声が届くところに、

そして、

ただの願望の線ではなく、

実行力を伴った境界線を引くことが

難しいと感じる場合には、

その原因となる心のルールを

改善することが必要となります。



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性格障害

2012年08月23日 | 家族システム


今回は、ちょっとお堅い話になりますが、

性格障害の特徴として、いくつか分類された中の一つに

次のようなものがあります。



対人関係において依存心が強く、他者に対して従属的、受動的な傾向があり、

慢性的な孤独感や虚無感を感じており、

見放されることへの強い不安を持っている。



もちろん完璧な人間などいませんから、

誰もにこのような特徴を持っているので、

内面を見つめてみれば大なり小なり発見することが出来るはずです。



心理的に健康(バランスが取れている)人の場合には、

その個人の個性のような考え方や行動のパターンとして現れる程度ですが、

個人が置かれる状況や環境や立場の変化によって、

柔らかく対応できない時には、神経症として表面化したり、

もっと酷くなると人格障害と言われるような心理状態となり、

さらには精神病と言われる域まで達することがあります。



このような性格傾向を、個人が持って生まれてくるのではなく、

その後の学習によって形成していくものです。



子供は、成長と共に養育者から

分離、独立をしようとする行動を見せ始めるのですが、

それに不安を感じた養育者が子供を強く罰したり、

行動を強く制限したります。



養育者自身が、先のような性格障害の傾向が強い場合には、

子供の分離、独立の行動が、

子供から養育者に向けられる愛情が失われることへの

恐れや不安を感じないようにするために、

それが顕著になります。



子供の世界は初めて見るもの触れるものに満ち溢れています。

歩き始め自分の意思で自由に行動できる能力を持った子供は、

自由に行動できるそれを楽しもうとしますし、

当然、それらに興味を持ち近づこうとします。

これは、大いなるチャレンジ精神、開拓者精神による冒険です。



その自然な行動を、養育者からの罰せられたり強く制限されると、

子供は、「その行動を悪いことだ。」「恐ろしいことだ。」

と認識するようになります。

また、養育者から愛してもらうために、

養育者からの行動基準をそのまま丸のみするようになり、

自らの判断で自由に行動することを放棄するようになります。



さらに養育者の行動基準内の行動であったとしても、

それが上手くやれない場合に、

感情的に叱りつけられたり、ののしられたり、

時には激しい体罰を与えられたりすると、

ますます自分の自由な考えや自由な行動を放棄し、

指示されたものだけを行動たり、自らが行動しようとする時にも

許可が得られるかどうかを確認してから行動をとろうとするようになります。



また、逆に子供が失敗や欲求不満を経験しないようにと、

養育者が過剰に保護することで、

挫折や失敗を自らの力で乗り越える精神力、

欲求が満たされない状態への耐久性が育たず、

他人に頼ろうとする依存心を強めることになります。



「私の気持ちを大切にして私が望む様な人間になるなら、

あなたを愛してあげましょう。

私の気持ちではなく自分の気持ちを大切にするなら、

愛してあげません。」


養育者が、そのような気持ちを持っていたとは限りませんが、

子供は、養育者の態度から、

そのようなメッセージを受け取ることになります。



このようなメッセージを受け取った子供は、

自分を自分で支えるための背骨を持つことが出来ません。

と言うより、持つことは危険であり、悪いことなのですから、

持とうとしません。



ゆえに、誰かに支えてもらうことの必要性を感じて、

人に好かれることや、人に嫌われないことが最優先であったり、

他人にとって自分が異質な存在となることは悪と言う感覚を持ち、

無意識に自分の考えや気持ちを抑え込んだり、

感じないようにする傾向が強くなります。



しかし、子供と言えども一人の独立した人間ですから、

どんなに養育者から押し付けられた価値観に合わせようとしても、

独自性を完全に放棄したり、

本当の自分、自然な自分を抑え込むことは出来ませんし、

また、本当の自分を制限していることやその相手に対しての、

いら立ちや不満を強く持ち、その制限の枠を打ち破ろうとするのですが、

今度は、その枠を打ち破ることに対して、

罪悪感や恐れや不安を強く感じます。



そして、

恐れと不安、怒りの感情が渦巻くように葛藤している状態のまま、

成長の過程で、色々な人と接しますが、

それまでの構えを変えることに繋がら無い場合は、

逆に心の葛藤を次第に大きくし、長く維持してしまうことになり、

対人関係で色々な問題や、心の苦しみや辛さを経験することになります。


ちょっと長くなるので、今回はここまで。


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