第二次世界大戦で活躍したイギリス空軍の
ロバート・アレキサンダー・キロイ中佐は、
16年間共に暮らした愛犬『トビー』が
亡くなった際に後追い自殺をしました。
気持ちは分かりますし、本人がした選択を、
他人がどうこうと言うことでは無いと思いもするのですが、
心から愛することと、後追いすることは
全く別のことであるはずです。
強烈な喪失感、孤独感等が大きく膨らんで
その感情や気持ちに
取り込まれてしまったのだと思いますが、
そっと寄り添ってくれる家族や
恋人や友人は居なかったのだろうかと。
いたら違っていたかも知れません。
愛する人や身近な人との
永遠の別れと面した時に強烈な悲しみや辛さ、
絶望感に襲われることがあります。
精神分析では、それらの喪失体験から
立ち直っていく心理的過程について
次の様に言われています。
1,無感覚、情緒の危機
喪失体験で強烈なショックを受けて感覚が麻痺して
パニック状態や呆然自失になり情緒が不安定になることがある。
2,否認、抗議の段階
失った事実を認めようとせずに強い悲嘆と
強い愛着に苦しむ。
3、断念、絶望の段階
喪失したことを認識して、断念し
絶望し無気力状態になる。
4,離脱、再建の段階
だんだんと感情や気持ちが穏やかになり
現実と直面し、受け入れが始まる。
これら一連の流れは、心を治すのではなくて
心が治っていく過程を説明したものだと
私は解釈しています。
悲しんでいてはいけないとか、
元気に振舞わなければとか、
考えないようにしようとか、
それらは正しいことなのでしょうけど
心の状態を顧みず無理な頑張りをし過ぎると
心の傷がより大きく深くなることがあります。
頑張る時ではない時には、頑張らず
頑張る時に、頑張る。
特に鬱的な心理状態である時には
尚更に心身を休めることが大切です。
しっかりと悲しみ、
しっかりと泣いてあげることが
自分の心を回復へと導くことになります。
ただ1~3の段階、特に3の段階で
ネガティブな状態が長く、または強い場合には、
心理的な働きかけが必要になるかも知れません。